投資信託にかかるコスト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 08:25 UTC 版)
投資信託は、運用を外部に委託する仕組みであるため、購入時、運用期間中、解約・買取請求時に所定の手数料(コスト)がかかる。ノーロード普及まで、料金システムは顧客との公平性をめぐり何十年も議論された。主な手数料は下の通りである。 販売手数料 投資家が投資信託を購入する時に販売会社が徴収するもの。同じ投資信託であっても、購入金額や取り扱い金融機関により手数料額が異なる場合がある。かつては搾取のため「フロントロード制」が横行した。またこれを徴収しない販売会社もあり、そのような投資信託はノーロードファンドと呼ばれている。「販売」ではない分配金の自動再投資の場合は無手数料で購入できる場合がほとんどである。また、販売手数料が必要な投資信託であっても、後日手数料をキャッシュバックすることで実質的な手数料の割引や無料化を行っている販売会社もある(バックロードやエグジットロード)。同じ販売会社でも、窓口購入とインターネット購入では手数料率が異なるところもある。 信託報酬 投資信託の運用期間中、運用会社と販売会社が徴収するもの。年間の徴収率(0.1%~2%程度)があらかじめ定めてあり、信託財産の純資産総額から毎日差し引く形で徴収される。販売手数料と違い、所有額や販売会社による差異は生じない。基本的に、投資対象が債券より株式、日本よりも海外(特に新興国)に投資するもの、投資対象を長期に渡って保有するパッシブ型・インデックス型より投資先を頻繁に変えるアクティブ型の方が、信託報酬が高くなる傾向がある。基準価額は信託報酬を差し引いた後の価額で表示されるため、受益者が意識する事は少ない。いわゆるファンドオブファンズ形式の場合は、マザーファンドにおいても信託報酬が徴収されていると、ベビーファンドで信託報酬が「〇〇%程度」とはっきり決まらないことがある。 信託財産留保額 投資信託の売却・解約時に徴収される費用。信託財産留保額がかからないものも多く存在する。信託財産留保額は信託財産の中に残り投資信託を保有している受益者に還元されるため、販売会社や運用会社に支払う手数料ではない。これは、解約に伴い信託財産の一部である株式や債権などの原資産を売却するときの費用を信託財産から支払うことになるので、他の受益者に対する迷惑料として説明される。 解約手数料 ほとんどの投資信託では、解約時に手数料を徴収されることはない。ごく一部(公社債投資信託など)の投資信託では手数料が発生する場合がある。 税金 投資信託そのもののコストではないが、解約時の基準価額が個別元本を超えて利益が出ている場合は、利益に対して所得税が課せられる。ほとんどの場合、税金は販売会社が計算して解約時の受取額から差し引かれる。取引時に源泉徴収を行わないようにしていると、確定申告などで所得税額を計算し納付しなければならない。
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