唐三彩とは? わかりやすく解説

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とう‐さんさい〔タウ‐〕【唐三彩】

読み方:とうさんさい

中国唐代作られ軟質陶器白・緑黄・茶などの色釉(いろぐすり)で彩ったもので、各種の器のほか、俑(よう)も多い。


唐三彩

読み方トウサンサイ

中国唐代(7~10世紀初)に作られ軟質陶器純白素地直接、緑・白・茶などの低火度釉をかけて焼く。

唐三彩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/07 02:59 UTC 版)

唐三彩の馬
ラクダに乗り唐にやってきた隊商

唐三彩(とうさんさい、拼音: tángsāncǎi、三彩とも)は代の鉛釉を施した陶器で、主として副葬用に制作された。いわゆる唐三彩は唐代の陶器の上の釉薬の色を指し、後に唐代の彩陶(上絵を施した陶器)を総称する語として使われるようになった。唐代の陶器の釉薬の色は非常に多く、クリーム色、赤褐色、薄緑、深緑、藍色、紫などがある。中でもクリーム色・緑・白の三色の組み合わせ、或いは緑・赤褐色・藍の三色の組み合わせを主としていることから三彩と称されている。

概要

唐三彩は成形後二回にわたって焼かれる。一回目は白色の粘土で器物の原型を作り、窯の中で1000~1100度で素焼きにされる。冷却の後、器物を取り出し、各種の釉薬をかけ、再び窯の中で850度から950度で焼かれる。炎色反応のスペクトルに相当する色を付けることから、釉薬には(緑)、(赤褐色)、マンガン(紫色)、コバルト(藍色)、アンチモン(クリーム色)を用い、助燃剤としてアルミニウムを用いる。釉薬の色が互いに浸透し、年代が経つことにより、顔料の色が微妙に変化し、新たな色を作る。 この釉薬は鉛釉と呼ばれ、漢代西域から伝播した技術とも言われている。鉛釉の特徴は、釉層中の気泡の少なさからくる透明度と光沢の強さにある。施釉技法は刷毛や筆、柄杓掛け、浸し掛けなどが基本となる。

唐三彩の形状は非常に多く、人物、動物、器物の三種に主に分類される。人物には天子、文官、武将、貴婦人、男の子、下女、芸人、ペルシア人などがある。動物には、ラクダライオンなどがある。器物には容器、文房具、お碗、壺、皿などがある。

日用品や部屋の装飾品よりも主に埋葬品として使用され、主に中原一帯で生産・流行し、中原一帯の官僚たちに使用された。『唐六典』には葬儀における唐三彩の規定が記されており、『旧唐書』には当時の唐三彩熱をうかがわせる文章がある。

歴史

19世紀末に行われた鉄道工事の際に、掘り起こした唐代の墳墓から大量の彩色された壺、動物、俑人形の焼き物が見つかった。その一部が北京の骨董屋などで海外の蒐集家の目に止まり、「three-color glaze」として論文などで報告された。その訳語を元に、唐三彩という呼称が生まれ世界中に知られるようになった。美術品としての価値の高まりとともに各地の唐代の墳墓から発掘盗掘が盛んに行われ、埋葬品としての唐三彩が大量に発掘された。

最も古い唐三彩の作例は、上元元年(674年)に現在の陝西省に築墓された唐の高祖・李淵陪塚から出土した器とされている。 唐三彩の造形は当時の社会や風俗を表している。力強く瀟洒な様子である天子の像や武将の像、肥えた馬やラクダの像は、初唐の国力が強盛であったことを示す。顔がややふっくらとして、体が豊満な女性の像は、当時の女性はふくよかであることが美しいとされたことを示している。

長安洛陽の周辺で盛んに作られたが、長安周辺の墳墓から出土する三彩のほうが数量、大きさ、種類が豊富である。長安の西市では大規模な唐三彩市場が開かれていた[1]

影響

唐三彩はシルクロードを通り、13世紀から15世紀半ばころにかけてシリアキプロスイタリアに伝来した。また、日本の奈良三彩(正倉院三彩)、渤海三彩など、他の東アジアにも影響を与えた。

2006年韓国国立民俗博物館中国語の案内ガイドが高麗青磁について誤った案内を行っていたことが判明した[2]。案内ガイドは「高麗青磁中国の唐三彩を真似たもの」「新羅慶州中国西安をそのまま移しておいたもの」「韓国は昔から中国の属国」「三国時代衣服金属活字が中国とそっくり」「博物館に展示された遺物は真物ではなく、真物は全て日本にある」などと説明していた[2]

ギャラリー

脚注

  1. ^ 脇田宗孝『世界やきもの紀行―その源流を訪ねて』芸艸堂、1996年6月1日、42-48頁。ISBN 4753801721 
  2. ^ a b “「韓国は中国の属国」…中国語ガイドの韓国史わい曲が深刻”. 中央日報. (2006年7月19日). オリジナルの2007年5月26日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20070526062648/http://japanese.joins.com:80/article/article.php?aid=77989&servcode=400 

唐三彩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 14:05 UTC 版)

中国の陶磁器」の記事における「唐三彩」の解説

唐三彩は、長安洛陽中心とした中原墳墓から明器副葬品)として出土するもので、この時代厚葬風習伴って盛んに製作されたものである。唐三彩鑑賞歴史新しく20世紀初頭、鉄道敷設工事伴って墓を取り壊した時に出土したことがきっかけで、世に知られるようになった20世紀前半から、唐三彩は欧米日本の研究者コレクター注目するところとなり、国外コレクション多く作品収蔵されるが、19世紀までは唐三彩の存在自体知られていなかった。 三彩とは低火度焼成700 - 800前後)の鉛釉陶器で、白化粧白色化粧土掛ける)した素地透明釉緑釉、褐釉、釉を掛けて文様を表す。酸化銅呈色剤に用いると緑、酸化鉄用いると褐色コバルト用いると青(藍色)に発色し透明釉掛けた部分白色になる。製品には緑、褐、三色すべてを用いるとは限らず緑釉と褐釉のみ、あるいは緑釉釉のみといった組み合わせもあるが、これらも含めて三彩」と称している。緑釉や褐釉の器物漢時代から作られていたが、唐三彩では釉が加わっている。三彩の釉は流下しやすく、完成品では釉の流れ滲み逆に装飾的効果として生かしている。盤のような平たい器形のものでは釉が流下しないため、文様くっきり表され後世色絵のような効果挙げている。貼花(貼り付け文様)による装飾や、「蝋抜きといって塗って釉をはじくことによって、色釉一部白抜き文様にする技法用いられている。焼成方法は、かつては一度焼き考えられていたが、窯址から素焼き陶片出土することから、いったん素焼きをした後、鉛釉掛けて再度火度焼成していることがわかった器種には金属器に祖形のある龍首瓶、首瓶、鍑(金偏に「複」の旁、壺の下に3本足が付く器形)のほか、万年壺と称される球形の胴をもつ壺、水注、盤などがあり、人物動物かたどった俑(よう)もある。人物俑には女子像、武人像、官人像などがあり、動物には鞍と馬具付けた馬、駱駝墓室入口守っていた鎮墓などがある。駱駝乗った胡人ペルシャ系の外国人)を表したものなどもあり、当時風俗を知る資料としても貴重である。こうした唐三彩は地下墓室に埋納され、王墓などの大規模な墓では墓室に至る墓道の左右に設けられた龕(がん)に納められた。なお、このように墓に納められた俑のうち三彩俑は一部のみで、大多数灰陶加彩の俑であった永泰公主墓の例では、陶俑777体に対し三彩俑は68であった。 唐三彩の製作時期については、かつてはすべて盛唐8世紀前半)の作であり、安史の乱755年)を境に衰退した考えられていたが、調査進展により、7世紀紀年墓からの唐三彩の出土例わずかながら確認されている。したがって盛唐が唐三彩製作の最盛期だったことは確かであるが、初唐から晩唐までその製作は続いたとみられている。7世紀の例として、陝西省の鄭仁泰墓(麟徳元年664年)からは白地藍彩断片が、陝西省李鳳墓(上元2年665年)からは三彩の瓢形盤と長方形器台が、それぞれ出土している。唐三彩は日本朝鮮半島遺跡からもわずかに出土している。日本では三重県縄生(なお)廃寺跡の塔心礎から、舎利容器外蓋として使用されていた唐三彩の型作りの碗が出土している。この廃寺出土瓦年代からみて7世紀後半建立とみられ、唐三彩が7世紀にすでに海外運ばれていたことを示す資料として貴重である。 唐三彩を焼いた窯は、河南省鞏義市きょうぎし)の鞏県窯、河北省邢台市臨城県内丘県邢州窯、陝西省銅川市耀州窯確認されている。鞏県窯では三彩のほかに白磁や黒釉磁も焼いていた。邢州窯は白磁窯として著名だが、三彩青磁、黒釉磁も焼いていた。耀州窯は後の北宋時代北方青磁の窯として躍進する唐三彩竜耳瓶 唐三彩駱駝胡人 唐三彩鎮墓 唐三彩女子俑 唐三彩宝相華文盤 唐三彩宝相華文盤 唐三彩駱駝胡人 唐三彩鈷

※この「唐三彩」の解説は、「中国の陶磁器」の解説の一部です。
「唐三彩」を含む「中国の陶磁器」の記事については、「中国の陶磁器」の概要を参照ください。

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