ばん‐とう〔‐タウ〕【晩唐】
晩唐
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晩唐期(836-907年)には 牛僧孺 編の『玄怪録』、李復言 『続玄怪録』、裴鉶 『伝奇』、 薛漁思 『河東記』、皇甫枚『三水小牘』などの作品集が編まれるようになった。 『玄怪録』及び『続玄怪録』双方に収められた『杜子春 (中国語版)』は、 玄奘 の伝えたインドの婆羅痆斯國(ヴァーラーナシー)の伝説 を翻案したものの一つで、唐代における名作とされている。 芥川龍之介 作『杜子春』の粉本として著名である。 『続玄怪録』に収録された『薛偉(魚服記)』も、明代の 馮夢竜 『薛録事魚服証仙 。』、江戸時代の 上田秋成 『雨月物語』など後世に様々に翻案されている。主人公の薛偉が死んで鯉に転生するが、料理され食われたときに生き返るという話。 谷神子(こくしんし、鄭還古?)撰の『博異志』に収録された『李黄』は、残存する『白蛇伝』に関係する最古の物語と考えられている。 次の裴鉶の『伝奇』に収録された2編は現在も人気のある作品で、一説に武侠小説の原型とも言われる作品である。 『伝奇』に収録された『崑崙奴(中国語版)』は、現代も連続TVドラマが制作されている。崑崙奴が仕える家の息子が見染めた妓女を不思議な技で攫い与える話。 『伝奇』に収録された『聶隠娘(中国語版)』は、『崑崙奴』と同様TVドラマ化や映画化されている。尼に仕込まれ刺客になった聶隠娘が、雇い主の仇敵の暗殺を命ぜられるが寝返ったことから刺客を送られ、策略で迎え撃つという話。 『河東記』に収録された『板橋三娘子』は、焼餅を食べさせて驢馬に変身させる女将の三娘子を、旅人が逆に騙して驢馬にしてしまう話。 皇甫枚『三水小牘』に収録の 『緑翹』 は、女性詩人魚玄機の話。 これを元にして森鷗外は『魚玄機』を書いた。 張読 による『宣室志 (中国語版)』に収められた『李徴』は、人が虎に変身する話で、明代の陸楫 編『古今説海』などの選集では 李景亮 『人虎伝』とも伝えられており、これを元にして中島敦は『山月記』を書いた。
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晩唐(9世紀半ば - 10世紀初頭)
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文宗の弟の武宗は廃仏運動を進めた。当時、脱税目的で僧籍を取る者が多かったため、実態の無い僧を還俗させ財政改善を図った。この時期、牛僧孺党派と李徳裕党派の政争が激しくなり、これは牛李の党争と呼ばれる。 この頃から、859年の裘甫の乱、868年の龐勛の乱に代表される、行政の改善を要求する武装闘争が各地で起きた。874年頃から黄巣の乱が起きる。この乱は全国に波及、黄巣は長安を陥落させると斉(中国語版)を建て、皇帝就位を宣言した。しかし黄巣軍の構成員は多くが貧民出で政務を執行できず、略奪を繰り返して憎悪を買った挙句に長安を去った。この時、黄巣の部下だった朱温は黄巣を見限り唐に帰参した。朱温は唐から全忠の名前を賜り、以後朱全忠と名乗る。この頃になると唐朝の支配地域は主に首都・長安から比較的近い関東地域一帯にまで縮小し、藩鎮からの税収も多くが滞っていった。 河南地方の藩師となった朱全忠は、唐の朝廷を本拠の開封に移して、唐の権威を借りて勢力を拡大した。907年(天祐4年)、朱全忠は哀帝より禅譲を受けて後梁を開き、唐は滅亡する。しかし、唐の亡んだ時点で朱全忠の勢力は河南を中心に華北の半分を占めるに過ぎず、各地には節度使から自立した群国が立っていた。後梁はこれらを制圧して中国を再統一する力を持たず、中国は五代十国の分裂時代に入る。唐の滅亡により、中国は東アジア文明をリードする力を失い、契丹や日本など、唐の文化の影響を受けた周辺の諸国は独自の発展をしていくこととなった。
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晩唐
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晩唐は繊細で感傷的な詩風が主流となる。代表的な詩人として杜牧・李商隠・温庭筠・韋荘・韓偓がいる。さらには王朝の衰退に伴う社会の動乱を憂え、詩歌による社会改革を訴えた皮日休・陸亀蒙などの詩人も現れている。
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