ばん‐とう〔‐タウ〕【晩唐】
晩唐
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 07:34 UTC 版)
晩唐期(836-907年)には 牛僧孺 編の『玄怪録』、李復言 『続玄怪録』、裴鉶 『伝奇』、 薛漁思 『河東記』、皇甫枚『三水小牘』などの作品集が編まれるようになった。 『玄怪録』及び『続玄怪録』双方に収められた『杜子春 (中国語版)』は、 玄奘 の伝えたインドの婆羅痆斯國(ヴァーラーナシー)の伝説 を翻案したものの一つで、唐代における名作とされている。 芥川龍之介 作『杜子春』の粉本として著名である。 『続玄怪録』に収録された『薛偉(魚服記)』も、明代の 馮夢竜 『薛録事魚服証仙 。』、江戸時代の 上田秋成 『雨月物語』など後世に様々に翻案されている。主人公の薛偉が死んで鯉に転生するが、料理され食われたときに生き返るという話。 谷神子(こくしんし、鄭還古?)撰の『博異志』に収録された『李黄』は、残存する『白蛇伝』に関係する最古の物語と考えられている。 次の裴鉶の『伝奇』に収録された2編は現在も人気のある作品で、一説に武侠小説の原型とも言われる作品である。 『伝奇』に収録された『崑崙奴(中国語版)』は、現代も連続TVドラマが制作されている。崑崙奴が仕える家の息子が見染めた妓女を不思議な技で攫い与える話。 『伝奇』に収録された『聶隠娘(中国語版)』は、『崑崙奴』と同様TVドラマ化や映画化されている。尼に仕込まれ刺客になった聶隠娘が、雇い主の仇敵の暗殺を命ぜられるが寝返ったことから刺客を送られ、策略で迎え撃つという話。 『河東記』に収録された『板橋三娘子』は、焼餅を食べさせて驢馬に変身させる女将の三娘子を、旅人が逆に騙して驢馬にしてしまう話。 皇甫枚『三水小牘』に収録の 『緑翹』 は、女性詩人魚玄機の話。 これを元にして森鷗外は『魚玄機』を書いた。 張読 による『宣室志 (中国語版)』に収められた『李徴』は、人が虎に変身する話で、明代の陸楫 編『古今説海』などの選集では 李景亮 『人虎伝』とも伝えられており、これを元にして中島敦は『山月記』を書いた。
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