華椎学園
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 06:54 UTC 版)
伊波瀬 砌 (いわせ みぎり) I・IIIの主人公。学園の1年生。性格はどちらかといえば陰気で、由希以外の相手には心を許していない。愛想もきわめて悪い。にもかかわらず周囲から女性の姿が絶えないことを薮本が「顔のせい」と言っていたことからみて、かなりの美形である。人づきあいは決して上手ではなく、また好きでもないが、須藤のとある気持ちに気付いていたあたり、決して鈍感ではない。ただし、自分に向けられる好意については、その鋭敏な感性はまったく生かされていない。那依がよせるあからさまな好意にも、かなり後まで気付いていなかった。 使役者で式神は「切り裂く者」。自分の能力については「すべての〝式神〟の中でもっとも忌まわしい能力」と忌み嫌っており、「切り裂く者」と言われることも好まない。これはその能力の暴走で両親・友人を亡くしてしまっていることによる。シリーズ開始時点では、雙羽塾事件の影響で、巫護である由希が記憶を失っているため、能力をほとんど使うことができなくなっている。また、後述する雙羽塾の事件の生き残りでもある。 なお、砌は短時間であれば巫護の加護がなくとも式神を発動できる。これはIIIで四条によって語られたことによれば、一度巫護を失った者だけの特有の現象であり、作中では四条と砌が当てはまる。 Iの終局で那依と契約し、「切り裂く者」の力を取り戻している。しかし、もともと自身の能力を嫌い、また由希への引け目(ないしは恋愛感情)が残っていた砌は積極的に能力を使うことはなかった。しかしIIIの終盤、自分の能力、由希・那依と向き合うことを決め、その力を見せている。III終了時点での那依との関係は恋人未満といったところ。 圭吾や須藤などからは、「i.d.(不死の王)」とも呼ばれていた。 泊瀬 由希 (はつせ ゆき) 学園の1年生。本来は砌より一学年上だが、雙羽塾事件の影響で休学、1年留年している。名門のお嬢様だが、県議会議員をつとめる父親・継母との交流はほとんど途絶している。また事件の影響で一部の記憶も失っている。シリーズ開始時点では松葉杖で行動している。目立たない容貌の少女だが頭の回転はすさまじく、「切り裂く者」の巫護であるということで、狙われることも多いのだが、その機転と知識で自分や友人たちを何度か窮地から救っている。また、他人を放っておけない性格で、周囲からの人望は非常に高い。一方、自分でなんでもやってしまううえに秘密主義なところがあり、周囲の人間を守るためなら平気で嘘もついてみせ、苦労を背負いこんでいることも多い。 シリーズ開始時点の砌の巫護。使鬼は白猫。しかし、記憶を失っているため、能力を使うことはできない。また、現存する巫女の中ではトップクラスの実力を持っているが、上記の理由により発揮できていない。 那依の困った部分も含めて、好意的に思っているようである。 Iの終盤、砌が自分に依存していたのではなく、自らの依存心が砌を縛っていたことを告げ、窮地に追い込まれた那依の元へ送り出す。その際に涙を見せていたところから、砌への感情はたんなるパートナー以上のものであったと思われる。 IIIでは、実は能力をほぼ取り戻していた。記憶や足についても、直す方法はわかっていたが、那依への遠慮から、実際に健常に戻ったのは終盤になってから。その際、一時的に四条と契約しているが、由希曰く「一度だけ」だそうである。 真砂 那依 (まさご なより) 学園の1年生で、砌とはクラスメイト。「東京の芸能事務所がスカウトに来た」という噂が立つほどの美少女で、邸生には「綺麗過ぎて苦労タイプ」と評されていた。どちらかといえば寡黙で控え目な性格。料理なども上手で、級友たちからの信頼は篤い。I巻冒頭、痴漢(冤罪)で追い回されていた砌を助け、以来なにかと砌の世話を焼きたがり、彼の傍にいようとする。そんな行動を深綾らにからかわれて赤面することもしばしば。思い切りはよく、由希の問いかけにもはっきりと砌を思っていることを伝えていた。 シリーズ開始時点では式神を持たない巫護で、使鬼は鳶。 実は雙羽塾事件の生き残りのひとりで、砌に命を救われる(その際、彼女の使役者であった姉は死亡している)。以来彼に好意を寄せている。須藤の寄せる好意もある程度察していたが、あくまで友人としてのものと思っており、なにより彼女にとっては砌への想いのほうが大事なものであった。しかし、那依の容貌が(急激な成長のせいで)大きく変わっていたため、砌はIの最後までそのことに気付いていなかった。Iの終盤で砌のために単独で須藤に立ち向かい、絶体絶命の場面をまたも彼に救われ、契約を果たす。その際、由希の力の一部が砌のなかに残っていること、それが由希の体の自由や能力を奪っていることに気付いていたようであるが、由希がもとに戻れば砌が自分から離れていってしまうという恐怖から、そのことを告げられないでいた(「嫉妬だってするし、誰かを傷つけること」もあると告げている)。IIIの終盤で、砌の告白らしきものを受け入れて、由希の力を開放している。 あとがきによれば、「一部の女性読者からえらい嫌われている」とのこと。作者は読者の感のよさを誉めているので、IIIで発覚することにかかわる伏線は、Iの時点で出来上がっていたのだろう。 喬木 深綾 (たかぎ みあや) 学園の2年生。情報科学研究会の部長。コスプレ趣味で、学園でも変人として通っている。砌を気に入っており、彼を入部させるためにいろいろと画策をおこなっている。物語冒頭では寝ている砌を女子寮に連れ込んだほど。一見にはノリの軽い少女であるが、この行動も能力を失って不安定な砌を守るためのもので、正義感のつよい人物である。 櫂とはかつて付き合っていたが、現在では友人関係にあり、穂邑に彼との関係の進展を望むような発言もしている。上記のような性格のため、何者かに狙われる穂邑の護衛を櫂から依頼されたときも、快く引き受けている。四条とは(理由もあり、どちらにせよ助からなかったのだが)親友で巫護でもある理美の姉・杜美を殺されたことで犬猿の仲(というより、一方的に深綾が嫌っている)となっている。IからIIIまで唯一、準メインとして登場しており、出張った回数はもっとも多い。 使役者で、式神は「女銃士」。 IIで示唆され、IIIで明かされたところによれば、彼女の心臓はこどものときから非常に悪く、14歳までは生きられないと言われていた。彼女が心臓が動いているのは式によって無理やり動かし続けているためで、体には常につよい負担がかかっている。他人に異常なまでに世話を焼きたがるその気質も、この体質のためだろうと櫂は推測していた。 片倉 理美 (かたくら さとみ) 学園の2年生。情報科学研究会の部員で深綾とは親友といっていい間柄。彼女の巫護でもある。栗色の長い髪が印象的な、おとなしそうな少女である。しかしジョーカー研の一員らしく、市内のゲームセンターを制覇しているというつわものである。姉に社美がいるが、シリーズ開始時点ではすでに死亡している。櫂によれば非常にモテるらしい。 栗原 倫子 (くりはら りんこ) 学園の2年生で、生徒会会長。情報科学研究会の前部長でもある。圭吾の巫護であり、通常は1体のみ使役可能なはずの使鬼を3体扱うことができるという特異な人物。現在もFとつながっており、なにか任務を帯びているようである。砌をはじめ、式神使いたちの覚醒・復活を誘導している節はあり、これについてもなんらかの目的があるものと推測される。 邸生 圭吾 (やしき けいご) 学園の2年生で、情報科学研究会の部員。とらえどころのない性格をしており、他の式神使いが知らない多くの知識を有していると思われるが、ひとを煙にまくことが多く、重要なことは話したがらない。深綾からも肝心なときには役に立たないと評されている。倫子とともにFとつながっているようで、彼が「傍観者」の使役者であるのもそれと関係していると思われる。 Iの終盤で、Fの意思によって真波から能力とそれに附随する記憶を奪いとり、IIでは事件の発端となった手紙を穂邑たちに送りつけた張本人であることが示唆されている(つまり、大量のひと死が出ることを躊躇しなかったということ)。IIIでも尚について調査を進めていた。 須藤 裕哉(すどう ゆうや) 学園の1年生で砌や那依のクラスメイト。温厚な性格で、真面目な優等生。砌に対してもいろいろと気遣っている。多少、厭世的なところがある。 Iの事件の犯人のひとりであり、「鏡」の使役者。彼も雙羽塾事件の生き残りのひとり。那依に好意を持っていたが、彼女が砌を想っていること、またFに対する恐怖などから真波の計画に加担し、最終的には那依を殺すことによって独占しようと試みる。しかし、砌の救援をうけ、巫護である真波が逃亡したことによって敗れ、死亡した。 薮本 幸平(やぶもと こうへい) 学園の1年生で砌や那依のクラスメイト。金髪の軽い性格で、きれいな女の子(とくに那依)とお近づきになりたいようだが、うまくいきそうな気配はない。砌にはその軽薄さを呆れられていたが、決して悪い人物ではない。 酉島 篤彦(とりしま あつひこ) 学園の1年生で砌や那依のクラスメイト。かつては手のつけられない不良であったらしく、それが理由か1年留年している。由希に恩義があるようで、使鬼に彼女が襲われた際には身を張って守った。物静かな性格で、砌と普通に接する数少ない友人である。 多賀谷 葉子 (たがや ようこ) 学園の2年生で、由希の友達。生徒会の会計。周囲に気を配れるタイプで、記憶を失ってしまった由希をあちこち連れまわしたり、砌に那依のことをもっと気にしてやれと苦言を呈していた(もっとも後者については、砌が「同じクラスだから?」と返事したので、「バカ」と切って捨てている)。 小野原 真波(おのはら まなみ) 学園の2年生で、生徒会の書記。 Iの事件の犯人のひとりであり、実質的には主犯。中学時代に香我美と売春をしたことがあり、そのときの相手が長谷部であったことから彼に強請られるようになる。解決のためにふたりの殺害を計画、那依を殺そうとしていた須藤の頼み(彼の巫護になること)をきく代償として、ふたりの殺害に成功する。しかし砌と須藤の対決ではあっさりと須藤を見捨てて逃亡する。この契約の不履行がFの勘気にふれ、圭吾によって能力と記憶を奪われる。自業自得とはいえ、長谷部のロッカーから隠し撮り写真なども発見されてしまうなど、散々な結末だった。 秦野 京一(はたの きょういち) 学園の2年生で、生徒会の副会長。 根岸 香我美(ねぎし かがみ) 学園の2年生。最初の被害者。 長谷部(はせべ) 学園の数学教師。2番目の被害者。
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Iの舞台。全校生徒1200人ほどで、3分の1程度が寮生活をしている。砌、由希、那依をはじめ、主要人物は寮生がおおい。
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