曜日
『シベールの日曜日』(ブールギニョン) 戦場帰りの青年ピエールは、愛人である看護婦マドレーヌの世話を受けつつ、孤独な心を抱いて暮らしていた。ある日彼は、12歳の少女シベールと出会う。シベールは両親に見捨てられ、寄宿学校に入っていた。ピエールは彼女の父親代わりになり、2人は毎週日曜日に湖畔の森で遊ぶ。2人は父娘というより、恋人どうしに見えた。マドレーヌは2人のことを職場の医師に相談する。医師はピエールを変質者と見なして警察に通報し、警官がピエールを射殺する。
『日曜はダメよ』(ダッシン) ギリシアの港町。イリアは美人で気立ての良い娼婦である。彼女は毎週、月曜から土曜まで客を取るが、日曜日だけは仕事を休み、彼女のファンの男たちを自宅へ呼んでパーティーを開く。古代ギリシアに憧れるアメリカ人ホーマーは、ギリシア文明崩壊後の快楽主義の象徴がイリアだと考え、彼女を教育し、娼婦をやめさせようとする。しかしイリアと酒場の男たちの陽気な毎日を見て、ホーマーは「私もイリアと寝たいと思っていた」と告白し、アメリカへ帰って行く。
『炎のランナー』(ハドソン) 1924年のパリ・オリンピック。イギリスの100メートル走者リデルは、宣教師だった。彼は100メートル走の予選が日曜日と知って、「日曜は神が定めた安息日だから、私は走らない」と言う。イギリス皇太子をはじめとする要人たちがリデルを呼びつけて、国のために出場するよう強く要請したが、それでも彼は断った〔*リデルは代わりに、競技日が日曜ではない400メートル走に出場して、優勝した〕。
『ろばの皮』(ペロー) 美しい王女がろばの皮をかぶり、他国の王の領内で、農家の下女として働く。日曜日と祝日には、王女は自室を閉め切り、ろばの皮を脱いで化粧をする。王女はドレスを着て大きな鏡の前に立ち、誰よりも美しい姿にうっとりと見入る。この愉しみが、次の休日まで働く力を王女に与えるのだった。ところが、ある時、王女はドレス姿でいるところを、のぞき見されてしまった→〔のぞき見〕5。
*日曜日は安息日で、仕事を休むべき→〔月の模様〕2の 月の陰影の由来(フランスの神話)・月の中のハンス(ドイツの伝説)。
*日曜日は、夫であることを休む→〔二人妻〕2eの『ふたりのロッテ』(ケストナー)。
*「日曜日」というあだ名→〔あだ名〕5の『日曜日』(三島由紀夫)。
★2.月曜日。
『月曜日のユカ』(中平康) 18歳の美少女ユカは、船荷会社の社長である「パパ」を喜ばせたい、幸福にしてあげたい、と願っている。日曜日、ユカは、「パパ」が妻や娘と買い物をする楽しそうな姿を見る。日曜日は、「パパ」が家族と過ごす日なのだ。ユカは「月曜日を、私のためにとっておいてほしい」と思う〔*ユカは「パパ」に頼まれ、会社の取引先の外人船長と寝る。その後、ユカとパパは埠頭で踊り、「パパ」は海へ落ちる。溺れ死ぬ「パパ」を、ユカは黙って見ていた〕。
★3.金曜日。
『お目出たき人』(武者小路実篤) この数年来、「自分」は、近所に住んでいた女学生・鶴を恋している。逢いに行きたいと思うが、今日は金曜日であることに気がついた。金曜日は西洋人が忌む、と聞いている。それで2~3年前から、金曜日にはなるべく逢いに行かないようにしている。そんなことは迷信だと思って、出かけることもある。しかし、いい気はしない。考えたあげく、今日は逢いに行くのをやめた→〔空想〕4。
『13日の金曜日』(カニンガム) 1957年、ニュージャージー州のクリスタル湖でジェイソンという男の子が溺れ死んだ。ジェイソンの母親は「監視員たちの怠慢のせいだ」と憤った。母親は翌年、湖畔でキャンプする少年少女2人を刃物で殺した。以来、クリスタル湖のキャンプ場はさびれてしまったが、20年余を経た19××年の6月13日金曜日、男女8人の若者がキャンプを復活した。その夜、ジェイソンの母親は、ナイフ・斧・矢などで次々と若者たちを惨殺する。アリスという娘1人だけが生き残り、アリスは格闘の末、ジェイソンの母親を殺した〔*湖で溺れたジェイソンは生きており、続編で殺人鬼となって登場する〕。
『ロビンソン・クルーソー』(デフォー) 孤島にただ1人漂着した「私(ロビンソン・クルーソー)」は、大きな柱で十字架を作り、「1659年9月30日、我ここに上陸す」とナイフで刻んだ。聖なる安息日と平日の区別がつかなくなると困るので、柱の側面に毎日ナイフで刻み目をつけ、暦とした。島で暮らし始めてから25年後、「私」は人食い人種に追われる男を助けた。彼は26歳くらいで、皮膚の色は黒というより、濃い黄褐色だった。その日は金曜日だったので、「私」は彼を「フライデー」と名づけて、部下にした。
★4.土曜日。
『スーフィーの物語』17「粘土の鳥はなぜ空を飛んだか」 マリアの息子イエスがまだ幼子だった時、粘土で小さな鳥を作って遊んでいた。その日は土曜日(=ユダヤ教の安息日)で、働くことも遊ぶことも禁じられていたので、長老たちがやって来てイエスを咎める。すると彼らの目の前で、粘土の鳥は空に向かって飛び立って行った。これを見た長老の1人は、「粘土の鳥が空を飛べるはずはないのだから、安息日の掟を破ったことにはならない」と言った→〔見間違い〕9。
『メリュジーヌ物語』(クードレット) メリュジーヌはレイモン(=レイモンダン)と結婚するに際し、「私が毎週土曜日にどこで何をするか、決して詮索しないことを誓って下さい」と要求する。2人は仲むつまじく暮らし、10人の子が生まれる。ある日レイモンの兄が訪れ、「メリュジーヌは土曜日には他の男に身をまかせている、との噂がある」と言う。レイモンは動揺し、メリュジーヌとの誓いを破って彼女の部屋をのぞき見る→〔のぞき見〕1b。
*土曜日の午後の犯罪→〔エレベーター〕1の『死刑台のエレベーター』(マル)、→〔硬貨〕1の『百円硬貨』(松本清張)。
『ロミオとジュリエット』(シェイクスピア) 日曜日の夜、モンタギュー家のロミオは仮面をつけて、キャピュレット家の舞踏会へ行き、ジュリエットと出会う。月曜日の午後、ロミオは、ジュリエットの従兄ティボルトを殺して、ヴェローナの街を追放される。火曜日もしくは水曜日の夜(*どちらにしても前後矛盾が生じる)、ジュリエットは42時間の仮死をもたらす薬を飲む(*→〔仮死〕3)。木曜日の夜、ロミオは、ジュリエットが本当に死んでしまったと思い(*→〔死の知らせ〕3)、絶望して毒薬を飲む。その直後にジュリエットは目覚め、短剣で自らの胸を刺す。金曜日の早朝、2人の死を契機に、モンタギュー・キャピュレット両家は和解する(*→〔和解〕2)。
★6.一週間。
『セレンディッポの三人の王子』 セレンディッポ(=セイロン)の3人の王子が、バフラーム皇帝の病気を治す方法を提案する。広く気持ちの良い田園に7つの美しい宮殿を建て、世界の7つの地方の領主の娘(処女でなければならない)を1人ずつ住まわせる。皇帝は月曜から毎晩、宮殿を1つずつ巡り、乙女らと甘く楽しい語らいをして1週間を過ごすのである〔*皇帝の病気の原因は、美女ディリランマを失ったためだった。1週間の最後の日、日曜日にディリランマが現れたので、皇帝の病気は治った〕。
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