日本の寄付文化とは? わかりやすく解説

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日本の寄付文化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 02:08 UTC 版)

寄付」の記事における「日本の寄付文化」の解説

律令制以前から日本には、神の代理人である首長初穂料、初尾料として収穫物生産物捧げる習俗があった。首長大和朝廷服属したのちには、祭祀の最高統括者である天皇初穂料納める形となり、律令制以後は祖や調に変化した10世紀税制改革結果、神への寄進という名目無くなり地税一本化されたが、その後も「上分」と呼ばれる神仏への寄進行われた奈良時代の頃から、利水治水橋・道建設などの公共事業のため、仏教僧民間から奉加(ほうが)と呼ばれる寄付集め勧進が行われていた(奉加者一覧が「奉加帳」)。中世自力救済時代であったが、民衆の間に頼母子講などの相互扶助始まった。これは集団金銭貯蓄し貧困者などに順番供与するという、寄付同様の機能持った相互扶助であった近世入って相互扶助伝統継承された。 また、中世には「金持ち道徳的に優れている、また優れてなくてはいけない」という「有徳思想」が生まれ有徳人呼ばれた富豪たちは富を社会還元することを期待された。有徳人供出した富を有得銭有福銭と呼ぶが、米などの現物充てる場合もあった。有得銭は主に寺社への喜捨として供出されたが、鎌倉時代以後飢饉救済など、より世俗的な用途使われるようになった江戸時代大坂大阪)には、「きたのう貯めて、きれいに使う」という精神美徳としてあった。そのため、大阪八百八橋は皆町人寄付作られといわれる位である。この「きたのう貯めて、きれいに使う」の言葉の意味は、一言言えば商売上の勘定と、公共への支出勘定は別であるという意味である。つまり、商売上はきたないといわれる程に無駄を省いて倹約倹約重ねて資本蓄えるのが商人美徳だが、しかし、商売から離れれば人として世のためや人のためにはできるだけの事をやるのが美徳であるとの価値観のことである。 この様精神明治以後にも続き中ノ島公会堂公共施設美術館小学校などが市民寄付作られた。しかし、第二次世界大戦大阪灰燼に帰し商業中心東京へ移ると、このような精神も「お上中心」の消費都市である江戸文化延長東京では「下らぬ」ものとなり、日本全体には広がらなかった。 明治になり社会構造大きく変わると、相互扶助に代わって寄付盛んになっていった第二次世界大戦以前は、皇室財閥などによる寄付寄付総額30%に上るなど、福祉かなりの部分寄付担っていたが、大戦後福祉国家理想とされるうになると、福祉政府責任を持つという意識広がり寄付相対的地位低下していった。それでも1995年阪神・淡路大震災の際は、未曾有の災害状況多数義捐金寄せられたが、被災者への公平配分原則とする中、被災者全体像把握時間要し全額配分には約1年半要した災害義援金はまず赤十字中央共同募金会構成される義援金配分委員会」にプールされ一人当たりの支給額決定され上で交付される。なお、日本における寄付総額前年の2倍に増加した)。2000年頃からは、ゆるやかな連帯による社会再構築日本各地模索され始めたそうした運動支えNPOへの寄付が、現実的な寄付金の必要とされる人への交付という点からも注目されるようになっている2003年には、大賀典雄ソニー名誉会長当時)が退職慰労金16億円を長野県軽井沢町全額寄付しようとしたが、贈与税問題などから、手取り12億1699万円事業主として軽井沢大賀ホール建設完成後に町に無償供与するという形を取らざるを得なくなるという事態が発生した。この事例は、贈与税日本における寄付阻害要因となっている典型的な例である。 2010年12月以降漫画タイガーマスク』の伊達直人などの架空キャラクター名義で、素性明かさず児童養護施設などに寄付を行う「タイガーマスク運動」が起きているが、その根本密かに慈善を行う事を美徳とする照れ文化と、逆に欧米のような素性明かした寄付は「売名だ」と非難される点が指摘されており、根本改善されない限り、この運動一過性の祭り流行に終わるという指摘もある。 2020年3月13日政府は、天皇即位したことに伴い天皇社会福祉事業1億以内寄付ができるようにするため、国会提出する日本国憲法第8条規定による議決案を閣議決定した。この議決案は、3月26日衆議院本会議において全会一致可決され3月31日参議院本会議において全会一致可決され国会の議決がされた。2020年4月6日宮内庁は、天皇即位にあたり天皇自らが社会福祉事業のための2団体に計1億寄付する発表した

※この「日本の寄付文化」の解説は、「寄付」の解説の一部です。
「日本の寄付文化」を含む「寄付」の記事については、「寄付」の概要を参照ください。

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