日本の家紋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/23 02:05 UTC 版)
皇室の家紋の菊花紋章を西洋紋章化した紋章。左はガーター騎士団員としての明仁上皇の紋章、右は金羊毛騎士団員としての明治天皇と大正天皇の紋章。 詳細は「家紋」を参照 日本で紋章に当たるものは特に家紋と呼ばれる。家紋は個人を識別するものというよりは家族を識別するものであり、縁組では図案は変化せず、一家族だけでなく家系全体で同一のものを用いる。分家の場合は本家の家紋に若干の違いをつけて区別する。また、拝領紋や加増紋という形で家紋そのものが変化することがあるが、全体としては非常に稀である。西洋の紋章に描かれるアクセサリーのひとつのクレストは家族全員で同じものを使うことがあり、家紋とよく似ているため、英語では外来語としての「カモン (Kamon)」や「モン (Mon)」の他に、ジャパニーズ・クレスト (Japanese Crest) やファミリー・クレスト (Family Crest) などと呼ばれることがある。 全く同じ家紋を別の家系が用いることがないのは西洋の紋章と同様である。西洋の紋章が紋章記述という文章でその図案が定められるのに対して、家紋は緻密な幾何学的紋様として図案が定められている。そのため、ほんの僅かでも図案に違いがあれば異なる家紋と捉えられるという点が描画に比較的自由度のある西洋の紋章と異なる。このような定義方法の違いから、一見では全く同じ家紋のように見えても、家紋の名称も家紋を用いる家系も異なるということがある。とはいえ、西洋の紋章のように家紋を厳格に管理・統括する機関はなく、現代に至るまで家紋の制度が法的に保護された公的な制度としては定着していない点が日本において何を紋章とするかの定義づけを困難にしていると言える。 このように継承の実績があり、家系が異なれば家紋も異なることから日本の家紋も紋章の一種と捉えることができる。西洋の紋章とは幾つかの共通点があり、どちらも11世紀頃に発祥したものではあるものの、お互いに全く影響しあっていない。
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