平均損失率とは? わかりやすく解説

平均損失率

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/14 03:02 UTC 版)

ドイツ海軍小型戦闘部隊」の記事における「平均損失率」の解説

出撃数および損害1945年1月 - 5月):273 種別出撃損害損失ゼーフント 142 3525 % ビーバーモルヒ 102 7069 % リンゼ 171 5432 % 合計 415 15942 % 戦時中活動していた他の軍部隊と比較しても、K戦隊損失率は非常に高い。その原因推測することは難しいが、1944年および1945年時点では他の潜水艦戦力でも同様に損失急増していた。一方隊員忠誠心こそを損失率の理由とする主張もある。つまり、K戦隊一部自殺部隊(Selbstmordkommandos)と指定されており、当該部隊隊員らは「"孤立した闘士"(Einzelkämpfer, コマンド隊員同義)」として教育受けていたため、高い損失率を示したとするものである。ただし、こうした主張はしばし矛盾はらんでいる。 体当たり攻撃任務とした空軍ゾンダーコマンド・エルベのように、一般にK戦隊ドイツにおける自殺攻撃(Suizideinsätze)の一例と見られる事が多いが、いわゆる自己犠牲部隊(Selbstopfereinheit)と公的に位置づけられてはいない:5:171K部隊においては命令のもと死を強制されることはなかった。ただし、空軍体当たり攻撃と同様、乗員らが任務遂行後安全に離脱するための時間的余裕極めて限られていた。ハイエは1955年出版され著書において、「高度に文明化された白色人種たるこれら兵器乗員は、例えば死を選んだ日本人飛行士とは異なり作戦後生存および復帰のための本物チャンスがあったし、なければならなかった」と述べている:505:6:6:8。この点がK戦隊基本原則1つであることをハイエは強調した同書各隊員が出撃までに必ずや生還可能性が高いという確信を持つべきであるとしている。ただし、実際に連合国軍発見追跡され隊員中には捕虜になることよりも「英雄的な死」を選ぶ者も少なくなかった:5。さらにハイエは同書の中で、自己犠牲良しとする者とそれらを無駄と断ずる者の中間に自らを置き、次のように述べている:108我が民族中にも犠牲的な死(Opfertod)に志願し、また実施する精神力を持つ者は複数あるかもしれない。しかし私が思うに文化的国家育てられ白色人種そのような行為を行うことはもはや不可能である。世界中すべての軍隊にしばしば見られるように、突然頭に血が上り自らの命を顧みず戦おうとする勇敢な男は何千人もいた。しかし、犠牲的な死というものは、数時間前、せいぜい数日前思い立って実施されるもので、我が民族が採りうる戦法として確立されたことはほとんどない。人にそうした行いをさせるほどの宗教的狂信欧州人持たない人々はもはや自らの生死関連し原始的軽蔑抱かない。 ハイエの一見して人種差別的な見解海軍総司令部要請受けて特に強調されたもので、この原則のもと小型戦闘装備開発当たって装備自体再使用可能であるか、少なくとも隊員攻撃の後に脱出して再度戦闘復帰できる可能性があることが求められた。唯一の例外使い捨て想定して設計されリンゼ特攻艇である。乗組員衝突直前脱出し以後無人ないし遠隔操縦誘導することとされていた。人間魚雷ビーバーモルヒヘヒトゼーフントには炸薬信管搭載されておらず、日本製回天のような体当たり攻撃用いることはできなかった。人員の不足:223訓練コスト増加:514も、隊員消費加速させる自殺戦法対す反発招いた訓練担当者らも自己犠牲求めなかった。ヨハン=オットー・クリークは訓練生対し帰国不可能と判断した場合は艇を自沈させた上で付近船舶助け求めるように指導しており、自己犠牲無意味であって例え捕虜としてであっても生存することが重要であると述べている:58一方こうした指導部見解や声明は必ずしも正しくないとする関係者もある。例えば、1944年8月海軍戦争指導部(ドイツ語版日誌では、「ウィンケルリート」(Winkelried)、「カミカゼ」(Kamikaze)、「殉教者」(Opfergänger)、「犠牲的戦闘員」(Opferkämpfer)、「総力出撃」(Totaleinsatz, 自殺任務婉曲表現)、「シュトルムヴィーキンガー」(Sturmwikinger, 特攻艇を指す語)といった自己犠牲任務示唆する用語が多用されている。こうした用語は、兵士上官ないし司令部命令受け入れた上で、あるいは自発的に実施した自己犠牲攻撃成功を表すために用いられた。「ウィンケルリート」は、「任務最中指導者民族祖国のために自らを犠牲にした」とされるスイス国民的英雄アーノルト・ウィンケルリート(ドイツ語版)に因んだもので、自己犠牲攻撃のために戦死した兵士捧げられる称号として用いられた。最初にこの語が用いられたのは、第361K艇団(K-Flottille 361)に所属する10人の若者に対してである。彼らは航続距離帰還可能性顧みず全ての要目標の破壊任務としており、出撃前からウィンケルリートという称号冠されていた。結局10人のうち生還した者はいなかった:509当時、K戦隊西部幕僚総監Chef des Kommandostabes West der K-Verbänd)を務めていたフリードリヒ・ベーメ(Friedrich Böhme)は、「彼らの自己犠牲精神はウィンケルリートと称する値する」と述べている。海軍官報(Marine-Verordnungsblatt)に掲載されデーニッツ署名付き戦死公報では、「彼らの精神は、全海軍将兵模範であるとともに任務遂行意志強く鼓舞することとなる」(... Der Geist, der aus diesen Männern spricht, soll für jeden Soldaten der Kriegsmarine Beispiel und Ansporn zur höchsten Pflichterfüllung sein.)と述べられている。 1944年8月3日実施され奨励演説(AnfeuerungsspruchあるいはAnfeuerungs-FT)において、ハイエはネガーおよびマーダー乗員募集するにあたって、「祖国最前線を巡る激戦におけるウィンケルリート」を求めると述べている。隊員らがこうした指導部姿勢影響を受け、自己犠牲意思固めたか否か定かではない関係者戦後もこの点について証言しなかった:520また、自己犠牲強調した表現隊員募集が行われたのは人間魚雷のみで、ビーバーゼーフント乗員向けて行われなかった。1945年1月18日デーニッツヒトラーに対して行った状況報告において、特攻艇を指す「シュトルムヴィーキンガー」(Sturmwikinger)なる表現初め用いられた。デーニッツは「遠距離目標に対して、K戦隊は『シュトルムヴィーキンガー』を用いることでのみ対抗できる」と述べた戦後尋問において、デーニッツはK戦隊当初から「消耗品」(Verbrauch)として捉えられていたと語った。すなわち、安価に製造され交換も容易であると考えられていたのである。ハイエは1955年著書において、理想的な"孤立した闘士"とは、上官命令がなくとも自らの判断において活動する者であると述べている:8 Pt.3。イギリスによる戦後報告書では、K戦隊における自己犠牲が非常に多かったことが示唆されているものの、実際割合不明であり、いずれの小型戦闘装備設計にもそうしたアイデア反映されていないデーニッツ証言も同様である。K戦隊大きな損害被った原因が、隊員自己犠牲判断よるものか、装備不十分なものであったため、あるいは戦況劣勢であったためかは定かではなく、むしろこれら3つの要因複合した結果考えられている。

※この「平均損失率」の解説は、「ドイツ海軍小型戦闘部隊」の解説の一部です。
「平均損失率」を含む「ドイツ海軍小型戦闘部隊」の記事については、「ドイツ海軍小型戦闘部隊」の概要を参照ください。

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