小頭目
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/17 14:45 UTC 版)
「月の蛇 〜水滸伝異聞〜」の記事における「小頭目」の解説
李忠(りちゅう) 梁山泊の頭目。「打虎将」の渾名を持つ。公徳の村を襲撃したところを飛虎と対峙。鋼造りの棍棒を得物とするが、その武芸を「道場稽古」と嘲られた挙句、棍棒ごと蛇矛で切り倒される。死の直前、梁山泊にさらなる猛者が大勢いることを飛虎に伝えた。 周通(しゅうとう) 梁山泊の頭目で李忠の弟分。渾名は「小覇王」。女好き。李忠とともに略奪を行っていたが、飛虎に挑みかかり瞬殺された。 穆春(ぼくしゅん) 梁山泊の頭目で、穆弘の弟。渾名は「小遮欄」。穆弘の威光を傘に掲陽鎮で我が物顔に振舞っているが、実態はただのチンピラ。特徴的な髪型の持ち主で飛虎曰く「キノコ」。薛永をけしかけ飛虎を討とうとするが、それが返り討ちにあうとあっさり逃げ出し、穆弘に一連の事態を伝えた。穆弘と飛虎の決闘を見守っていたが、敗れた穆弘を眼前で「主君」に惨殺され慟哭する。 薛永(せつえい) 掲陽鎮詰めの梁山泊の頭目。渾名は「病大虫」。李忠と親しく、彼を殺した飛虎打倒を穆春に宣言。大道芸人に化けて飛虎を奇襲した。剣の使い手で、すばやい動きで飛虎を翻弄するが、彼の挑発に乗って足を封じられ、川に斬り落とされた。 童威(どうい)、童猛(どうもう) 李俊の舎弟でよく似た容姿の兄弟。渾名はそれぞれ「出洞蛟(しゅつどうこう)」「翻江蜃(はんこうしん)」ともに頬と二の腕に易の卦を模した刺青を施している。ともに匕首を得物とするが、真の価値は驚異的打たれ強さにあり、飛虎の鉄拳を受けてもまったく怯まないほど。李俊の策により孤立した飛虎を襲撃し、蛇矛を強奪、丸腰の飛虎を追い詰めるが、武器無しでの打倒は不可能と見た飛虎の宿の二階から下を流れる河に蹴落とすという奇策を受け、強制的にその場から退場させられた。なお、童威の匕首にはあらかじめ強力な神経毒が塗られていた。 燕順(えんじゅん) 青州清風山を治める山賊。渾名は「錦毛虎」。豪放磊落な人物。梁山泊入山後も民衆から略奪を行うなどしている。梁山泊でも古参の部類に入る頭目だが、現在の本塞の方針や自身の現在の席次に不満を抱いており、反抗的な態度を取っていた。 飛虎によって自身より上席の頭領が3人も討たれたことにより、今まで不動だった席次の変動があると考え、欧鵬を焚き付け、飛虎を他の頭目に先んじて討ち取り、自身が幹部の席に収まろうと目論んだ。しかし、既に首脳陣には察知されており、燕青と李逵に阻まれ、李逵のビンタ一発で失神させられる。 欧鵬(おうほう) 黄門山を治める山賊。渾名は「摩雲金翅」。鷲鼻、羽飾りのついた外套を愛用する。燕順のように表立って反抗はしていないが、やはり本塞の方針に不満を抱いており、燕順の誘いに乗って、他の頭目が討たれた頭目の葬儀に出席している最中に、飛虎一行の首を挙げ、幹部昇格を狙った。 しかし、動きを察知した燕青、李逵に阻まれ、手柄欲しさではなく義侠に駆られての行動という弁明も通じず、李逵に腹心の部下たちを斬殺され、燕青に塞の命令の絶対遵守を凄まれ、ついにこれを諦めた。 鄧飛(とうひ) 本塞詰めの小頭目。鎖鉄球の使い手。賭場荒らしを行い仲間を殺されて逃げ帰ってきた部下に死を持って恥を注ぐよう厳命するが、宋江に諭され部下を殺害した牛金一味に報復を行う。 扈三娘(こさんじょう) 梁山泊の女頭目であり、「一丈青」と渾名される双刀の達人。 実は梁山泊に滅ぼされた独竜岡三家荘の1つ扈家荘の令嬢であり、翠華の兄・祝彪とは許嫁で、翠華も実の姉のように慕っていた。祝家荘が滅ぼされた夜、梁山泊が扈家荘との不戦協定を反故にすることを見抜き、扈成らの制止を振り切って単独で祝家荘救援のため出陣、そのまま戦死したと思われていたが、実は家族や許嫁の仇であるはずの梁山泊の仲間となっていた(原典では小頭目の1人・王英と結婚させられていた)。 李逵、花栄らとともに扈成の屋敷を襲撃、その変貌に当惑する翠華の喉元に刃を突き付けそのまま拉致してしまう。しかし花栄が翠華を処刑しようとした際、これに反逆。彼女は梁山泊への恨みを忘れておらず、報復と翠華を梁山泊の魔手から救うのが襲撃参加の目的だった。花栄に対しては相討ち覚悟で彼の矢を受け間合いに侵入、一気に討ち取る戦法を立てるがこれらは呉用によって見抜かれており、花栄が伏せていた項充、李袞に刃を阻まれ、花栄の矢から翠華を庇って肺腑を射ち抜かれ致命傷を負う。 止めを刺される寸前に飛虎が乱入、梁山泊側も林冲が到着し二人の決戦となるが飛虎は惨敗。ここで、自身の希望である翠華とその翠華の希望である飛虎を逃がすため、林冲の前に立ち塞がり斬殺された。林冲は彼女が既に刀も振るえない状態であることを見抜いていたが、その覚悟の前に敢えて彼女の望み通り飛虎らを逃がし、止めを刺す寸前には最大級の賛辞を贈っている。 項充(こうじゅう)、李袞(りこん) 呉用によって扈三娘の裏切りを察知した花栄が保険のために連れてきた小頭目。渾名はそれぞれ「八臂哪吒(はっぴなた)」「飛天大聖」。 項充は全身黒尽くめの口ひげを蓄えた冷静沈着な男。李袞は猿のような身軽な男で、「キキッ!」などの奇声しか話さない。両者とも団牌の名手であり防御能力に関しては梁山泊随一。またそれぞれ背中に差し挟んだ二十四本の飛刀、飛槍を投擲して戦う。花栄の第一射を相討ち覚悟で受け、間合いに入り込んで討とうとした扈三娘を団牌で阻み彼女の目論見を粉砕した。項充が扈三娘の攻撃をことごとく防御し、花栄と李袞が飛び道具で援護することによって三娘と翠華をじわじわと追い詰めて行くが、止めを刺す寸前に飛虎が乱入。背後から奇襲をしかけようとした李袞は一撃で斃され、飛虎の前に立ちはだかった項充も団牌ごと「月の蛇」に両断された。 蔡福(さいふく) 物語開始前に飛虎に討たれた人物。 北京牢城の役人でありながら梁山泊と内通し頭目の地位を得ていた。肥満体で飛虎曰く「肉まん」。人の痛み苦しむ様を見て快感を覚える歪んだ性癖の持ち主で、弟・蔡慶をけしかけ独断で罪人を嬲っていた。渾名は「鉄臂膊(てっぴはく)」で、金棒を武器とし、弟に負けず劣らずの怪力。董平を殺した飛虎を逮捕しこれを私刑にかけ処刑しようとしていたが、彼を救出するべく潜入した青慈が牢城に放火。逃亡しようとした囚人を弟とともに殺していた所で飛虎と遭遇、丸腰の彼を兄弟で嬲り者にするが、翠華が飛虎の黒蛇矛を火中から取り戻したため形勢逆転。飛虎を救出しようとしていた黄牛を惨殺していたため、彼の怒りを買っており、一撃で縦真っ二つされた。 蔡慶(さいけい) 蔡慶の弟で北京の役人。渾名は「一枝花」。兄同様肥満体。素手で人間の首を捩じ切る怪力の持ち主で、蔡福の番犬と呼ばれている。普段は温厚で愚鈍な人物だが、それゆえに兄・蔡福のおもうがままであり、「悪いことをした人間は罰しなければならない」の一言で豹変し罪人に対して凄惨な私刑を行う。北京牢城に放火された際、兄に従い錘で逃げ出した囚人を殺していたが、そこで脱出途中の飛虎と遭遇。兄と共に丸腰の彼を追い詰めるが、その手に得物が戻ると形勢逆転し、右腕を切り落とされる。兄がいないと何も出来ないため、敗北後、今まで虐待してきた囚人たちに袋叩きにされるが、花栄と林冲に救出される。
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