小額硬貨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 13:32 UTC 版)
1セント硬貨と2セント硬貨はそもそも、ユーロの導入によって商店が価格を引き上げる口実に用いられないように導入されたものである。ところが小額硬貨の流通を維持するのに費用がかかるため、フィンランドやオランダでは現金払いのときに端数が5セント単位になるスウェディッシュ・ラウンディングが行なわれ、そのため1セント硬貨や2セント硬貨はあまり流通しておらず、一部のコイン収集家が集めるほどしか造幣されていない。ただ両硬貨はなおも法的地位を有し、両国以外では造幣されており、1セント硬貨を使って商店で支払いをすることもできる。 フィンランドでは硬貨が流通の開始とほぼ同時の2002年1月に、価格の端数を5セント単位にするよう定めた法律が公布されている。オランダでも2004年9月に、ベルギーでも2005年に同様の法律が制定されている。オランダでは小売業界からの圧力を受けて実施に至っており、この際に小売業界からは1セント硬貨や2セント硬貨を扱うことに対する費用が過大であるという訴えがなされていた。2004年5月にウールデン市内での実験を成功したことを受けて、同年9月からオランダ全土で現金での取引の際に端数が5セント単位となるようにすることが認められた。 またこの措置は金属の価格が上昇したことなども要因となっている。オランダ銀行は小額硬貨の発行を停止することで年間3600万USドルの削減になるという試算を示した。ただドイツなどでは、消費者に €2 という表示よりも魅力を感じさせる €1.99 という表示を続けたいために小額硬貨を残したいとする意見もある。欧州中央銀行も消費者の意識を引くために、小売業界に対して価格をより厳密に計算させるとして小額硬貨の存続についてはドイツなどと意見を同じものとしている。ユーロバロメーターの市民に対する2005年の調査によれば、ドイツでは1セント硬貨や2セント硬貨の廃止について、ユーロ圏諸国でもっとも否定的であったが、全体の平均では1セント硬貨の廃止に賛成が58%、2セント硬貨の廃止に52%が賛成している。中でもベルギーではこれらの硬貨の廃止に賛成という意見の割合がもっとも高かった。 ユーロ圏各国で新たに造幣される硬貨のうち、1, 2, 5セント硬貨が全体のおよそ80%を占めている。これらの小額硬貨の製造に費用がかかるため、欧州委員会と一部のユーロ導入国はこれらの小額硬貨の両面のデザインを統一して経費を削減することを提案したことがある。
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