大統領選挙本選
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 16:51 UTC 版)
大統領選挙戦中、バイデンはトランプ政権の新型コロナウイルスの感染対策遅れについて「ドナルド・トランプが米国を守ることに失敗し、アメリカを恐怖に陥れているというのが事実だ」と批判し、トランプ政権側の「コロナの最悪期はすぎた」という主張も否定した。また、バイデン陣営は車を乗り入れるドライブイン形式で集会を行い、参加者にはマスク着用を要請するというコロナ対応を行った。 公約として連邦最低賃金時給15ドル、グリーン・エネルギーへ2兆ドル投資、アメリカ製品購入促進に連邦予算4000億ドル拠出、オバマケア拡大、人種差別を是正する刑事司法改革(ただし左派が主張する警察予算削減には反対)、トランプ政権による富裕層や企業への減税措置の廃止、トランプ政権による移民規制政策の廃止、トランプ政権が離脱したパリ協定への復帰、トランプ外交の単独主義を廃して北大西洋条約機構(NATO)など同盟国との関係を強化し中国に対抗していく外交、学生ローンの返済免除や大学無償化、小学校以前の学習機会を全国民に提供などを上げた。また全米単位のマスク着用の義務化や、地方政府に資金や人材を支援して検査能力を引き上げて検査を拡大させる新型コロナ対策を訴え、感染症の専門家からは評価を受けた。 前回選挙での民主党の敗因として、当時の大統領候補ヒラリー・クリントンが左派を軽視しすぎたせいで左派の票が十分に得られなかったという分析があったため、公約をかなり左派に寄せたものになった。しかしそのために大統領選挙ではトランプから「バイデンは極左に乗っ取られた操り人形」、「社会主義者の『トロイの木馬』」と批判される材料となった。 9月29日の最初の大統領選挙討論会ではトランプが度々バイデンの持ち時間の最中に割り込んだため、次回からは候補者の1人が発言する際に相手側のマイクを一定時間切る措置が取られることになった。 10月22日にテネシー州ナッシュビルで開催された2度目の大統領選挙討論会では、前回と変わって両者の不規則発言は無くなり、新型コロナウイルス対策や北朝鮮問題、人種差別や気候変動対策など、様々な政策課題についてお互いが主張を展開し、批判し合った。人種差別問題ではトランプが「リンカーン元大統領を除けば私ほど黒人のために貢献した人物はいない」「私はこの部屋にいる人のなかで、最も非差別的な人間だ」と述べたのに対し、バイデンは「アメリカの歴史で最も人種差別主義者の大統領がここにいる」と攻撃した。 11月3日に大統領選挙の本選挙が実施され、11月7日午前に主要メディアは、バイデンが接戦州のラストベルト3州(ペンシルベニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州)で勝利を確実とし、獲得が確実になった選挙人数が過半数に達したため当選確実になったと報道した。これを受けてバイデンは同日夜に勝利宣言を行い「私は分断するのではなく団結させる大統領になると誓います。赤と青に分かれた州ではなく、団結した州(合衆国)を見る大統領に、国民全員の信頼を勝ち取るために全身全霊で努力する大統領に」と決意を述べた。11月13日には全50州の勝者が判明し、バイデンはラストベルト三州のほか、共和党の地盤だったアリゾナ州とジョージア州でも勝利して306人の選挙人(トランプは232人)を獲得する見通しであると複数のメディアにより報じられた。 現職の大統領であるトランプは敗北を認めておらず、政権移行に協力しないよう各省庁に指示していたため、政権移行手続き(英語版)が滞っていたが、手続きの遅れは国家安全保障に悪影響を与えるとの懸念が広がったため、11月23日に一般調達局(英語版)が政権移行手続きを承認。バイデンは政権移行の準備のための政府資金の提供や機密情報アクセスなどを受けられるようになった。 2020年12月14日に全米50州とコロンビア特別区で選挙人による投票が実施された。誓約違反投票をした選挙人は出ず、過半数の306人の選挙人を確保しての次期大統領当選が確定した。 この結果を受けてバイデンは改めて演説を行い、トランプの選挙結果を覆そうという様々な試みにもかかわらず、民主制度は持ちこたえたとの認識を表明し「民主主義の炎はこの国ではるか昔に灯された。パンデミックや権力乱用もこの炎を消すことはできないことが分かった」「米国の魂のための闘いで民主主義が勝利した」と語った。そして「(トランプの時代から)ページをめくり、結束し癒やしを得る時が来た」「今回の選挙キャンペーンを通じて、私は全ての米国民の大統領になると述べた。私に投票した人々のためと全く同じように私に投票しなかった人々のためにも懸命に働く」と述べた。 2020年12月21日にはファイザーとバイオンテックが開発したCOVID-19ワクチン(Tozinameran)の公開接種を受けた。 2021年1月6日から上下両院の合同会議が行われ、先の選挙人の投票結果が正式に確定される予定だったが、議会の開始直後、選挙結果を認めないトランプ支持者の一部が連邦議会に乱入、議会を占拠する事件が発生した。この暴動に対してバイデンは「われわれの民主主義がかつてない攻撃にさらされている」「連邦議会議事堂に突入し、窓ガラスを割り、オフィスと米上院の議場を占拠し、適法に選出された議員の安全を脅かした。 これは抗議デモではない、反乱だ」と述べた。 この騒ぎで議会が一時中断されたが、州兵が動員されて乱入したトランプ支持者たちが排除された後の6日夜に再開され、7日未明に選挙人投票の結果が承認されて正式にバイデンの当選が確定した。
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