大統領選挙立候補と不可解な「失踪」
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「イワン・ルイプキン」の記事における「大統領選挙立候補と不可解な「失踪」」の解説
2004年2月、ルイプキンは「自由ロシア」を結成し、2004年ロシア連邦大統領選挙に立候補を表明した。ルイプキンは、プーチン政権によって事実上国外追放されたボリス・ベレゾフスキーの資金援助を受け、さらに有権者200万人の署名を集めて選挙戦に臨んだ。選挙戦当初は、チェチェン政策や経済政策、社会政策などをめぐり積極的にプーチン政権批判を行っていた。 ところが2月5日、ルイプキンは突如失踪した。不可解な状況の下での失踪ということもあり、彼の家族は8日になって警察に捜索願を出したが、要として行方は分からなかった。しかし失踪から5日後の10日になって、ルイプキンはウクライナの首都キエフに姿を現した。ルイプキンはこのとき、自分はただキエフに住む友人の家にいただけで、騒ぎになるとは予想せず、姿を消すつもりなかった、今日新聞を買って驚いたとして、誘拐説を否定。また、「私は疲れており、休暇をとる権利はある」と発言した。 しかし2月14日、ルイプキンはロンドンで記者会見し、「ウクライナの首都キエフで、何者かによって誘拐されていた」と説明した。ルイプキンは会見で、チェチェン独立派のアスラン・マスハドフと和平交渉に臨むため6日にモスクワからキエフに入った。キエフ市内のアパートでマスハドフを待つ間、出された茶を飲み気を失い、10日に意識を取り戻したと語った。この間、同室の人物から「協力するように」と脅迫を受けていたとも語り、また、実行犯から「これは特殊作戦である」と説明を受けた、とも証言した。ルイプキンは「誰の仕業かは不明だが、誰の利益となるかは明らかだ」と述べ、プーチン大統領派による謀略であるとし、身の安全を図るため選挙投票日である3月14日までロシアへは帰国せずにヨーロッパに滞在することを発表した。 しかし、この会見はロシアではほとんど報道されなかった。そもそも選挙期間中から一貫してルイプキンの支持率は5%を下回っており(プーチンの大勝が確実視されていた)、失踪時もそれほど注目されていなかった。むしろ、失踪当初から「自作自演の疑いがある」と評されていた。 また失踪した理由について、最初の会見では「デマ情報でキエフにおびき出され、そこで拉致された」と語っていた。しかし、「そもそも選挙期間中に何故わざわざキエフまで出掛けたのか」と追及されると途端に「モスクワで誘拐された」と発言するなど(後に撤回)、その証言には不可解な点も多く(その他、なぜ結果が決まっているような候補が誘拐されなければならないのか、また、誘拐されたならされたで、何故簡単に釈放されたのかなど)、彼の「証言」は完全な「ベタ記事」扱いにされた。 ともかく、この一連の「失踪」事件で元々高くなかった支持率はさらに低下。最終的には0.7パーセント近くまで下落した。また、この「失踪」事件に関して、事件当初「誘拐された可能性がある」としていたルイプキンの妻が「(ルイプキンが当選するようでは)、ロシアが可哀想だ」と発言したとも言われる。 ルイプキンは事件直後、国外に留まった上で選挙キャンペーンを継続するとしていたが、2004年3月5日、選挙戦を「笑劇(ファルス)」と皮肉って離脱することを表明、支持者に投票をボイコットするようにうながした(選挙自体は3月14日に開票され、プーチンが再選される)。 政治的失墜後も、ボリス・ベレゾフスキーとの親交は続いた。 先代: ルスラン・ハズブラートフ(最高会議議長) ロシア下院議長 1994年 - 1996年 次代: ゲンナジー・セレズニョフ 先代: アレクサンドル・レベジ ロシア連邦安全保障会議書記 1996年 - 1998年 次代: アンドレイ・ココーシン 典拠管理 GND: 115759557 ISNI: 0000 0001 1072 692X LCCN: n95030205 NKC: js20020925348 NTA: 136905552 SUDOC: 18299709X VIAF: 79383971 WorldCat Identities: lccn-n95030205 表 話 編 歴 ロシア下院議長イワン・ルイプキン (1994-1996) ゲンナジー・セレズニョフ (1996-2003) ボリス・グルイズロフ (2003-2011) セルゲイ・ナルイシキン (2011-2016) ヴャチェスラフ・ヴォロージン (2016-現職)
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