冷戦終結以後から現在
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 10:09 UTC 版)
革新・進歩・リベラルの論調である。一方、日刊ベリタは近年、論調が保守化・官僚化しつつあると評している。 平和憲法、特に日本国憲法第9条のおかげで日本の平和が守られてきたと主張している。かつては憲法改正をタブー視し、改正を論議することにも反対していた。『読売新聞』が1994年に発表した「改憲試案」にも社説で批判を展開した。「論憲」を容認する立場に転換した後も、憲法改正の動きには否定的な報道をおこなっている。近年はそれと共に、生存権保障規程である日本国憲法第25条についても同程度の比重で取り上げる傾向にある。 日本国憲法第21条が保障する表現の自由に関しては、映画『靖国 YASUKUNI』や『ザ・コーヴ』が、肖像権侵害や日本文化差別などに対する抗議活動の影響で上映中止・自粛した問題で、「表現の自由に対する深刻な事態」と懸念を表明している。 政治家の靖国神社参拝に公私を問わず反対しており、国会議員が入閣する際には必ず靖国神社に参拝するか質問している。また参拝した議員には公的か私的かを質問している。 人権擁護法案を容認する見解を表明している。ただし、同法案がメディアの取材による報道被害も救済の対象としていることについては、表現の自由・報道の自由を守る観点から反対の姿勢を示している。また、法案の目的を実現するために設置される「人権委員会」が法務省の外局とされることについて、組織の独立性に問題ありとの見方を示している。 国際報道の中でも中国関連報道には力を入れており、近年ではボーン・上田記念国際記者賞を受賞するなど、世界的な評価を得ているとしている。社説・コラム等では中華人民共和国の立場に理解を示す姿勢が散見され、中国人民解放軍によるチベット侵攻以後のチベット人に対する迫害についても、とりわけ1970年代以前は度々容認的論調を展開した。近年も概ね中華人民共和国(中国共産党)に親和的な論調は継続されているが、チベット独立運動やウイグル独立運動の活動家を肯定的に取り上げた記事を掲載するなど、主に人権面で中華人民共和国に対して批判的な記事も掲載されるようになっており、尖閣諸島問題でも比較的厳しい論調の対中報道を行っている。 原子力発電に関しては、戦後から1970年代にかけては好意的な論調だったが、スリーマイル島原子力発電所事故(1979年)やチェルノブイリ原子力発電所事故(1986年)を受け、しだいに抑制的な姿勢に転換。2011年の福島第一原子力発電所事故以降は、原発政策の推進に対する慎重姿勢を強め、同年7月13日には「提言 原発ゼロ社会」と題した2ページにわたる社説特集を組み、社論として「脱原発」を掲げている。 死刑制度に関しては、「安易に死刑判決を出すべきではない」としながらも、制度そのものは肯定している。宮崎勤事件の際には、死刑廃止論者や死刑廃止運動を揶揄したとも取れるようなネタを『フジ三太郎』で掲載し、死刑廃止団体から抗議を受けているが、その際も「世論の怒りを素直に描いたもの」と釈明している。 21世紀以降、それまでの論調を転換する動きも見られる。例えば、2002年9月17日付社説では自衛隊のPKO派遣を容認し、2003年4月27日付社説では条件付で有事立法を「検討に値する」とした。さらに、2007年5月3日付社説では、少なくとも「論憲」は認める立場へと転換した。 歴史認識を巡って漫画家の小林よしのりと意見の相違があり、彼の作品である『戦争論』等を巡って社説で直接批判したことがある。小林も自著で朝日新聞の報道姿勢を批判している。ただ、小林のインタビュー記事が紙面に掲載される等、全面的な対立関係ではない。 在日外国人の内、在日韓国・朝鮮人の氏名表記にあたっては原則として通名(日本名)での表記を行っている。また、漢字文化圏の人名については、漢字表記と現地語読みの併記を行っている。 教職員の卒業式や入学式での国歌「君が代」斉唱・起立義務は、個人の思想・信条に反して「強制」されているものであると批判している。ただし、国歌斉唱そのものに反対しているわけではない。 科学欄ではかなり踏み込んだ専門的な記事もあり、文化欄や読書欄などで紙面の充実を図っていることが特徴的である。 3つの重点報道テーマとして「環境」「教育」「医療・健康」を挙げており、特に教育は関連記事に力を入れている。大学入試問題における記事採用数も他社と比較して多く、自社サイトでは「受験に強い」と称している。 東京大学と連携してシンポジウムや世論調査などを行っており、度々紙面に調査内容が反映されている。 サッカー日本代表の大スポンサーであり、試合の翌日にはかなりの分量の紙面を割くことがある。また、2002 FIFAワールドカップの日韓共同開催を提案する社説(執筆者は若宮啓文)を初めて掲載した新聞である。 特定秘密の保護に関する法律の成立に対し、一貫して反対の姿勢である。 元「週刊朝日」副編集長の稲垣武は、「日本のいわゆる左翼社会の鏡」であり、左翼と朝日新聞は相互に影響しつつ活動していると述べている。
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