メガフロート(ポンツーン方式)案
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「普天間基地移設問題」の記事における「メガフロート(ポンツーン方式)案」の解説
日本でポンツーン方式を初めて提案したのは1990年に設立された造船、鉄鋼、建設など96社で構成する「マリンフロート推進機構」であった。1995年4月には運輸省などの支援を受けて造船、鉄鋼など17社からなる「メガフロート技術研究組合」 が発足し、3ヵ年で本方式のメガフロートを実現するための研究に着手した矢先に、基地移設問題が出てきた。研究会はこの時既に神奈川県横須賀市沖に、長さ100m、幅20m、厚さ2mの鋼製の浮体ユニットを展開し実験を開始している。 海上ヘリポートとして提案した内容としては長さ1500、幅500m、厚さ15m。構造物の内部は居住区やヘリ格納庫などに使用する。設計には1年、施工には4年半かかると見積もられた。使用する鋼材は90万トン。1トン当たりの建設費は20万円であった。本方式の場合防波堤を併用するため強度はセミサブ式に比べて低いもので良い。防波堤は撤去可能な構造とするため内部に砂を充填したタイプ とし、延長2000m程度とされている。防波堤の建設費は2000mの場合で水深1m当たり6000万~1億円。本案も連絡橋を用いる。日経ビジネスによれば、1ユニットのサイズは縦300m、横60m程度を想定し、これを40~50個程度接合してデッキとする。また、組合の追浜事務所長木下義隆が洋上でのユニット接合を「造船会社が得意とする厚板接合の応用」と説明したことを紹介している(なお、1997年7月に技術組合が実施していた横須賀沖での洋上接合実験は成功した)。 日経コンストラクションによれば、当時指摘されたデメリットは水深の深い場所では防波堤の建設が困難になっていくことである。また、日経ビジネスは鋼構造物は長期耐久性に配慮が必要であり、濡れた状態で空気に暴露されるため最も腐食が進行しやすいスプラッシュゾーン(飛沫帯。潮の満ち引きで海中に没したり、海面に出たりする部分)の防食対策として、チタンクラッド材を張る方法を開発していたことを紹介している。 また、日経ビジネスによればQIP派より指摘された問題点として、 揺れの問題が大きく、居住性が損なわれる可能性がある メガフロートでは防波堤設置による海底、潮流への影響が心配される。 本体施設と海面に隙間がないので、下に日光が入りにくい。 などがあった。揺れの問題については米軍筋からも疑問が呈され、「いくら防波堤があるとは言え、台風が来れば海面は揺れるし、橋の通行が不能になれば軍事基地の用をなさない」と使用上の制約に難色を示している。 これに対しては次のような反論が紹介されている。 防波堤があっても潮流が無くなるわけではなく、プランクトンは生息可能 魚は物陰に寄る習性があり、実験施設では沢山の魚が集まっている 同様の問題について、メガフロート技術研究組合の支持母体、共同研究団体であるマリンフロート推進機構は2000年に出版した浮体構造物技術書の中で次のような内容を説明している。それによれば、横須賀沖で2段階のフェーズで実施したポンツーン式の実用実験では人が不快感として感知し、居住性を損なうような揺れは全く観測されず、動揺で研究が必要とされていたのは浮体の全長に匹敵するような超長周期波との共振や弾性変形による高周波微少振動などであったと言う。そして、「これらの研究・開発により、構造解析や挙動解析といった基本的な分野での研究はおおむね終了したものと考えられる。今後は浮体構造物の性能向上、例えば波浪動揺の減少や防波堤の簡易化など、コスト面で競争力のある浮体構造物の追求が検討の中心となる」と総括している。
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メガフロート(セミサブ式)案
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「普天間基地移設問題」の記事における「メガフロート(セミサブ式)案」の解説
本方式は関西国際空港1期工事の工法を検討していた1970年代後半に提案されたことがあるが、当時コストと耐久性についての技術的課題が未解決であったため棄却された経緯がある(別節で詳述)。「メガフロート技術研究組合」は海上ヘリポート提案に当たって本案も提案した。長さ、幅はポンツーン方式と同じで厚さは12m。内部の利用法もポンツーン方式と同じである。メガフロートとしてはポンツーン方式より先に考案されたが、波浪を防波堤で遮断しないため構造物の強度が必要になる。メリットとしては水深の深い場所でも建設が可能なことである。 コスト面ではポンツーン、QIPより割高で、両工法に比較して2倍以上とされている。また、陸上との連絡方式は船舶となる。スプラッシュゾーンの面積がポンツーン型に比して大きくなり、腐食、メンテナンスリスクが増大する。しかも、チタンクラッド材は高価なことが欠点であった。このため、研究組合に参加していた住友重機械工業は大型のセミサブ式メガフロートの長期耐久性を向上するため、上部デッキから海面に達するスカートを設け、内部の閉鎖空間に窒素ガスを充填することを考案し、特許も取得した。 メガフロート全般に言えることとして、荒天時の波浪など外界の圧力により構造物が微妙に変形する際、繰り返し荷重を受けてクラッドが剥離に至る危険もあった。研究組合に参加していた新日鐵はこの問題の解決に努力し、2000年代に接着面に液体などを充填する旨の特許を出願している。
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メガフロート案
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「普天間基地移設問題」の記事における「メガフロート案」の解説
洋上に浮かべたメガフロート上に滑走路を建設する移設案は現行計画の策定に当たって一度は放棄されたが、本案を推す意見表明も度々なされている。中には、鳩山内閣が「ゼロベース」からの議論を掲げたことを逆手にとって採用を提言したものもある。自民党政権時代防衛大臣を務めた石破茂は対案の一つとして本案(セミサブ式)の再検討を提案している。 なお、亀井と同じく過去メガフロートの旗振り役であった平沼赳夫は2010年に自民党を離党し、たちあがれ日本の結党に参加したが、選挙のために現行案を否定し、その他にも軽率な振る舞いばかりであった旨を指摘するなど、鳩山の批判に留めた。
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