ゴム製品の開発とは? わかりやすく解説

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ゴム製品の開発

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/15 03:31 UTC 版)

チャールズ・グッドイヤー」の記事における「ゴム製品の開発」の解説

1831年ごろ、彼は当時新素材であったゴム興味持ちゴムに関する新聞記事はすべて切り抜いた当時ボストンのロクスバリー・ラバー・カンパニーはゴム製品製造所持ち製品全国販売していた。グッドイヤーニューヨークでロクスバリーゴム浮き輪買ってきて試験しチューブ不完全さにあきれ返った。彼は自分幾つかのチューブ試作し、それをロクスバリー・ラバー社に持ちこんだ。 当時ロクスバリー社は、実は製品信頼性の不足のため倒産寸前になっていた。当時ゴム製品温度影響されやすく、冬は低温かちかち固まり、夏は熱でべたべた溶けてしまう性質があった。そして当時製造技術では、ゴム製品実用に耐える安定性耐久性与えることができなかった。 ロクスバリー社の担当者グッドイヤー考案したチューブ満足し、その製品1年間テスト販売された。驚いたことに、彼らが自信持っていた、何千ドル分もの商品が、ゴム劣化によって返品されてきて、土に埋めて廃棄しなければならなかった。グッドイヤーフィラデルフィア戻ってゴム実験やり直し製品欠点克服する決意固めた。 彼は債権者訴えられ再三わたって刑務所入れられながらも実験くり返した。ゴム熱して練り、それに酸化マグネシウム加えると、白い合成物になり、粘着性除去されたように見えた。彼は秘密発見した考え資金集めてニューヘブン小さな工房を建て、そこで発明完成させることにした。ここで彼は、手はじめにゴム靴作った。また自宅材料粉砕引き延ばし攪拌工程ができるよう改造し妻と子供協力の下で研究続けた彼の家は油煙煤けゴム酸化マグネシウムテレビン油溶ける悪臭漂い、靴の裏地に使用される布が床じゅうに広げられていた。しかし依然としてゴム溶解問題解決できず、この状態も長くは続かなかった。出資者たちは失望し資金引き上げグッドイヤー通告したグッドイヤーあきらめる気はなかった。彼は設備売り払うと、家族下宿屋残してニューヨークへ行ったニューヨークで彼は、薬剤師友人屋根裏部屋実験継続した。やがて彼は、酸化マグネシウム加えたゴム生石灰煮沸する方法考案したゴムアルカリによって粘着性失い、ついに問題解決されたように思われた。すぐにその実結果知れ渡って評判になり、いまや成功も確実と思われた。しかしある日、彼はゴム布の上弱酸をたらすとアルカリ中和され、ゴムが再び粘着性を持つことに気がついた。彼は自らの持つゴム性質に関する知識照らし実験がまだ成功していないことを理解した。彼は実験続けニューヨーク屋根裏から3マイル離れたグレニッチヴィレッジに転居し、そこで実験継続したグッドイヤーが行った様々な実験彼の健康に悪影響与えた。ある時、彼は実験中に発生した有毒ガス窒息死しかけたその時あやうく助かったが、彼はガスのせいで寝込んでしまい、一時危篤まで行った実験で彼は、硝酸浸したゴム表面粘性を失うことを発見した。彼はこのいわゆる加硫法を用いて多く製品作りだし、アンドリュー・ジャクソン大統領より、じきじき励ましの手紙を受け取光栄浴したグッドイヤー出資者募り、スタテン島に工場建設して製造設備据えつけ衣類救命具ゴム靴など様々なゴム製品生産し始めたグッドイヤー自宅建てて家族呼び寄せ全てがうまく行きはじめたちょうどそのとき1837年恐慌がやってきた。グッドイヤーは再び破産してすべての財産失った無一文になったグッドイヤーボストン行き、ロクスバリー・ラバー社のJ・ハスキンスから借金をしてゴム製品の開発を再開した。彼は酸加硫法の特許取得し政府150個の郵袋納入契約結んだグッドイヤーは袋を製造し暖かな部屋にそれをしまって1ヶ月休暇出た1ヶ月後に戻ると袋は溶けて変質していた。酸加硫法はいまだ完全な方法とは言えず、彼らの製品硬化した溶解したりして顧客から続々返品されてくる状態であった重要な発見1839年の冬になされたグッドイヤー実験ゴム硫黄混ぜ、それを加熱した(資料によっては、誤ってストーブ接触させたのだという)。加熱されゴム溶解せずに革のように焼け焦げ周り乾燥した弾力のある褐色物質残った。彼は硫黄ゴム耐熱性持たせることを知った硫黄ゴム性質変えることは分かったものの、どの程度の熱を加えれば良いかはいまだ不明確だった。彼はゴム片を熱い砂の中に入れ加熱したり、マシュマロのように焼いてみたり、やかんの上蒸気当てたり、アイロン熱したりと、胃痛痛風悩まされ、足を引きずりながら実験続けたその頃一家マサチューセッツ州ウーバン極貧生活を送っていた。彼は実験続けるため、家財道具のほとんどを売り払った。皿がなくなったときは、ゴムで皿を作った。ついに食費にもこと欠くようになった所用ボストン行ったとき、ホテル代の5ドル払え拘留された。釈放され自宅に戻ると、彼の息子一人死んでいた。グッドイヤー葬儀代が払えず、借りた馬車小さな墓地まで運んだ彼の12人の子供のうち、6人が幼少時死亡している。 実験の末、彼は華氏270度を維持し、4~6時蒸気圧力をかけた際に一定の結果得られることを発見したその実結果を基に、ニューヨークへ行き、ウィリアム・ライダーにサンプル見せてゴム製造出資を仰ごうとしたが、ライダー商会倒産状態で、資金獲得には失敗した。彼はマサチューセッツ州スプリングフィールドで、成功した紡織業者だった義弟デ・フォレストから援助とりつけ1842年ゴム工場立ち上げた。彼は弟のネルソンヘンリー管理任せ同社1844年に、ゴム混合する機械をはじめて導入している。 グッドイヤー1844年6月15日加硫ゴム特許取得したその後特許侵害頻発したため、彼は訴訟対抗し32件もの裁判連邦最高裁まで戦うことを強いられた1852年には国務長官ダニエル・ウェブスター彼の弁護行ったグッドイヤーウェブスター15,000ドル支払い、それは当時として最高水準弁護料だった。2日間の弁論で、ウェブスターさらなる特許権侵害対す差止命令勝ち取り新聞大きく報道されたが、その後特許侵害がやむことはなかった。 グッドイヤーゴムサンプル製法成分明らかにせずイギリスゴム会社送付した。トーマス・ハンコック(タイヤメーカーハンコックタイヤとは無関係) はそのサンプル分析し表面硫黄分付着していることに気がつき、加硫法の秘密知ったハンコック実験重ねグッドイヤー4年1843年に、加硫ゴム製造法再現することに成功したその後グッドイヤーイギリス特許申請行ったとき、数週間前にハンコック特許申請行っていたことを知らされた。1852年ハンコックグッドイヤー対し加硫ゴム開発グッドイヤー製品分析からもたらされたことを認めたが、イギリスにおける特許主張し、のちにグッドイヤーハンコックイギリスにおける訴訟発展する加硫ゴムフランスでさっそくシャスポー銃などの新兵器採用され1855年にはフランス皇帝ナポレオン3世グッドイヤーレジオンドヌール勲章授与したグッドイヤー1860年7月1日ニューヨークのフィフス・アヴェニュー・ホテルで死去し故郷ニューヘブン墓地埋葬された。彼が死去したとき、まだ20ドル借金残った状態だった。しかし彼の家族は、特許収入以後安定した生活を送ることができた。息子のチャールズ・グッドイヤー・ジュニアは発明才能受け継ぎその後グッドイヤー・ウェルト製法という靴の製造機械を開発している。1976年には、グッドイヤーオハイオ州アクロンの「発明者殿堂」にノミネートされた。 グッドイヤー自身一族も、売上高10億ドル以上を誇る世界的タイヤ製造会社・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニーとの関係はない。現在、彼と関係のある会社は、グッドイヤー管理者として勤務していた小企業吸収合併したユナイテッド・ステーツ・ラバー(英語版)である。

※この「ゴム製品の開発」の解説は、「チャールズ・グッドイヤー」の解説の一部です。
「ゴム製品の開発」を含む「チャールズ・グッドイヤー」の記事については、「チャールズ・グッドイヤー」の概要を参照ください。

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