SPA
「SPA」とは・「SPA」の意味
SPAは、それぞれの分野で異なる意味を持ち、アパレル業界では「製造小売業」、契約においては「株主譲渡契約書」、IT業界では「シングルページアプリケーション」、そしてサービス業界では「心身を癒し、健康促進を目指す施設やサービス」として使われている。アパレル業界で使われる場合、「SPA」は、「Speciality store retailer of Private label Apparel」の略称である。「エス・ピー・エー」と読み、日本語では、「製造小売業」と訳される。この言葉は、1986年に、アメリカの衣料品大手であるGAPが、自らの業態を表現する時に用いたものだ。その年に開かれた株主総会の中で、創始者であるドナルド・フィッシャー会長が使ったのである。それが新聞記者の目に留まり、「SPA」という略称で記事にされたことで、広く知られるようになった。
従来、アパレル業界では、百貨店や専門店がアパレルメーカーの商品を仕入れ、それを販売するという、いわゆる水平分業スタイルが一般的とされていた。SPAはこのようなスタイルとは異なり、垂直統合型のサプライチェーンモデルのことを指している。つまり、ファッション商品の企画や生産、そして販売に至るまで、様々な機能を自社で統合しているのだ。原材料調達に関しても、商社を通さずに直接仕入れているという特徴もある。なお、生産設備に関しては、自社で保有するのではなく、コストの低い国の企業に委託している企業が多い。
契約における「SPA」は、「Stock Purchase Agreement」もしくは「Share Purchase Agreement」の略称で、「株式譲渡契約書」という意味を持つ。読み方は「エス・ピー・エー」である。これは、会社の株式を売買する時に作成される契約書のことを指している。M&A取引において、最終的に契約されるものの一つである。この契約書を交わすと、譲渡側は、株式を譲渡することによって、対価を受け取れるようになる。反対に、譲受側は対価を支払うことで、株式を受け取ることができるのだ。
IT業界においては、また異なる意味合いを持つ。ウェブ開発で「SPA」が使われた場合は、「Single Page Application」という意味になるのだ。読み方は「エス・ピー・エー」である。これは、ブラウザを使ったページ遷移をせずに、情報の切り替えをする技術のことを指している。通常は、操作を行うたびに、ページ全体で再読み込みを行っていく。一方、SPAで構成されたウェブページの場合、一つのページの中は、それぞれのオブジェクトによって構成されている。そして、ブラウザに変更があると、変更のない部分はそのまま残しながら、該当する部分だけ遷移させるという方法だ。これによって、ウェブサイトの動作性が向上する、高度なウェブ表現が可能になる、といったメリットが期待されている。さらに、SPAによって幅広いUIを実装できるようになることも、特徴の一つとして挙げられる。そのため、ネイティブアプリという、端末内にダウンロードして使うアプリケーションの代用として使うことも可能だ。SPAという技術は、滞在時間が長いサービスの開発に適していると言われている。なお、プログラミングの際には、高度な技術が必要になるという特徴もある。
サービス業では、心と体に癒しを与え、健康の促進を目指す施設やサービスのことを、SPAと呼んでいる。語源は、ラテン語の「Salute Per Acqua」で、「水の力で治療する」という意味を持つ。つまり、このラテン語の頭文字をとって、「SPA」と呼ばれるようになったのだ。読み方は「スパ」である。SPAの歴史はとても古く、紀元前にまで遡ることができる。かつて、SPAは「温泉」、「温泉を利用した治療施設」という意味合いで使われていた。負傷した兵士の傷を癒すための場所として、使われていたのだ。時代が進み、やがてSPAはそのスタイルを変化させていったのである。現在主流となっているものは、1990年代にアメリカで誕生したものが発祥と言われている。リラクゼーションにより重点を置いたものであり、入浴施設だけでなく、マッサージやアロマ、サウナなど様々なサービスが加えられているのだ。外見だけではなく、体の内側からケアすることに注目しており、エステやマッサージなどと比較すると、長い時間をかけて行われることが多い。
SPAはいくつかの種類に分けることができる。まずは、日帰りで利用できる、デイスパだ。オフィス街や繁華街にあることも多く、気軽に利用しやすいという特徴もある。二つ目としては、リゾートスパやホテルスパが挙げられるだろう。これらはリゾート地やホテルで提供されているSPAのことを指し、ラグジュアリーで非日常的な雰囲気を持つ空間であることが多い。そして、専門のカウンセラーと共に、本格的な健康増進を目指すSPAもあり、このようなタイプはデイステイネーションスパと呼ばれている。フィットネスやストレスケアなど、様々なプログラムが用意されている施設だ。また、メディカルスパという、医学的な観点から、健康維持や療養、そして美容を目的とした施術が行われるSPAもある。内科や精神科、美容科などの医療サービスだけでなく、鍼灸やアーユルヴェーダといった代替医療を提供しているところも少なくない。その他には、ミネラリスプリングスパやクラブスパなど、様々な種類のものが存在する。
「SPA」の熟語・言い回し
「SPA」を使ったフレーズには、以下のようなものが挙げられる。SPAブランドとは
「SPAブランド」は、「Speciality store retailer of Private label Apparel」という形態でサービスを提供しているアパレルブランドのことを指している。アメリカのGAPのように、製造から販売まで一気通貫で管理しているブランドのことである。代表的なものとしては、スペインのZARAや、スウェーデンのH&M、日本のユニクロなどが挙げられるだろう。ユニクロは、低コストとクオリティーの両立を重視しており、万人受けするようベーシックなアイテムが中心となっている。一方、ZARAやH&Mは、トレンドの価値を重視しており、スピードの面に力を入れるという傾向を持つ。SPAブランドという枠組みの中には、それぞれ全く特徴の異なるブランドが存在しているのだ。
SPA企業とは
製造から販売に至るまで、一気通貫のシステムを構築した上で商品やサービスを提供している企業の事を、SPA企業という。この場合、SPAは「Speciality store retailer of Private label Apparel」の略称である。ユニクロやGUなどのブランドを持つファーストリテイリングや、ZARAなどのブランドで海外展開を行っているインディテックス社などが挙げられるだろう。製品の製造や販売はもちろん、物流まで自社システムを構築した、家具メーカーのニトリも、SPA企業の一つだ。その他には、ホームセンターのカインズホームや、眼鏡チェーンのJINS、化粧品企業のファンケルなども、このSPA方式を取り入れた企業として知られている。
SPAを導入するメリットとしては、次の点が挙げられる。
・中間流通業者を省くことにより、利益率を高められる。
・自社で一気通貫させることで、低コストが実現できる。
・すべての工程を自社で管理するため、リードタイムの短縮や、状況に合わせた生産量の調整が可能になる。
・顧客のニーズやトレンドに合わせて、商品、時期、場所、そして数量と価格という5つの面で適正を保ちやすい。
一方で、SPA企業においては、ノウハウをサプライチェーン全体で共有する必要性があり、在庫のリスクコントロールも欠かせない。
SPA方式とは
「SPA方式」とは、アパレル業界における「Speciality store retailer of Private label Apparel」というビジネスモデルを導入した方式のことを指す。主に、アパレル業界で誕生した方式ではあるが、他の業界で取り入れる企業も出てきている。
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