さもありなん
別名:然もありなん
「さもありなん」には納得のニュアンスが含まれることも少なくない。たとえば、「ある人が飲酒運転をしていたら警察に呼び止められてしまった」という話をされたとする。それに対して「さもありなん」と返せば、「それはそうなるだろう」という納得の意を示したことになる。あるいは、強い推量を表現する語句として、「さもありなん」が選ばれることも多い。「いうまでもなくそうなるだろう」という感覚が「さもありなん」には込められている場合もある。
「さもありなん」には、やや否定的な意味合いが含まれている。「最初からそうなると思っていたし、実際にそうなった」くらいの、ネガティブな文脈で登場するケースもある。そのため、うかつに「さもありなん」を使ってしまうと、相手を不快にさせてしまうことがある。相手を称賛したいとき、素直に同意したいだけのときには、「さもありなん」以外の言葉を使うのが無難である。
「さもありなん」を品詞分解したとき、「さ」「も」「あり」「な」「む(ん)」といった要素に分けられる。まず、「さ」とは漢字にすると「然(さ)」であり、「そのように」という意味を持つ副詞である。そして、「も」は副詞の後に付け足される係助詞である。「ありなん」は正式に書くと、「有りなむ(ん)」となる。「有り」は補助動詞で、単体だと「~のような状態である」という意味である。最後は助動詞「ぬ」の未然形である「な」と、助動詞「む(ん)」が続いて、「さもありなん」の形になっている。
「あもありぬべし」は「きっとそうであるに違いない」という意味で、「さもありなん」とほとんど変わらない。ただ、助動詞「む(ん)」のかわりに「べし」が使われることで、より強い推量のニュアンスが加わっているといえる。
「さもあらば」と「さもありぬべし」は、「さもありなん」以上に現代語で使われる頻度が低い。「さもありなん」はファッション的な意味合いで文中に使われることも少なくない。その点では、「さもありなん」のほうが歳月に耐えてきた言葉だといえるだろう。
そのほか、「こういう結果もさもありなん」と、語尾に用いるケースも多い。本来ならば、現代語において「そう思っていた通りだ」のように、「さもありなん」に該当する言葉をあてはめることはできる。しかし、ファッション的な意味で、現代人の日常にはない言葉を使いたがる作者もいる。
文豪たちも「さもありなん」を効果的に使って、作品に情緒をもたらしてきた。「さもありなん」でよく知られているのは、太宰治の作品である。「さもありなん、と私は、やはり淋しく首肯している。そうなってしまったら、ほんとうに、どうしようも、ないではないか。(太宰治「蓄犬談」)」と、自嘲気味な文脈で使うことで主人公のキャラクターを巧みに際立たせている。「さもありなん」に含まれている、皮肉でネガティブな響きも太宰治の作風にはよく合っていた。そのため、「蓄犬談」は「さもありなん」の出てくる文学の代表格であり続けている。
古語から生き残った言葉としては、「むべなるかな」も「さもありなん」の類義語に挙げられる。意味は「その通りに思える」であり、「さもありなん」に近い。ただし、「むべなるかな」はあくまでも、誰かの考えに対して使われる語句である。「あなたの考え方は正しいと思う」との同意であり、物事全般に納得している「さもありなん」とは微妙に違う意味となる。
そのほか、「あにはからんや」は多くの人が「さもありなん」と混同しそうになる語句である。2つとも推量がこめられていて、誰かの言葉や物事に対する感想として投げかけられるのは共通している。しかし、「あにはからんや」は「そのようなことをなぜ思うのか(いや、思うはずもない)」という反語である。意外に思う気持ちを表現しており、納得を示す「さもありなん」とは細かい意味が違う言葉である。
さもありなんとは、さもありなんの意味
「さもありなん(然もありなん)」とは、「きっとそうに違いない」「その通りである」といった意味の言葉である。要するに、同意の表現だといえる。もともとは古文に登場していた言葉ではあるものの、現代でもまったく登場しなくなったわけではない。特に、文学や随筆の分野では情感をこめた表現として、あえて現代語の中に「さもありなん」を混ぜてくることもある。一方で、日常会話の中では、ほとんど「さもありなん」が使われることはなくなった。「さもありなん」には納得のニュアンスが含まれることも少なくない。たとえば、「ある人が飲酒運転をしていたら警察に呼び止められてしまった」という話をされたとする。それに対して「さもありなん」と返せば、「それはそうなるだろう」という納得の意を示したことになる。あるいは、強い推量を表現する語句として、「さもありなん」が選ばれることも多い。「いうまでもなくそうなるだろう」という感覚が「さもありなん」には込められている場合もある。
「さもありなん」には、やや否定的な意味合いが含まれている。「最初からそうなると思っていたし、実際にそうなった」くらいの、ネガティブな文脈で登場するケースもある。そのため、うかつに「さもありなん」を使ってしまうと、相手を不快にさせてしまうことがある。相手を称賛したいとき、素直に同意したいだけのときには、「さもありなん」以外の言葉を使うのが無難である。
「さもありなん」を品詞分解したとき、「さ」「も」「あり」「な」「む(ん)」といった要素に分けられる。まず、「さ」とは漢字にすると「然(さ)」であり、「そのように」という意味を持つ副詞である。そして、「も」は副詞の後に付け足される係助詞である。「ありなん」は正式に書くと、「有りなむ(ん)」となる。「有り」は補助動詞で、単体だと「~のような状態である」という意味である。最後は助動詞「ぬ」の未然形である「な」と、助動詞「む(ん)」が続いて、「さもありなん」の形になっている。
さもありなんに似た言葉
「さもありなん」に似た言葉として「さもあらば」「さもありぬべし」が挙げられる。「さもあらば」は、響きこそ「さもありなん」に近いものの、意味は「どうにでもなれ」であり、まったく異なる言葉である。自暴自棄になった心情を表現しており、正確には「さもあらばあれ」と書く。「あもありぬべし」は「きっとそうであるに違いない」という意味で、「さもありなん」とほとんど変わらない。ただ、助動詞「む(ん)」のかわりに「べし」が使われることで、より強い推量のニュアンスが加わっているといえる。
「さもあらば」と「さもありぬべし」は、「さもありなん」以上に現代語で使われる頻度が低い。「さもありなん」はファッション的な意味合いで文中に使われることも少なくない。その点では、「さもありなん」のほうが歳月に耐えてきた言葉だといえるだろう。
さもありなんの例文、使い方
「さもありなん」は、「さもありなんといったところだ」「さもありなんという感じである」といった文脈で用いられる。それぞれの意味は、「それはそうなるだろうといったところだ」「そうに違いないという感じである」となる。特に、文学の世界では昭和以降の作品でも「さもありなん」が頻出してきた。あえて古典的な響きを作中に込めたいときに効果的な語句だからである。また、現代語で書くと冗長になってしまう複雑な感情も、「さもありなん」であれば一言で表現できる。そのほか、「こういう結果もさもありなん」と、語尾に用いるケースも多い。本来ならば、現代語において「そう思っていた通りだ」のように、「さもありなん」に該当する言葉をあてはめることはできる。しかし、ファッション的な意味で、現代人の日常にはない言葉を使いたがる作者もいる。
文豪たちも「さもありなん」を効果的に使って、作品に情緒をもたらしてきた。「さもありなん」でよく知られているのは、太宰治の作品である。「さもありなん、と私は、やはり淋しく首肯している。そうなってしまったら、ほんとうに、どうしようも、ないではないか。(太宰治「蓄犬談」)」と、自嘲気味な文脈で使うことで主人公のキャラクターを巧みに際立たせている。「さもありなん」に含まれている、皮肉でネガティブな響きも太宰治の作風にはよく合っていた。そのため、「蓄犬談」は「さもありなん」の出てくる文学の代表格であり続けている。
さもありなんの類義語
「ごもっとも」や「まったくだ」も「さもありなん」と同じく、同意の気持ちを表現する言葉である。ただし、「ごもっとも」と「まったくだ」には、「さもありなん」に含まれる推量のニュアンスが消えている。いずれも物事を肯定する意味がより強い。また、「さもありなん」とは違い、深い共感を表すときにも使われる。次に、「さもあらん」はほぼ「さもありなん」と同じ意味である。ただ、「さもありなん」は近代に入っても有名な文学で使われるなどして、残っていった形である。「さもあらん」のほうが、現代では使われる頻度が減ってしまった。古語から生き残った言葉としては、「むべなるかな」も「さもありなん」の類義語に挙げられる。意味は「その通りに思える」であり、「さもありなん」に近い。ただし、「むべなるかな」はあくまでも、誰かの考えに対して使われる語句である。「あなたの考え方は正しいと思う」との同意であり、物事全般に納得している「さもありなん」とは微妙に違う意味となる。
そのほか、「あにはからんや」は多くの人が「さもありなん」と混同しそうになる語句である。2つとも推量がこめられていて、誰かの言葉や物事に対する感想として投げかけられるのは共通している。しかし、「あにはからんや」は「そのようなことをなぜ思うのか(いや、思うはずもない)」という反語である。意外に思う気持ちを表現しており、納得を示す「さもありなん」とは細かい意味が違う言葉である。
さもありなん
「さもありなん」とは、古代日本の言葉で、現代日本語では「それもそうだな」という意味を持つ表現である。主に、相手の意見や提案に対して納得したり、それを認めたりする際に用いられる。また、相手の意見に対して反論する余地がないときや、相手の主張が正しいと認めざるを得ない状況でも使われる。さもありなんは、日本の古典文学や歌舞伎などでよく見られる表現で、現代でも一部の文学作品や演劇、映画などで使用されることがある。この表現は、日本の言葉の豊かさや繊細さを象徴するものとも言える。
さもありなん
別表記:然もありなん
「さもありなん」とは、至極当然だ・そうであっても全くおかしくないという意味の表現である。
その他にも、「さもありなん」は香月美夜の小説「本好きの下剋上」の登場人物であるフェルディナンドの口癖としても知られている。そもそも「本好きの下克上」とは、主人公のローゼマインが大好きな本を読むために、中世ヨーロッパ風のファンタジー世界で前世の本の知識を駆使しながら本作りを目指していく物語だ。「本好きの下剋上」はアニメ化されるほどに世の中で人気を集めているファンタジー作品である。フェルディナンドとは、神官長や領主の仕事を完璧にこなす青髪のイケメンのキャラクターだ。主人公のローゼマインの教育係として貴族としての嗜み、必要な知識を教えたり、主治医や薬師を務めたりしている。いつもローゼマインに振り回されていて、不機嫌そうな表情をしているのが特徴的だ。
・彼は夏の甲子園で優勝に貢献したピッチャーなので、プロ野球のドラフト会議で真っ先に一位で指名されたのは誰もがさもありなんだと納得した。
・会社の同僚は常日頃から道のゴミ拾いを率先して行ったり、お年寄りに親切に接したりと善行を重ねていたので、周りの人間から尊敬されるのはさもありなんだと思う。
・彼は一切遊ぶこともなく昼夜を問わずに必死に机にかじりついて勉強してきたので、難しいとされる試験に一発で合格したことはさもありなんだ。
・自宅の近くにあったレストランが先日、閉店してしまったけれども、それほど美味しくない上にスタッフの態度も良くなかったのでさもありなんだ。
・彼と仕事を一緒にした際にリーダーシップがある上に非常に優秀な人だと感じたので、若くして部長に抜擢されたのはさもありなんだ。
・彼は彼女に対して喧嘩の際に平気で傷つくようなことを言ったり、空気を吸うかのように噓をついたりしていたので、別れを告げられるのはさもありなんだ。
・あなたが言っていた通り、私の同僚は常日頃から仕事で優秀な成績を収めている上に人望もかなり厚いので昇進するのはさもありなんだと思う。
・どれほど高い技術が彼に備わっていたとしても、練習を疎かにしていると他の選手に悪影響を与えかねないので、監督が試合で起用しないのはさもありなんだ。
・先生や周囲の友人から合格するのは間違いないと言われていたのに彼は試験に落ちてしまったのだから、ひどく落胆するのもさもありなんだ。
・私の弟は毎日、当たり前のように仕事に遅刻しているのだから、直属の上司からひどく怒られるのはさもありなんだと思う。
「さもありなん」とは、至極当然だ・そうであっても全くおかしくないという意味の表現である。
「さもありなん」とは・「さもありなん」の意味
「さもありなん」とは、「そりゃそうだ」「当然だ」「確かにそんなことだろう」などの意味がある表現だ。物事や状況が予想通りになった時、そうなるのは想定していたと納得した時などに用いられる。類義語として「さもあらん」という言葉もある。ちなみに、中国語で「さもありなん」を表記すると「很可能是那样」だ。「さもありなん」はどこかの方言だと勘違いしている人は少なくないが、実際は古文から派生した言葉だ。平安時代の「源氏物語」の「若紫」には「さもあることと皆人申す」(いかにもその通りですとみんなが申しあげる)と記されている。その他にも、「さもありなん」は香月美夜の小説「本好きの下剋上」の登場人物であるフェルディナンドの口癖としても知られている。そもそも「本好きの下克上」とは、主人公のローゼマインが大好きな本を読むために、中世ヨーロッパ風のファンタジー世界で前世の本の知識を駆使しながら本作りを目指していく物語だ。「本好きの下剋上」はアニメ化されるほどに世の中で人気を集めているファンタジー作品である。フェルディナンドとは、神官長や領主の仕事を完璧にこなす青髪のイケメンのキャラクターだ。主人公のローゼマインの教育係として貴族としての嗜み、必要な知識を教えたり、主治医や薬師を務めたりしている。いつもローゼマインに振り回されていて、不機嫌そうな表情をしているのが特徴的だ。
「さもありなん」の語源・由来
「さもありなん」は、いくつかの品詞が組み合わさってできた言葉だ。「さもありなん」は、推量を意味する「さもあり」という複合助動詞に「な」という助動詞、「む」という推量の助動詞からできている。これらの品詞が「さもありなん」の語源となっている。「さもありなん」の使い方・例文
「さもありなん」は、その場にいる人たちがすべて納得できる事柄に対して用いられる。ただ「さもありなん」は古風な言葉なので、使う相手を間違えると意味が通じない可能性もある。・彼は夏の甲子園で優勝に貢献したピッチャーなので、プロ野球のドラフト会議で真っ先に一位で指名されたのは誰もがさもありなんだと納得した。
・会社の同僚は常日頃から道のゴミ拾いを率先して行ったり、お年寄りに親切に接したりと善行を重ねていたので、周りの人間から尊敬されるのはさもありなんだと思う。
・彼は一切遊ぶこともなく昼夜を問わずに必死に机にかじりついて勉強してきたので、難しいとされる試験に一発で合格したことはさもありなんだ。
・自宅の近くにあったレストランが先日、閉店してしまったけれども、それほど美味しくない上にスタッフの態度も良くなかったのでさもありなんだ。
・彼と仕事を一緒にした際にリーダーシップがある上に非常に優秀な人だと感じたので、若くして部長に抜擢されたのはさもありなんだ。
・彼は彼女に対して喧嘩の際に平気で傷つくようなことを言ったり、空気を吸うかのように噓をついたりしていたので、別れを告げられるのはさもありなんだ。
・あなたが言っていた通り、私の同僚は常日頃から仕事で優秀な成績を収めている上に人望もかなり厚いので昇進するのはさもありなんだと思う。
・どれほど高い技術が彼に備わっていたとしても、練習を疎かにしていると他の選手に悪影響を与えかねないので、監督が試合で起用しないのはさもありなんだ。
・先生や周囲の友人から合格するのは間違いないと言われていたのに彼は試験に落ちてしまったのだから、ひどく落胆するのもさもありなんだ。
・私の弟は毎日、当たり前のように仕事に遅刻しているのだから、直属の上司からひどく怒られるのはさもありなんだと思う。
さもありなん
さもありなん
「さもありなん」の例文・使い方・用例・文例
- 彼としてはさもありなんというところだ.
Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。
- さもありなんのページへのリンク