塀
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/01 04:26 UTC 版)
塀・垣類を構造によって分けると、垣は生け垣など外部の見通しが可能なものをいい、塀は見通しが利かない連続性のある壁を指す[1]。塀・垣類を材料・工法によって分けると、1.土塀、2.石塀、3.板塀・竹垣・生垣・屋敷林、4.れんが塀に分類される[2]。
材料による分類
塀は用いられる材料により、板塀、土塀、石塀、れんが塀(煉瓦)、コンクリートブロック(CB)塀、鉄筋コンクリート(RC)塀などに分類される[3]。
土塀(どべい)
土塀は形態も名称も様々で代表的な土塀に塗り塀や築地塀がある[2]。
石塀(いしべい)
石塀は石材を用いた塀である。石積み構造物には伝統的には地場の石材が用いられ、石材の性質に由来する地域固有の技術がある[2]。このような石材の例として大谷石がある[2]。
板塀(いたべい)
板塀は木材を用いた塀である。本来、土塀や石塀は土木技術を技術基盤とするのに対し、板塀は造園技術を技術基盤とする[2]。そのため伝統的工法による塀・垣類を技術面で分類する場合、板塀は竹垣・生垣・屋敷林とともに造園技術を技術基盤とする塀・垣類として一つにまとめられることがある[2]。
煉瓦塀(れんが‐べい)
煉瓦塀は西洋起源の塀である[2]。
なお、粘土や赤土の間に土塊や瓦、煉瓦などを詰めて積み上げた塀を練り塀という[2]。練り塀は土塀に分類されることもあるが、主材料が必ずしも土ではないため石塀やれんが塀に分類されることもある[2]。窯業地として知られる佐賀県有田町では「トンバイ塀」と称する塀がある。これは、トンバイ(登り窯を築いたり、壊したりするときにでてくる内壁用の耐火煉瓦)や不要となった陶石などを赤土に混ぜて固めて塀材として使用したものである。
コンクリートブロック(CB)塀
コンクリートブロック塀は建築用コンクリートブロックを積上げながら鉄筋・モルタルにより一体化させ建築する組積造の一種であり、明治以降のレンガによる組積造の技術と同時期に日本へ導入されたものである。
鉄筋コンクリート(RC)塀
鉄筋コンクリート塀は現場で型枠・鉄筋を組み生コン打設により建築する現場打ちの塀と、工場で鋼製型枠にて製造し現場に敷設するプレキャストコンクリート(PCa)塀の二つに分けられる。
欧州における塀
イギリスでは畑地や牧草地、放牧地の境界を示すために自然石でモルタルを用いない低い構造物(dry-stone wallあるいは単にstone wallという)が設置された[4]。18世紀の農地改革の際に4年周期の輪作に適するように土地を分割して囲い込む必要が生じたことに端を発する[4]。dry-stone wall(stone wall)はヒツジなどが荒天の日に風雨を避けたり、崖や雨溝(gully)に転落するのを防ぐ役割もあった[4]。
- ^ a b c “コトバンク「塀」”. 2018年8月11日閲覧。[要出典]
- ^ a b c d e f g h i 西村亮彦・曽根直幸・栗原正夫・木村優介「わが国における塀・垣類に係る伝統的工法の地域的な特徴に関する研究 土塀・石塀」、土木史講演研究集 Vol.35 2015年 土木学会、2020年4月15日閲覧。
- ^ a b 塀 住宅建築専門用語辞典、2020年4月15日閲覧。
- ^ a b c 三谷康之「英語英文学の背景:英国の田園」(PDF)『成城文藝』第110号、成城大学文芸学部、1985年3月、126-90頁、ISSN 02865718、CRID 1520290885112051328、2023年5月23日閲覧。
- ^ 2-1. ブロック塀の主な規定
- ^ a b 『エクステリア&ガーデン』2013年秋号 112P 浦崎正勝
- ^ a b c “国土交通省 - 建築物の塀(ブロック塀や組積造)の安全点検等について”. 2018年8月11日閲覧。
- ^ a b “大林株式会社 - 耐震エクステリア開発の歩み”. 2018年8月11日閲覧。
- ^ a b ハウジング・トリビューン vol.593. (株)創樹社. (2020年2月28日)
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