受粉 自家受粉・自家受精を防ぐ機構

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受粉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/17 02:41 UTC 版)

自家受粉・自家受精を防ぐ機構

自家不和合性
受粉した花粉が受精することができる性質を和合性と呼ぶ[74]。一般には、両親が遠縁であるほど受精の成功率が低く、逆に近いほど高くなる傾向にある[75][注釈 10]。このような現象は異種間の生殖的隔離の役割を果たしている[75]。受粉しても子孫を残せない性質は不和合性と呼ばれ、花粉管の不発芽、花粉管の伸長停止、受精胚の崩壊などが観察される[75]。また、種子が得られ発芽に至る場合でも実生が正常に発育しない場合も含め広義の不和合性とする場合もある[要出典]
同一植物種内においても自家受粉を阻害するような不和合性が観察されることがあり、自家不和合性と呼ばれている[6][12]近親交配を阻止し[76]、遺伝的な多様性を確保するための機構であると考えられている[12]。自家不和合性は同形花型(胞子体型および配偶子型)、異形花型に分けられる[75]
雌雄異熟
雌雄異熟とは、一つの株の中の雌性器官あるいは雌性花の受粉可能時期と、雄性器官あるいは雄性花の花粉放出時期が異なる現象である[77][13]。雌性器官あるいは雌性花が先に受粉可能になることを雌性先熟、雄性器官あるいは雄性花が先に花粉を放出できる状態になる場合を雄性先熟という[77]。雌蕊と雄蕊が成熟する時期が異なることで、自花受粉を避ける機構として機能している[13]。但し通常一つの植物には複数の花が咲くから、異なる花の間での自家受粉は可能となることがある[13]
異形花柱性
両性花の中には個体によって雌蕊や雄蕊の形が異なる異形花柱性をもつものがある。例えばサクラソウソバには2種類の花(二形花)があり、ミソハギには3種類の花(三形花)がある[70]。これらの花では同じ形の花同士での受精が成立しないため、結果的に異なる形状の花同士で受粉したものが次の世代を残すため、他家受粉が促進される[70][14]。雌雄異株よりも受粉が成功しやすいことが指摘されている[78]
雌雄異株
イチョウスイバアオキなど雄花と雌花が着く個体が異なる植物では、必然的に他家受粉が行われる[13]。多年草および木本植物にみられ、1年草では観察されない[79]

注釈

  1. ^ 同一クローン個体間遺伝子型が同じ個体)または近交系として維持されている系統の個体間の受粉を「準自家受粉」(個体間自家受粉)として、自家受粉に含めることもある。その場合、個体内自家受粉は「正自家受粉」として区別する[7]。また、正自家受粉は、同一の花の中での受粉である同花受粉と、同一個体の違う花の間の受粉である隣花受粉に分けられる[6][7]
  2. ^ きょうだい交配・品種間交配など(以上種内他家受粉)、種間他家受粉、属間他家受粉がある[7]
  3. ^ 裸子植物のうちグネツム目ソテツ目には虫媒と考えられる生物種が含まれる[10][11]
  4. ^ 一般的には受粉であるが、植物が受動的に花粉を受けることを「受粉」、花粉が媒体を介して被子植物の柱頭・裸子植物の胚珠に移動することを「授粉」と区別することもある[要出典]。従来、ポリネーションとも表記されていたこれらの現象について、中野治房が「送粉」と言う用語を1966年に提案し、花粉学会・生態学会などで用いられるようになっている[20][1]。しかしながら、漢字表記の意味に応じて、同一文献中でもそれぞれの表記を使い分けることがある[21]
  5. ^ 受粉様式に合わせて特化した花の形質、または形質の組合せ[25]
  6. ^ 自殖・他殖 - 自己花粉で受精する場合を自殖(自家生殖)"autogamy"、他家花粉で受精する場合を他殖(他家生殖)"allogamy"という[31]
  7. ^ 花粉を乗せた葯や花びらが水面を移動し、花粉自体は水につからない[46]
  8. ^ 隣花受粉 - 同一個体の別の花による受粉。自家受粉の一種。
  9. ^ 不稔性(ふねんせい) - 発芽して次の世代の植物を残す種子を生産できない性質のこと[71]
  10. ^ 同属異種の交雑については、自然状態または人為交配での受精に至ることがあり、種間雑種の形成が種子植物の進化育種に寄与している例も多い(コムギやアブラナ科植物など)。また、ランでは属間雑種も珍しい例ではない。[要出典]
  11. ^ 花生態学(送粉生態学)の祖はSprengelとされ、受粉生物学の祖はDawinとされる[80]

出典

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  8. ^ 日本育種学会 2005, p. 260.
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