送粉シンドロームとは? わかりやすく解説

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送粉シンドローム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/16 06:27 UTC 版)

送粉シンドローム(そうふんシンドローム、英語:pollination syndrome)は、受粉(送粉)様式に合わせて特化したの特徴(形質群)である。一般的には動物媒花の送粉者の種類ごとに分類するが[1][2]風媒花・水媒花にも特有の送粉シンドロームがある[* 1]。それらの形質には、花の形・大きさ・色、受粉媒介行動への報酬(花蜜または花粉・それらの量や成分)および受粉時期などがある。例えば、筒状の赤い花と多量の蜜はを引きつけ、異臭を放つ花はハエを引きつける[* 2]


  1. ^ 福原達人「動物媒花:××媒花 」『植物形態学』
  2. ^ a b c d e f g h 米国農務省森林局 Pollinator Syndromes
  3. ^ 中山剛 「動物媒BotanyWEB
  4. ^ 蜜標(みつひょう) - 蜜腺の位置を示す模様。ガイドともいう。(中山剛 「動物媒」BotanyWEB、福原達人「さまざまな送粉様式」『植物形態学』。 )
  5. ^ Darwin, Charles (1862), On the various contrivances by which British and foreign orchids are fertilised by insects, and on the good effects of intercrossing, London: John Murray, pp. 197–203, http://darwin-online.org.uk/content/frameset?viewtype=text&itemID=F800&pageseq=212 2009年2月18日閲覧。 
  6. ^ a b 距(きょ)- 花被 (花冠と萼) の基部が細長く伸びた管状の構造。内部に蜜をためている。(中山剛「花弁と花冠BotanyWEB
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送粉シンドローム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 07:40 UTC 版)

送粉者」の記事における「送粉シンドローム」の解説

植物受粉様式反映したさまざまな送粉シンドロームを持つ。送粉シンドロームの構成要素としては、花全体大きさ花冠深さ・幅、色(ある種の花は、蜜の場所を示す紫外光でしか見えないパターンを持つ)、香り、蜜の量・成分特徴挙げられる送粉者と送粉シンドロームの関係として、「鳥類花筒細長く、蜜を多く分泌する赤い花をよく訪れるが、幅広くて蜜が少なく花粉の多い花にはあまり引き付けられない」などがある。後者のような花は甲虫類をよく引き付ける花の特徴実験的に操作する(色や大きさ向きなどを変える)と、送粉者による訪花は少なくなる送粉者対する送粉シンドロームの作用を「誘引」「報酬」「選別」「制御」に分類整理する考え方もある。 誘引 花の色形状香りなどによって、離れた場所にいる送粉者働きかけ呼び寄せる報酬 蜜・花粉香り成分など、花に訪れた送粉者への報酬誘引した送粉者報酬与えない送粉は「騙し送粉」という。 選別 特定の動物送粉者とすること。誘引方式報酬の種類によって送粉者選別するほかにも、開花時間限定しその時間に活動する動物のみを送粉者選定することもある。また、選別緩やかにして多種類の送粉者依存する場合と、選別厳しくして限られた送粉者依存する場合もあり、植物によって戦略異なっている。 制御 蜜腺位置を示す蜜標ガイドともいう)や、花の物理構造によって動物送粉をより確実に行うように制御する

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送粉シンドローム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 05:01 UTC 版)

虫媒花」の記事における「送粉シンドローム」の解説

花粉媒介を行う動物送粉者)の種類によって、花の形質共通した特徴みられることがある。それを「送粉シンドローム(ポリネーションシンドローム)と呼ぶ。以下に、訪花昆虫特徴と送粉シンドロームについて記述するハエ さまざまな花を訪れるため、花粉媒介者としての忠実度」は高くない。しかし気温が低い時期にも活動みられるため、ヤツデなど冬期開花する植物にとっては重要な訪花者となることがあるハエ媒花には、蜜腺露出していたり皿型のように蜜腺接近しやすい、白い花が多い、小花かたまって咲くなど「着陸しやすい、などの特徴見られるまた、ザゼンソウラフレシアのように悪臭ハエおびきよせるものもある。 ハナバチミツバチマルハナバチなど) ハナバチ類はきわめて優秀な送粉者である。各働き蜂には記憶力があるので、個体ごとに特定の巡回コース持っていたり、花蜜の多い花を選んで訪れたりする。自分が訪花した花を覚えていて、その花への訪花を一定時間行わないこともある。ハナバチは蜜を得るために、筒状花びらの奥まで進入することがあるまた、力があるので、ランアヤメのように蜜腺花びら隠されている花であっても、その花びら押しのけて蜜腺までたどり着くハナバチ媒花には、このように筒状の花や、蜜腺隠されているもの、あるいは距の中に蜜をためるものなど、容易に蜜源にたどり着けないものがある。また、直方向に小花が並ぶ花序をもつものがある(ジギタリスネジバナなど)。これらはハナバチが下から上の小花向かって移動するからである。 その他のハチ アシナガバチスズメバチも花を訪れるが、本来は肉食であるため、花蜜への依存度は大きくないヤブガラシなど、蜜量が多く採蜜しやすい花を訪れる。イチジク属の花には、イチジクコバチが訪れる。このハチイチジクの花嚢の中に入りその際花粉の媒介を行う。イチジク属の種ごとに特定のイチジクコバチが訪れるので、しばしば典型的な共進化事例として取り上げられる甲虫 甲虫類比較飛翔が上手ではないため、多く小花集まった花序大きな花など広い「着陸面積」を持つ花を好む。また、白い花好んで訪れる。オニバス熱帯モクレン中には夜になると花が閉じ翌日再び開花するまでその中に甲虫閉じこめるものもある。甲虫閉じこめられている間、出口探して花の中を徘徊するので、より多く花粉が体に付着するソテツ裸子植物の中では珍しい虫媒花であるが、ゾウムシによって花粉媒花されるという報告がある。 チョウ 特定の色の花を好むという傾向みられないユリのような筒状の花の送粉者となる。蜜腺露出した花では、長い口吻で蜜を吸うだけで雄蘂雌蘂触れることがなく、盗蜜者となることもある。 ガ 夕方から夜にかけて活動するため、視覚ではなく嗅覚に頼る。そのためガ媒花は強い芳香を持つものが多い。ユッカ(花)とユッカガのように、共進化とされる事例知られている。 この項目は、植物関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者求めています(プロジェクト:植物Portal:植物)。 典拠管理 LCCN: sh85104525 MA: 192184358

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