送粉生態学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 18:47 UTC 版)
多くの商業的栽培品種は雌雄同株である。雄株がほとんど見られないのは、雌雄同株のクローンを選抜したからで、そのほうが結果につながる多くの雌花が得られ、花粉を産生する雄花がはるかに少数ですむからである。雄の円錐花序には3000をこえる緑がかった白色の花をつけ、それぞれの花には黄色の蜜腺と5-7本の雄しべと機能しない1本の雌しべがある。雌雄同株の花序には500程度の緑がかった黄色の花をつけ、普通二裂した6本の雄しべがあり、1本の雌しべには各々1つずつの胚珠を収めた2室の子房がある。受粉能力があるのは1日だが、送粉者が花粉を運んでこなければもう少し持続する。 マレーシアでのランブータンの開花は、4月から7月と、7月から11月にかけてで、通常は乾期の後の雨に反応して起こる。開花の季節は地域によって異なる。全てではないが、多くの場合には一日のうちの早い時間帯に開花する。盛りのときには1つの雌花序で100の花が毎日開花する。結実率は初期には25%になるが、落果が多いために収穫時には1-3%に低下する。開花のあと15-18週で熟す。 雄花も雌花もかすかに甘い匂いをさせ、子房の基部に機能的な蜜腺を持つ。雌花は雄花の2-3倍の蜜を生産する。糖度は18-47%で花の型によって一定している。ランブータンはマレーシアではハチの蜜源として重要である。 大半の機能上の雌花では花粉が生産されないため、他家受粉が必須である。いくつかの栽培品種では無配偶生殖が起こるが、研究によればランブータンはライチと同様に受粉のために昆虫を必要とする。マレーシアではわずか1%の雌花が結実するが、袋をかけた花では結実せず、人為的に受粉したものでは13%の結実率に達した。このことからさらに、花粉媒介者(ポリネーター)は雄株または雌雄同株のいずれか一方に偏って誘引されることが示唆される。自然条件下ではそのため、雄と雌の花の外交配が必要にもかかわらず、ポリネーターが花粉を運んでくる率が低くなり、受粉と結実が制限されていると考えられる。
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