送波・受波
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 06:43 UTC 版)
音響エネルギーと電気エネルギーの相互変換を行うのが送受波器(トランスデューサー)である。電気エネルギーを音響エネルギーに変換する(音波を発振する)のが送波器(プロジェクター)、音響エネルギーを電気エネルギーに変換する(聴音する)のが受波器(ハイドロフォン)であり、同一の機構で兼用する場合と、それぞれ別に実装する場合がある。これらはソナー・システムの最前線として水中にあることから「ウェット・エンド」とも称される。 これらの変換は、磁歪ないし圧電効果(電歪を含む)によって行われる。石英(水晶振動子)、リン酸アンモニウム、ロッシェル塩などの圧電素子は、加圧すると結晶表面間に電荷を誘起し、また逆に結晶体に電圧を加えると圧力を生じる。また電歪素子は圧電素子と類似するが、高電界を加えて適当に分極させる必要があり、チタン酸バリウムやチタン酸ジルコン酸鉛などが用いられる。 単一の素子による送受波器も研究用としては生き残っているが、実用機では、多素子を空間的に配列したアレイが用いられることが多くなっている。アレイとして配列し、ビームフォーミングを行うことで、感度の向上や音波到来方向の識別、また受波器のSN比向上が期待される。ビームフォーミングの際の指向性利得(アレイゲイン)を向上させるためには、アレイは対象音の波長の数倍の長さを確保しておくことが望ましく、従って対象周波数が低周波になればなるほど所要のアレイ長・受波面積は増大する。一方、ビームフォーミングのためには、対象音の波長の半分以下の間隔でハイドロフォンを配置する必要がある。
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