送気式潜水の利点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/05 22:44 UTC 版)
高い安全性ヘルメット潜水では、空気の供給は事実上ほぼ無制限に行われるが、水上の空気供給装置が故障したり、空気供給ホースが損傷したりすれば、空気の供給は完全に途絶してしまう。特に空気供給ホースが障害物に絡まった場合、自力で水面に脱出することは非常に困難である。また、スクーバではタンクの空気を使いきってしまえば空気の供給は止まるうえ、レギュレータなどの故障で空気の供給が突然停止することも皆無ではない。しかし、送気式潜水では前述のとおり、予備の空気供給装置を装備することで、空気の供給停止に備えられるうえ、空気供給ホースが障害物に絡まった場合でも、空気の供給を予備に切り替えたうえで、空気供給ホースを切り離して脱出することが可能である。空気の供給は、スクーバ潜水と同様のレギュレータによって自動的に調整される。マスクやヘルメットには通常、レギュレータをバイパスする手動の空気供給バルブが装備され、激しい作業で大量の空気が必要な場合にも、レギュレータの吸気抵抗をキャンセルして安全な呼吸が可能であるほか、万一レギュレーターが故障した場合にも、空気の供給が途絶することはほとんどない。空気供給ホース(アンビリカルケーブル)でダイバーと水上が常時繋がっているうえ、通信装置(水中電話)も標準的に装備され、ダイバーの状態を常に水上で監視可能なほか、ヘルメットにテレビカメラを取り付け、ダイバーが見ている光景を水上でもモニターすることも、場合によっては可能である。 高い機動性送気式潜水では、基本的にはスクーバダイビングと同様、中性浮力の状態でフィンを使用して水中を移動可能である。また、浮力の調整も、スクーバ潜水で使用されるBCやドライスーツを利用して、空気供給とは無関係に調整可能であり、必要があれば、ヘルメット潜水のように浮力をマイナスに設定し、流れのある場所で安定した作業をすることも可能である。このように、送気式潜水は、スクーバダイビングほどの自由はないが、きわめて高い機動性を有している。
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