送検から2度目の勾留延長決定まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 14:50 UTC 版)
「尖閣諸島中国漁船衝突事件」の記事における「送検から2度目の勾留延長決定まで」の解説
中国政府は「釣魚島(尖閣諸島)は中国固有の領土」であるという根拠を元に、事件発生の日から4回にわたって北京駐在の丹羽宇一郎大使を呼び出し、日本側の措置に強硬に抗議、船長・船員の即時釈放を要求した。中国政府は呼び出しの度に、胡正躍外交部長助理(次官補)、宋濤外交副部長(次官)、楊潔篪外交部長、戴秉国国務委員(副総理級)と、段階的に高位の人物が対応しており、特に戴秉国国務委員による呼び出しは、12日の未明(午前0時から1時間)ということもあり、きわめて異例とされた。なお、船長逮捕当時、菅首相をはじめとして政府内では逮捕と起訴に積極的だったが、中国が抗議声明を発表したあたりから仙谷官房長官らが釈放を主張し始めていたという。 また中国政府は、東シナ海ガス田問題交渉の延期を通告し、7日の農業部漁業局の漁業監視船「漁政」の派遣に続いて、国土資源部国家海洋局が所管する海監総隊の「海監51」等2隻を周辺海域に派遣し、11日から13日まで海上保安庁の測量船と対峙し測量船の海洋調査活動を妨害した。 13日、日本政府は参考人として事情聴取をしていた船員14人を中国政府のチャーター機で帰国させ、差し押さえていた中国漁船も中国側に返還したが、船長に関しては19日に勾留延長を決定し、さらに外国人漁業の規制に関する法律違反の容疑でも調べを進め、司法手続きを続ける意思を明確にした。 政府の見解 日本政府は「尖閣諸島に領土問題は存在しない」としている。前原誠司国交相も2010年9月14日の記者会見で「東シナ海には領土問題は存在しない」と発言し、かねての主張を繰り返した。これは2010年5月27日の岡田克也外相の「尖閣に日本の領土問題はない。議論の余地はない」と述べたことを踏襲するものである。 蓮舫行政刷新相は尖閣諸島を「領土問題」と述べたが、政府見解と矛盾することを指摘され、同日午後、「尖閣諸島は歴史的にも国際法上もわが国固有のものだ」と発言を修正した。これを受け、中国のポータルサイト鳳凰網は蓮舫の経歴と出自を紹介した上で、「日本の華僑議員が尖閣諸島は日本領と発言した」と報じた。 野党の反応 自民党は外交・国防部会を2010年9月15日に開き、蓮舫の発言を「とんちんかん」「勉強不足か」と批判した。佐藤正久会長は、中国側が丹羽大使を夜中も含めて5度も呼び出したことに対して、「外交的には極めて無礼だ」と反発。 中国政府の反応 国務院台湾事務弁公室の范麗青報道官は「釣魚島の主権を守ることは中台同胞の共通の利益で、中華民族の長期的、根本的な利益になる」と述べた。 日中両国の民間の反応 日本国内の民間の反応に関しては、シンガポールの華字紙『聯合早報』が「日本の右翼分子が9月16日と17日の両日、兵庫県の神戸中華同文学校に対して『学校を爆破する』との脅迫電話をかけ、神戸中華同文学校は警察に通報し18日午後を休校とした。」と報じている。また、神奈川県横浜市の横浜山手中華学校にも脅迫の手紙が寄せられ、さらに同記事は「東京や大阪などの華人向けの学校でも類似の脅迫電話が相次いでいる」と報じているが、真偽のほどは不明。 中国国内の民間の反応に関しては、9月8日に、中国の反日民間団体のメンバーら30 - 40人が、北京の日本大使館前で中国の国歌を歌ったり、国旗を振ったりするとともに、報道関係者に対して日本側の対応を批判する演説を行い、船長の釈放などを求めた。その上で抗議文書を大使館の郵便ポストに入れ、引き揚げた。 9月15日までに、中国人による日本大使館や日本人学校への抗議や嫌がらせが、約30件に達したことが日本大使館の調べで分かった。日本大使館によると、「広東省広州市の日本総領事館の外壁にビール瓶を投げつけられた」、「北京の日本大使館近くで車のクラクションが5分間鳴り続ける騒ぎが起こった」、「館や各地の総領事館に抗議文が約10通届いた」、「天津日本人学校への鉄球撃ち込み」などが報告されている。 9月17日に、中国大手健康食品メーカーが日本への抗議行動として、予定されていた計1万人の訪日旅行ツアーをキャンセルする。
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