送粉シンドロームへの批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/24 05:33 UTC 版)
「送粉シンドローム」の記事における「送粉シンドロームへの批判」の解説
ある特定の1種類の送粉者よってのみ送粉が行われる植物は、その種類の送粉シンドロームに適合している場合が多い。しかしながら、複数の送粉者たちが訪れる植物も多数観察されているために、送粉シンドロームという概念に対して批判が続いている。 送粉シンドロームに寄せられた批判は、この概念の再構築につながった。第一には、送粉者を分類群のみに基づいて分けるのではなく、送粉に関する機能で分ける必要があることが明確になった。例えば、「どのように花粉と花蜜を集めるか」、「どのように花を見つけるか」である。機能で分けた送粉者のグループは、類似した選択圧を与える多くの生物種を含む。第二に明らかになったのは、送粉者の送粉成功の率は、訪花頻度よりも重要であるということである。もし多くの花粉を運搬できなかったり、もし多くの異なった植物種の花を渡り歩いたりするならば、頻繁に訪花する動物であっても、送粉者としては劣っている。最も効果的な送粉者は、訪花頻度がより少ないかもしれない。送粉シンドロームの概念に批判的な研究のあるものは、実際の花粉媒介ではなく訪花頻度の計測によって行われている。 オオバコ科イワブクロ属植物49種の花の形質と訪花を解析した研究では、鳥媒の植物種とハチ媒の植物種は明確に分けられたが、ハチの種類で訪花を分けるのは容易ではなかった。「タスマニア島において送粉シンドロームで送粉者を推定することは有効でなかった」という研究もある。しかしながら、 Fensterらは、通常の変異の範囲を超えて花を改変した研究および近縁植物種と異なる送粉者と関連付けて比較した研究から、「花の形質に対して異なる選択圧を与える機能集団についての圧倒的な証拠」があると結論している。
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