ジギタリス【(ラテン)Digitalis】
ジギタリス 【Digitalis】
ジギタリス
ジギタリス
英語表記/番号 | 出版情報 | |
---|---|---|
セーヴェルー:ジギタリス | Revebjolle (Foxglove) | |
セーヴェルー:ジギタリス ヘ長調 | Digitalis in F major |
ジギタリス
ジギタリス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/15 10:16 UTC 版)
ジギタリス | ||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]()
Digitalis purpurea
|
||||||||||||||||||||||||
分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||
Digitalis L. | ||||||||||||||||||||||||
タイプ種 | ||||||||||||||||||||||||
Digitalis purpurea L. | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Digitalis(通称はFoxglove) |
ジギタリス(実芰答里斯[1][注釈 1]、羅: Digitalis)とは、オオバコ科[注釈 2]ジギタリス属(キツネノテブクロ属、学名: Digitalis)の総称である。狭義ではジギタリス属の特定の種(キツネノテブクロ、学名:Digitalis purpurea)を指す。
解説
地中海沿岸を中心に中央アジアから北アフリカ、ヨーロッパに20種あまりが分布する。一・二年草、多年草だけでなく、低木も存在する。園芸用に数種が栽培されているものの、一般にジギタリスとして薬用または観賞用に栽培されている種は、Digitalis purpureaである。
学名のDigitalis(ディギターリス)はラテン語で「指」を表すdigitusに由来する。これは花の形が指サックに似ているためである。数字のdigitやコンピューター用語のデジタル(ディジタル、digital)と語源は同じである。大きさは最大200cmぐらいになる。
逸話
西洋でジギタリスには、暗く寂れた場所に繁茂し不吉な植物としてのイメージが有るとされる。いけにえの儀式が行われる夏に花を咲かせるため、ドルイド達に好まれると言われる。
「魔女の指抜き」「妖精の帽子」「妖精の手袋」「魔女の手袋」などと呼ばれていた地域もある。悪い妖精がこの花をきつねにあげた。きつねが足に巻くと、足音がしなくなり、大手をふって鶏舎のまわりをうろつくことができた。そのため、「キツネの音楽」「キツネの鈴」「キツネの手袋」などとも呼ばれている[2]。
メーテルリンクは「憂鬱なロケットのように空に突き出ている」と形容している。
栽培
花を目的として、花壇などで栽培されている。開花は5月から6月頃で、ベル状の花を咲かせる。
苗は、早春から春にかけて流通する。種から育てる場合、5月から6月が種播きの適期で、ほぼ1年後に開花する。種子はかなり細かいので、浅い鉢に播き、受け皿で吸水させて発芽させる。光に当たることで発芽する性質(光発芽種子)なので、覆土は薄くかける程度にする。水はけの良い土地を好むが、高温多湿にやや弱く、日本の暖地では栽培が難しい。
毒性と薬効
ジギタリスは全草に毒を有するため、観賞用に栽培する際には取り扱いに注意が必要である。ジギタリス中毒とも呼ばれる副作用として、不整脈や動悸などの循環器症状、嘔気・嘔吐などの消化器症状、頭痛・眩暈などの神経症状、視野が黄色く映る症状(黄視症)などが挙げられる。
その機序は、細胞膜にあるNa+ K+ ATPaseを阻害して、細胞内のNa+およびCa2+濃度を上昇させ、心筋の収縮性を亢進させる事である。
ジギタリスの葉を温風乾燥した物を原料としてジギトキシン、ジゴキシン、ラナトシドCなどの強心配糖体を抽出していたが、今日では化学的に合成される。古代から切り傷や打ち身に対して薬として使われていた。1776年に、英国のウィリアム・ウィザリングが強心剤としての薬効を発表した[3]。それ以来、鬱血性心不全の特効薬としても使用されている。以前は日本薬局方にDigitalis purpurea を基原とする生薬が「ジギタリス」「ジギタリス末」として医薬品各条に収載されていたが、いずれも第14改正日本薬局方第2追補(2005年1月)で削除された。
ゴッホが「ひまわり (絵画)」などで鮮やかな黄色を表現したのは、ジギタリスの服用による副作用の黄視症だったのではないかという説もある[4][5]。なお、ゴッホの晩年の作品「医師ガシェの肖像」には、ジギタリスが描かれている。
相互作用
下位分類
- Digitalis canariensis L.
- Digitalis cariensis Boiss. ex Jaub. & Spach
- Digitalis ciliata Trautv.
- Digitalis davisiana Heywood
- Digitalis dubia Barb.Rodr.
- Digitalis ferruginea L.
- Digitalis grandiflora Mill. オオバナジギタリス
- Digitalis isabelliana (Webb) Linding.
- Digitalis laevigata Waldst. & Kit.
- Digitalis lanata Ehrh. ケジギタリス
- Digitalis leucophaea Sm.
- Digitalis lutea L. キバナジギタリス
- Digitalis mariana Boiss.
- Digitalis micrantha Roth ex Schweigg.
- Digitalis obscura L.
- Digitalis parviflora Jacq.
- Digitalis purpurea L. キツネノテブクロ(狭義のジギタリス)
- Digitalis sceptrum L.f.
- Digitalis thapsi L.
- Digitalis trojana Ivanina
- Digitalis viridiflora Lindl.
ギャラリー
-
Digitalis ciliata
-
Digitalis grandiflora
-
Digitalis lutea
-
Digitalis purpurea
-
Digitalis purpurea
-
Digitalis purpurea
-
Digitalis purpurea var. alba
-
Digitalis sp.
脚注
注釈
出典
- ^ 金沢庄三郎 編「ジギタリス(実芰答里斯)」『広辞林』(新訂)三省堂、1934年、836頁。
- ^ 瀧井康勝『366日 誕生花の本』日本ヴォーグ社、1990年11月30日、168頁。
- ^ 木下武司 「強心薬ジギタリスのお話」 帝京大学薬学部附属薬用植物園
- ^ ダウンシーとラーション著、柴田譲治訳『世界毒草百科図鑑』55ページ(2018年、原書房刊)
- ^ W N Arnold, L S Loftus (1991). “Xanthopsia and Van Gogh's Yellow Palette”. Eye (Lond) 5 (Pt 5): 503-10. doi:10.1038/eye.1991.93. PMID 1794418.
- ^ ジギタリスとCa拮抗薬の薬物相互作用 臨床薬理 Vol.24(1993) No.1 P237 - 238
参考文献
- A・レウィントン「暮らしを支える植物の事典」(八坂書房)
- アリス・M・コーツ「花の西洋史事典」(八坂書房)
外部リンク
- 自然毒のリスクプロファイル:高等植物:ジギタリス - 厚生労働省
- ジギタリス(ゴマノハグサ科) - 「食品衛生の窓」東京都保健医療局
- 『ジギタリス』 - コトバンク
- ジギタリスとは?育て方・栽培方法|植物図鑑 - LOVEGREEN(ラブグリーン)
- ジギタリス Digitalis purpurea - 岡山理科大学 生物地球学部 生物地球学科旧植物生態研究室(波田研)ホームページ
- ジキタリスとは|育て方がわかる植物図鑑 - みんなの趣味の園芸(NHK出版)
ジギタリス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/06/30 09:15 UTC 版)
ジギタリス製剤には経口薬のほか、静注薬も存在する。 ジギタリス(ジゴキシン)はNa+/K+-ATPaseを阻害し、細胞内Na+濃度を高くすることでNa+/Ca+交換系を賦活させ、これによって心収縮力を増加させる。また、房室伝導も阻害することが知られている。 ジギタリス中毒の症状としてはPAT with blockや盆状ST低下といった心電図変化が有名であるが、自覚症状としては消化器症状や視覚障害が多い。カルシウム拮抗剤やβ遮断薬の併用、低カリウム血症、あるいはそれを起こすループ利尿薬投与の場合には中毒のリスクが高くなる。 急性心不全で強心作用がほしい場合はカテコラミンが用いられ、慢性心不全では他の心不全治療薬と併用されることがある。 なお、ジギタリス自体には心不全の予後改善効果はない。そのため、陰性変時作用を利用して、心房細動のレートコントロールに用いられることもある。 ジギタリス0.25mgにテノーミン25mgやセロケン40mg、またはワソランを併用することがよくある。 ジギタリスは腎臓から排泄されるため、腎機能低下時は半量投与となることがある。目安としては、70歳以上ならば0.125mgとすることが多い。肝代謝のジゴトキシン製剤(ジギトキシン錠)も存在する。 ジギタリス中毒が発生したときにはまずジギタリスの投与を中止し、心室性不整脈に対してはキシロカインやアレビアチンの投与を行い、同時に血中カリウム濃度のモニタリングをする。
※この「ジギタリス」の解説は、「昇圧剤」の解説の一部です。
「ジギタリス」を含む「昇圧剤」の記事については、「昇圧剤」の概要を参照ください。
「ジギタリス」の例文・使い方・用例・文例
ジギタリスと同じ種類の言葉
- ジギタリスのページへのリンク