種子散布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/26 13:29 UTC 版)
2a. ハゼノキ(ウルシ科)の核果を食べるシジュウカラ 2b. セイヨウカンボク(ガマズミ科)の核果を食べるヒメレンジャク 核果の多くは、鳥類や哺乳類に食べられ、それらの消化管を通って糞とともに硬い内果皮に包まれた種子(核)が散布される(被食散布、糞散布)(右図2a, b)。このような被食散布される核果において、種子が硬い内果皮に包まれていることは、種子の破壊・消化を防ぐために発達したと考えられている。鳥によって散布される果実はふつう匂いを欠き、成熟しても自然落下しにくく高い位置についているものが多いが、哺乳類によって散布される果実は、ときに強い匂いをもち、低い位置についていたり自然落下しやすいものが多い。 多くの場合、中果皮が多肉質であり、種によって糖や水分、脂質などに富み、動物にとって魅力ある可食部になっている。特殊な例として、ケンポナシ(クロウメモドキ科; 下図2c)やカシューナットノキ(ウルシ科; 下図2d)では、核果の中果皮は薄く、核果がついている枝が多肉質の可食部になる。 多くの場合、核果は成熟すると、赤やオレンジ、白、藍、黒など目立つ色になることで動物による視認性を高めている。可視光だけではなく、鳥などには認識できる紫外線を反射している例もある。キイチゴ状果(上記)では、小さな核果(小核果)が密集することで動物に対してより目立つようになっている。また果実の成熟度によって色が変わることもあり、複数の色でより目立たせる効果や、未熟な果実を避けてもらう効果があると考えられている(下図2e)。クサギ(シソ科)では、藍色の核果が赤い萼で囲まれており、二色効果によって目立つ(下図2f)。 2c. ケンポナシ(クロウメモドキ科)の果実(果柄が膨潤している) 2d. カシューナットノキ(ウルシ科)の果実をつけた果柄は赤く発達する(カシューアップルとよばれる) 2e. 多様な色を示すガマズミ属(ガマズミ科)の果実 2f. クサギ(シソ科)の核果は赤い萼で囲まれている 2g. ミフクラギ(キョウチクトウ科)の核果 ココヤシの核果(上図1f, g)では中果皮が多肉質ではなく繊維質でコルク状になっており、これによって海面に浮かぶことができる。堅い内果皮に包まれた種子は海水に長期間浸かることに耐えられ、海流によって遠距離に散布される。同様に海流散布される核果は、ミフクラギ(上図2g)(キョウチクトウ科)やハマゴウ(シソ科)などにも見られる。
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種子散布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 03:52 UTC 版)
蒴果は種子を放出するため、種子が散布単位となる。いくつかの植物では、蒴果が種子を射出する機構を備えている。また放出される種子に、散布のための構造が付随していることがある。
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種子散布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 03:53 UTC 版)
袋果は裂開して種子を放出するため、種子が散布単位となる。 シキミ(マツブサ科)は、放射状に配列した8個ほどの袋果を形成し、各袋果は大きな種子を1個含む(下図2a)。袋果は裂開し、乾燥して幅が狭くなることで内部の種子をはじき飛ばす(自動散布)。またヤマガラやヒメネズミも、シキミの種子散布に関わっていることが報告されている(貯食散布)。 キョウチクトウやテイカカズラ、ガガイモ、キジョラン、イケマなどキョウチクトウ科の袋果は、多数の毛(種髪)が生えた種子を放出する。(下図2b)。カツラ(カツラ科)の袋果は、扁平な翼をもつ種子を放出する(下図2c)。これらの種子は、風散布される。 2a. シキミ(マツブサ科)の袋果(集合袋果)と種子 2b. トウワタ(キョウチクトウ科)の袋果と種子 2c. カツラ(カツラ科)の種子と袋果(右) 2d. ボタン属(ボタン科)の裂開した袋果と種子、不稔種子 2e. ゴンズイ(ミツバウツギ科)の裂開した袋果と種子 モクレン属(モクレン科)の袋果は、裂開すると外種皮がやや多肉質で表面が赤色の種子を放出するが、この種子は珠柄に由来する白い糸で果実とつながっており、落下しない(上図1d)。この種子は鳥に食べられ、堅い内種皮より内側の部分が排出されることで種子散布される(被食散布)。 ボタン属(ボタン科)の袋果は、裂開して黒い種子と赤い不稔種子を露出する(上図2d)。2色効果によって種子散布者への視認性を高めていると考えられているが、実際の散布者としては貯食者であるげっ歯類が報告されている。ゴンズイ(ミツバウツギ科)の袋果は赤く熟し、裂開して黒く光沢がある種子が露出する(上図2e)。これも2色効果によって種子散布者である鳥類に視認させていると考えられているが、種子には可食部がほとんどなく、鳥を騙しているともされる。
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種子散布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/10 09:49 UTC 版)
堅果は裂開しないため、種子を含んだ果実の状態で散布される。 ブナ科やクルミ科などの堅果は、リスやネズミ、シジュウカラ、カラス、カケスなどの動物によって収集・輸送・貯蔵されることがある(下図4a)。これらの動物の食料となるのは堅果中の種子であるため、食べられた堅果は発芽できないが、貯蔵されながら食べ残された堅果はそこで発芽することがあり、このような種子散布様式は、貯食散布(食べ残し型散布)とよばれる。貯食散布される堅果を生産する植物は、堅果の生産量が年によって大きく変動することが知られている。これによって、果実食者や果実に対する害虫が増えすぎないようにしていると考えられている。 オニグルミの"堅果"は上記のように貯食散布されるが、果実中に空洞があるため水に浮くこともでき、これによる水流散布も行われるとされる。ハスの堅果(痩果ともされる)も空洞をもち、水に浮いて散布される。 4a. ブナ科の堅果を運ぶキタリス 4b. Pterocarya fraxinifolia(クルミ科)の堅果 4c. セイヨウシデ(カバノキ科)の果苞と堅果 4d. フユボダイジュ(アオイ科)の堅果と苞 4e. 小堅果を風散布するガマ(ガマ科) サワグルミ属やノグルミ属(クルミ科)の堅果には苞が発達した翼が付随しており(上図4b)、またクマシデ属やアサダ属(カバノキ科)の堅果は大きな苞(果苞)の基部についている(上図4c)。またカバノキ属やハンノキ属(カバノキ科)では、果皮が翼状に発達することがあり、このような果実は翼果ともよばれる。スイバやイタドリ(タデ科)では、小堅果(または痩果)が翼状の花被で包まれている。これらの構造は、風による果実の散布に役立つと考えられている。またシナノキ属(アオイ科)では、複数の花をつけた花梗が苞に癒合しており、そこから形成された複数の堅果が垂下した苞が風散布される(上図4d)。 ガマ科の堅果(小堅果、または痩果)は長い果柄の先についているが、この果柄には長い毛が多数生えている。果実は、この毛によって風にのって散布される(上図4e)。ワタスゲ(カヤツリグサ科)の小堅果(痩果)には花被が変化した綿毛がついており、風にとばされる。
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種子散布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 10:04 UTC 版)
穎果は裂開しないため、種子を含んだ果実の状態で散布される。 チガヤ(下図2a)やメリケンカルカヤ、ススキ(下図2b)、ヨシなどでは、小穂の基部などに長い毛が密生しており、風で散布される。 チカラシバは小穂の基部などに生えている毛や突起によって(下図2c)、ササクサは芒(のぎ)(護穎などに生えている刺状の突起)に生えた逆刺によって(下図2d)、動物に付着して穎果を散布する。またチヂミザサでは、芒が粘液を分泌し、動物に付着して散布される。ジュズダマでは、雌花を包む壷形の苞鞘が発達して硬化しており(下図2e)、これが水に浮かんで散布されると考えられている。 2a. チガヤの小穂 2b. ススキの果序 2c. チカラシバの小穂 2d. 服についたササクサの小穂 2e. ジュズダマの小穂
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種子散布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 10:06 UTC 版)
角果はふつう裂開するため、種子が散布単位となる。 熟したタネツケバナの角果に触れると、瞬間的に果皮が2枚に分かれて丸まり、種子をはじき飛ばす(自動散布)(下図2a)。さらに飛ばされた直後の種子は表面に粘液質をまとっており、動物に付着して散布される(付着散布)。 2a. ミチタネツケバナの長角果: 果皮(弁)が巻き上がっている。 2b. ゴウダソウの角果(種子が透けて見える) 2c. ゴウダソウの角果: 一部は果皮がはずれて隔膜(光沢あり)のみが残っている。 ゴウダソウ(ルナリア)は大きく楕円形の角果を形成し、種子が付着した果皮(弁)がそこからはずれ、風に乗って散布される(上図2b, c)。 例外的に、節長果は裂開せず、種子を1個ずつ含む単位(分果)に分節する。ハマダイコンの分果は厚くコルク質の果皮が種子を包んでおり、海流にのって散布される。
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