種子散布に関して
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/20 08:45 UTC 版)
本種を含むスゲ属の植物では種子(本当は痩果)は果胞という袋状の構造に包まれ、その形で散布される。水辺に生育する種には果胞が水流散布に適応していると思われるものもあり、例えばシオクグなど海岸性の種には果胞がコルク質になり、浮きやすくなっていると考えられるものがある。本種は海岸近くに出現するものではあるが、海流分散は行わないと思われる。実験的に海水に投入した場合、採集した直後のものでは1日でほとんど、2日目ですべてが沈んだ。乾燥させた後のものは1日ですべて沈んだ。本種は海岸近くに出現するものではあるが、実験的に海水に投入した場合、採集した直後のものでは1日でほとんど、2日目ですべてが沈み、乾燥させた後のものは1日ですべて沈んだとのことで、海流分散は行わないと思われる。 種子散布は主としてアリによる運搬が大きく関わると思われ、生育地で種子を地上に置いた場合、すぐにアリに運ばれる。長崎県の観察ではアミメアリ、アシナガアリ、トビイロケアリが種子を運ぶのが確認された。本種の果胞は柔らかくなっており、上半は緑で、下方は白っぽくなっているが、アリは必ずこの白く柔らかい部分を顎でくわえて運ぶという。つまり果胞が白く柔らかくなっているのはエライオソームに相当すると判断できる。
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