種子散布システムとしてのドングリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 15:48 UTC 版)
「ドングリ」の記事における「種子散布システムとしてのドングリ」の解説
果実としてのドングリは、特に目立った種子散布器官を持たないように見えるため、古くは種子散布の形式を重力散布(つまり、落ちること)とみなされた[要出典]。しかし、今日では上述の動物の餌としての重要性がこの仲間の種子散布に大きな役割を果たしているとされている。 ドングリを秋から冬にかけての重要な食料としている動物の中に、ネズミ類、リス類、カケス類のように林床に少数ずつ分散して埋蔵貯食するものがある。こうした動物が埋めたドングリは、大半が越冬時の食料として消費されるが、春までに一部が余って食べ残される。これが親植物から離れた地点で発芽して新世代の植物となる。また、ドングリは乾燥に弱く、単に林床に落ちただけでは乾燥によって速やかに発芽能力を失うことが多い。ネズミ等による貯食は、この乾燥から免れる効果もあるとされている。 イノシシ、シカ等の大型哺乳類の採餌により森林の下草、ササなどが取除かれ、蹄耕により土壌が露出すると、そこにはネズミ、リス等のげっ歯類、カケス類がドングリを埋められる条件が生まれてくる。ドングリを作るブナ科の植物はネズミ類、リス類が誕生する以前、約6,500万年前の白亜紀にはすでに出現していたことが明らかになっており、土壌の攪乱を当時の大型の草食恐竜が担い、当時の小型だった哺乳類の祖先がネズミやリスの代わりを担っていたと推定されている。
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