食料として
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 04:11 UTC 版)
主に種子が「豆」として利用される。乾燥させれば長期の保存にも耐えることから広義の穀物として扱われる。一般にタンパク質と食物繊維に富み、主食の穀類、イモ類に次ぐ重要食物と位置づけられ、世界各地に様々な食文化がある。歴史的に宗教や所得の制約から動物性食品を得がたい者にとり重要なタンパク源であった。 ただしマメ科の大部分の種類はヒトにとって有毒である。毒の強弱は様々であり、トウアズキ(Abrus precatorius)やエニシダ属(Cytisus)の種子のように毒性が強く食べると死に到るものが多い一方で、適切な毒抜き処理をすれば豆として食用にできる種もある。マメ科の有毒成分は各種のタンパク質であることが多いので、典型的な毒抜きとしては十分な量の水と一緒に、軟らかくなるまで十分に加熱することで有毒タンパク質を変性・失活させる。多くの食用種では軟らかくなるまで茹でることで毒抜きができるが、より強い毒を持つ種では茹でたうえで何日か流水にさらしておいてから食用とすることもある。毒抜きが終わった食用種の種子は料理に用いられる。毒抜きの過程で水分を含んでいることもあってか、世界的にみてもマメ科種子(豆)を使った伝統的な料理は煮込み料理が多いが、サラダの具として使うこともある。食用種であっても加熱や流水に晒す毒抜きが不十分だと中毒することが往々にしてあり、日本では軽く炒っただけのインゲンマメを食べたことによる中毒事件が発生している。また、ソラマメ中毒のように多くの人にとっては分解できる毒素であるが、分解酵素の欠損により中毒症状を起こす人が一部にいるという遺伝疾患も知られる。 種子を食用とするマメ科植物のうち、世界で最も生産されているのはインゲンマメ属のインゲンマメである。世界的な食用種には他にソラマメ属のソラマメ、ダイズ属のダイズ、ササゲ属のアズキやリョクトウが知られ、ルピナス属の一部の種など限られた地域内で食べられている種も複数存在する。ほかに種子単体だけでなく若い鞘ごと種子を食べることもあり、インゲンマメやエンドウマメではよく見られる食べ方である。モヤシのように発芽させて根や茎を食べるものや、クズのように根に含まれるデンプン(葛粉)を採取し食用とする種類もある。ルイボスは葉を茶として利用する。 様々な食用種のマメ科種子 マメ科種子の料理は毒抜きを兼ねた煮物料理が多い(アルジェリアのヒヨコマメ料理) アズキの種子を砂糖と一緒に煮た料理である餡 チリコンカーンを煮るカウボーイ 蒸したダイズの種子を発酵させた納豆 若い鞘ごと茹でられるインゲンマメ 発芽したマメ科種子をモヤシとして食用にする クズの根から作られる葛切り
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