食文化への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 06:23 UTC 版)
「中世料理#中世の食事療法」および「健康全書」も参照 西洋では万物が四大元素からなると考えられたため、薬も食材も「熱・冷・湿・乾」のうち2つの性質を持つとされた。摂取する食材の性質が体液に影響を与えるため、中世ヨーロッパでは、医師の治療の中心は日常的な食事療法だった。健康にいい性質の食材を採ること、性質が合わない食物を混ぜないこと(合食禁)などが重視された。また、食べた物が体内で適切に「調理」され、栄養素がきちんと吸収されるように、正しい順序で腹を満たすことが大切だと考えられ、そのようにコースが組み立てられた。まず消化しやすいものが出され、徐々に腹持ちのいい料理に移行した。この養生法を軽んじると、食べた物が十分に消化されず、胃の中に悪い体液が引き込まれると思われていた。 食材や薬剤の性質は本草書、農書などに記され、養生書では食事に多くの頁が割かれた。キリスト教徒でアラブ人の医師イブン・ブトラーン(11世紀)は、バグダードで学んだ医学をTaqwīm al-Sihha(『健康表』、または『健康全書』)にまとめているが、これは食材やハーブの性質とその度合いなど、健康のために役立つ情報を表にしたものであった。
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