タネツケバナとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 自然 > 生物 > 植物 > アブラナ科 > タネツケバナの意味・解説 

たねつけ‐ばな【種漬花/種付花】

読み方:たねつけばな

アブラナ科越年草。田や水辺などに生え、高さ2030センチ4、5月ごろ、白い小花総状につける。米の種もみに浸すころに花が咲くのでいう。たがらし。《 春》


種付花

読み方:タネツケバナ(tanetsukebana)

アブラナ科越年草薬用植物

学名 Cardamine flexuosa


種漬花

読み方:タネツケバナ(tanetsukebana)

アブラナ科越年草薬用植物

学名 Cardamine flexuosa


種漬花

読み方:タネツケバナ(tanetsukebana)

アブラナ科二年草で、四、五月ごろの端に白い小さ四弁の花を開く

季節

分類 植物


タネツケバナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/07 15:16 UTC 版)

タネツケバナ
福島県会津地方 2023年4月上旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ上類 Superrosids
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : アオイ類 Malvids
: アブラナ目 Brassicales
: アブラナ科 Brassicaceae
: タネツケバナ属 Cardamine
: タネツケバナ C. occulta
学名
Cardamine occulta Hornem. (1819)[1]
シノニム
和名
タネツケバナ(種漬花)
英名
bitter cress

タネツケバナ(種漬花[10][11]・種付花[10]学名: Cardamine occulta)はアブラナ科タネツケバナ属植物の一種。水田などの水辺に群生する雑草和名の由来は、イネ種籾を水につけて苗代作りの準備をするころに白い花を咲かせることから「種漬け花」と名付けられたといわれる[12][11][13]。別名、タガラシ、ミズガラシ、コメナズナともよばれる[13]。中国植物名は、湾曲砕米薺(わんきょくさいべいせい)[12]

分類

従来、この植物の学名は、Cardamine flexuosa と混同されていた経過にある。これは北半球に広く分布し、イギリス産の植物に命名された C. flexuosa が日本に分布するタネツケバナと同種とされたためである。京都大学の工藤洋ら (2006) の研究により、C. flexuosa はヨーロッパの山地に広く分布し、ブナ林やトウヒ林の林縁などに生育するのに対し、日本に分布するタネツケバナは、アジアの農耕地周辺に広く分布し、水田やその類似地に生育するものであり、両種の生態的分布は大きく異なり、地理的にも連続しないことが明らかにされた。さらに、Lihová ら (2006) の研究により、C. flexuosa は2n=32の4倍体であるのに対し、タネツケバナは2n=64の8倍体であることが明らかになった。これらのことから、Marhold ら (2016) によって、タネツケバナの学名は、アジアに分布するタネツケバナ属の8倍体の分類群の中で最初につけられた Cardamine occulta が採用された。この学名はデンマークの植物学者イェンス・ヴィルケン・ホルネマンが、コペンハーゲン植物園で種子から育てた中国産のタネツケバナ属の植物につけられたものである[14]

特徴

日本の北海道本州四国九州南西諸島に分布する[10][15]。日本全土に生育し[16]アジアの農耕地域に広く分布する[14]。平地の水田、あぜ道、湿地、溝、河川敷などの水辺に自生し、湿った場所を好んで群生する[10][13][17]水田雑草としてもよく見られ、時に半ば水につかって育っている。

全体に柔らかい越年草[10]、あるいは一年草[13]。10月頃に発芽し、葉を放射状に広げたロゼットで越冬し、春に花を咲かせる。水田の暦にもうまく適応しており、発芽時期は丁度稲刈りの後になり[18]、翌春、たね籾を水につけ発芽を促すころに花をつける[19]。花弁は4枚の十字花であり、雄しべも4本。葉は羽状の複葉であり、頂小葉がもっとも大きいは下部から分枝し、高さは変位が大きく10 - 40センチメートル (cm) ほどになる[10][11][17]。茎はふつう、暗紫色を帯びる[17]互生し、茎の根本と下部に、一回羽状複葉をつける。葉の大きさも、草丈に応じてかなり変化する[11]葉身は羽状に深く裂け、下方の葉は7 - 10枚の小葉に分かれ、小葉は丸く小さく、頂の小葉はやや大きい[10][17]。裂片は丸みのある五角形であるが、その形には変化がある[11]

花期は早春から初夏にかけて(3 - 5月ごろ)[10][17]は茎の先端に総状花序をなし、白色の小さな4弁花を10 - 20個つける[10][17]花弁は白、果実は棒状で上を向く。長角果は長さ2 cmほどで、熟すとはじけて2つに裂ける[10]

なお、育ちがよいものは小型のクレソンに似て見えることがある。

利用

越冬している葉や、早春に出る若芽を食用にする[10]。採取時期は12月から翌年5月にかけて採取できるが[13]関東地方以西が3月ごろ、東北地方から以北が3 - 4月ごろが適期とされ[10]、花が開く前のロゼット状に広がったやわらかい若芽は根際からナイフで切りとり、伸びた茎先ややわらかい若葉を摘む[13][17]。アクは弱く辛味が持ち味で、軽く茹でて水にさらし、おひたし和え物煮びたし、汁の実などにする[10][13][17]。塩味や醤油味をつけて炊いたご飯に混ぜた菜飯にしてもよい[17]。生のまま天ぷらサラダ、肉料理の付け合わせにしても食べられ、花だけ集めてサラダのあしらいとしても利用できる[10][17]。食味は、ピリッと辛く、クレソンに似た爽やかさや苦味がある[13][17]。辛味は、水がきれいで冷たい場所のものほど強いといわれ、熱を加えると苦くなることがある[11]。別種のオオバタネツケバナ、ミズタネツケバナも同様に食用にでき、帰化植物ミチタネツケバナも根出葉が同様に食べられる[10]七草がゆの際には、春の七草ナズナと間違えられる例もある。果実の形が違うので判別は難しくないが、別にはないし食べられるので間違えても実害はない。

アイヌ料理ではと相性が良いとしてシペキナ(鮭の草)の名で鮭料理の香辛料にされた[20]北海道弁では「アイヌ山葵」と呼ばれる[21]

夏に採取した全草は、天日で乾燥させて生薬にし、砕米薺(さいべいせい)と称している[12]。かつては咳止め利尿剤などの民間薬に利用された[13]下痢膀胱炎に、1日量5 - 10グラムを600 ccの水で煎じて3回に分けて服用する民間療法も知られる[12]。熱を冷ます薬草で、肛門尿道に熱感があるときに使うとよいといわれる[12]。ただし、妊婦への服用は禁忌とされる[12]

2月3日3月7日誕生花

近縁種

タネツケバナには、オランダガラシ(別名:クレソン、学名: Nasturtium officinale)など姿が似た近似種や近縁種がいくつもあるが、多くは花が少し遅い[15]。オランダガラシは野菜として栽培されているが、日本には帰化植物として野生化もしており、タネツケバナと同じく水の冷たいところではかなり辛くなる[15]。水温が低いところでは、小型化してタネツケバナと似た姿になる[15]

山の渓流沿いには、大形のオオバタネツケバナ(学名: Cardamine scutata)が生える[17]。オオバタネツケバナは草姿がクレソンと大変よく似ており、辛味や香りが強く、よりおいしく食べられる[17]

脚注

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cardamine occulta Hornem. タネツケバナ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年3月7日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cardamine parviflora auct. non L. タネツケバナ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年3月7日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cardamine scutata auct. non Thunb. タネツケバナ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年3月7日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cardamine scutata Thunb. subsp. flexuosa sensu H.Hara タネツケバナ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年3月7日閲覧。
  5. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cardamine manshurica (Kom.) Nakai タネツケバナ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年3月7日閲覧。
  6. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cardamine flexuosa auct. non With. タネツケバナ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年3月7日閲覧。
  7. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cardamine flexuosa With. var. debilis (O.E.Schulz) T.Y.Cheo et R.C.Fang タネツケバナ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年3月7日閲覧。
  8. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cardamine debilis D.Don タネツケバナ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年3月7日閲覧。
  9. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cardamine autumnalis Koidz. タネツケバナ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年3月7日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 高橋秀男監修 2003, p. 17.
  11. ^ a b c d e f 吉村衞 2007, p. 72.
  12. ^ a b c d e f 貝津好孝 1995, p. 44.
  13. ^ a b c d e f g h i 篠原準八 2008, p. 29.
  14. ^ a b 工藤洋、「日本産アブラナ科タネツケバナ属雑草の生物学」、『雑草研究』Vol.62(4), pp.175-183, (2017)
  15. ^ a b c d 吉村衞 2007, p. 73.
  16. ^ 久志博信『「山野草の名前」1000がよくわかる図鑑』主婦と生活社、2010年、19ページ、ISBN 978-4-391-13849-8
  17. ^ a b c d e f g h i j k l m 金田初代 2010, p. 168.
  18. ^ タネツケバナと水田”. タネツケバナ(種漬花)(アブラナ科 タネツケバナ属). 野田市役所 (2021年5月21日). 2025年3月7日閲覧。
  19. ^ 瀧井康勝『366日 誕生花の本』日本ヴォーグ社、1990年11月30日、70頁。 
  20. ^ アイヌ 歴史と民俗 P.91
  21. ^ アイヌワサビ”. 【植物検索・撮れたてドットコム】. 2025年3月7日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク


「タネツケバナ」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「タネツケバナ」の関連用語

タネツケバナのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



タネツケバナのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのタネツケバナ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS