早落萼と宿存萼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/15 08:55 UTC 版)
ふつう萼はつぼみの際に他の花要素を保護しており、ヒナゲシやクサノオウ,タケニグサ等の(ケシ科) の萼は、開花時には脱落してしまう早落性(そうらくせい) (caducous) である (早落萼、早落がく; 下図5a)。一方、キイチゴ属 (バラ科)、スミレ属 (スミレ科)、ツツジ科、シソ科、ナス科などの萼は、花後も長く残る宿存性(しゅくぞんせい) (persistent) である (宿存萼、宿存がく) (下図5b)。花後に萼が発達して果実を保護するものもおり、ホオズキ (ナス科) では萼が袋状になって果実を包み (下図5c)、ヒシ (ミソハギ科) では果実を包む萼が硬化して鋭い刺を形成する (下図5d)。また花後に発達した萼が、ハエドクソウ (ハエドクソウ科) では鉤に、ツクバネウツギ (スイカズラ科) では翼に、シラタマノキ (ツツジ科) では可食部になり (下図5e)、それぞれ種子散布に寄与する。特殊な萼である冠毛もふつう宿存性であり (下記参照)、種子散布に働くものが多い (タンポポなど)。また果実に残っている萼には、ガス交換や植物ホルモンなどの物質供給を通して、果実の発達・成熟に寄与すると考えられている例もある。 5a. ヒナゲシ (ケシ科) の開花中の花. 2枚の萼片はすぐに脱落する. 5b. トマト (ナス科) の果実と宿存萼. 5c. ホオズキ (ナス科) の萼で包まれた果実. 5d. ヒシ属 (ミソハギ科) の果実では萼が刺状に発達する. 5e. シラタマノキ (ツツジ科) の萼は花後に発達し果実を包む.
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