ガガイモとは? わかりやすく解説

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がが‐いも【蘿藦】

読み方:ががいも

キョウチクトウ科蔓性(つるせい)の多年草日当たりのよい山野に生え長い心臓形で、対生を切ると白い汁が出る。夏、淡紫色小花総状につけ、大形の広披針形の実を結ぶ。種子には絹糸状の白い毛がある。かがみ。

ガガイモの画像
ガガイモの花/撮影広瀬雅敏
ガガイモの画像
ガガイモの実/撮影広瀬雅敏

蘿藦

読み方:ガガイモ(gagaimo), カガミイモ(kagamiimo), ジガイモ(jigaimo)

ガガイモ科つる性多年草薬用植物


蘿摩

読み方:ガガイモ(gagaimo

トウワタ科多年生蔓草


ガガイモ

ガガイモ
科名 ガガイモ科
別名: クサワタ
生薬名: ラマシ蘿摩子
漢字表記 蘿摩
原産 日本
用途 原野自生するツル性多年草果実袋果で、種子先に絹毛のような長い毛がつきます未熟果を強壮に未熟果から出る乳液をいぼとりに。
学名: Metaplexis japonica Makino
   

蘿藦

読み方:ガガイモ(gagaimo), カガミイモ(kagamiimo), ジガイモ(jigaimo)

ガガイモ科つる性多年草薬用植物

学名 Metaplexis japonica


蘿摩

読み方:ガガイモ(gagaimo

ガガイモ科多年草

季節

分類 植物


ガガイモ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/29 10:24 UTC 版)

ガガイモ
ガガイモ
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク上群 superasterids
階級なし : キク類 asterids
階級なし : asterids I
: リンドウ目 Gentianales
: キョウチクトウ科 Apocynaceae
: ガガイモ属 Metaplexis
: ガガイモ M. japonica
学名
Metaplexis japonica (Thunb.) Makino (1903)[1]
シノニム
和名
ガガイモ(蘿藦)

ガガイモ(蘿藦[3]学名: Metaplexis japonica)はキョウチクトウ科[注 1]ガガイモ属のつる性多年草である。中国名は蘿藦[1]。種子や葉は薬用に、若い芽は食用になる。

名称

古名をカガミまたはカガミグサという。夏の季語。いずれの名も語源には諸説あり、イモというのは根ではなくて実の形によるともいう。高橋 (2003) は割れた実の内側が鏡のように光るのでカガミイモ(鏡芋、輝美芋)の名がつき、これが訛ってガガイモとなったとしている。

平安初期の『本草和名』で中国語名の蘿藦がガガイモを表す漢字表記としてあてられ、やがて蘿藦の表記が用いられるようになった。

日本神話では、スクナビコナの神が天之蘿摩船(あまのかがみのふね)に乗ってきたといい、これはガガイモの実を2つに割った小さな舟のこと。

地方により、ガンガラ[4]、ゴンガラ[4]、トウノキ[4]などととばれている。

ガガイモの学名牧野 (1940) などで Metaplexis japonica と紹介されてきたが、Khanum et al. (2016)Metaplexis属など[注 2]はイケマ属(Cynanchum)に統合するのが妥当とする学説が出され、ガガイモに関しては同論文480頁で提案された Cynanchum rostellatum という新学名がキュー植物園からも認められている[5]

分布と生育環境

日本北海道本州四国九州のほか[6]朝鮮半島中国東アジア一帯に分布する[6][7]。低地から低山帯に分布する[3]。各地の山野に自生し[6]、日当たりのよいの草原道端河川敷、林縁などに見られる[3][7]。日当たりと排水がよく、肥えた土地を好む性質があり群生する[6][3]

形態・生態

つる性の多年草で、長く太い地下茎があり、白い線状で長く伸びると、その先にを出す[6]。地下茎はちぎれても、地下茎の一部分から容易に繁殖できる[6]。地下茎は有毒[3]。つるは右巻き(Z巻き)である。他物に絡んで伸び、長さは2メートル (m) ほどになる[3]対生し、長さ5 - 10センチメートル (cm) のやや長い心臓形で全縁[6][3]葉脈が目立ち、葉身の表面は濃い緑色、裏面は白緑色をしている[7]。葉や茎を切ると白い乳液が出る[6]

夏に、葉腋から長い花柄を出した先に集散花序がつき、淡紫色から白色のが10 - 20個ほど咲く[6][3][7]。花冠は5深裂して星型に反り返り、花冠の内側に毛が密生する[6][7]果実は大型の紡錘形の袋果で、長さは8 - 10センチメートル (cm) [7]、表面にイボがあり、熟すと割れてボート形になり、中から白い毛の生えた種子が出る[6]

ヘクソカズラに姿がやや似ており、比べると数は少ないが、横に伸びた根から芽を出して旺盛に繁殖するため、一度生えると雑草化する。

利用

かつては種子の毛を綿の代用や朱肉に用いた[8][9]。種子は漢方で蘿摩子(らまし)と呼んで強壮薬に用いることもある。若芽などはゆでて食べられる(多量に食べると有害ともいう)。

生薬

種子と葉は生薬になり、初秋に実を採って天日乾燥して種子を取り出し、葉は夏に採取して陰干しして調製される[6]。乾燥させた種子は蘿摩子(らまし)と称されていて、強精、止血に、また葉は解毒腫れ物に薬効があるとして用いられる[6]民間療法では、強精目的に羅摩子の乾燥粉末1日量2 - 3グラムを1日2回服用する用法が知られる[6]。切り傷の止血には種子の白毛をつけるとよいとされ[6][7]、腫れ物には葉の粉末をクチナシの粉末(サンシシ末)と一緒にで練り合わせて、湿布する方法が知られている[6]

食用

若芽は食用になり、暖地では5 - 7月、寒冷地では6 - 7月ごろに採取する[3]。若芽を茹でて水にさらし、おひたし、ごま和え、クルミ和え、白和え、マヨネーズ和えなどの和え物酢の物煮物、汁の実などにする[3][4]。生の若芽を用いて天ぷらバター炒めにもできる[3][4]。初秋(9 - 10月)にオクラに似た若い果実を採取して、天ぷらや漬物にする[3][4]。ただし、根茎には毒成分が含まれているので、採取は禁物である[4]

諸言語における呼称

日本では以下のような方言名が見られる。

脚注

注釈

  1. ^ 最新の分類体系であるAPG体系ではキョウチクトウ科であるが、古いクロンキスト体系や新エングラー体系ではガガイモ科に含められた[1]
  2. ^ ちなみに Metaplexis 以外にイケマ属に統合された属は AdelostemmaGlossonemaGraphistemmaHolostemmaMetalepisOdontantheraPentarrhinumRaphistemmaSeshagiriaSichuania である。
  3. ^ a b 牧野 (1940) もガガイモの別名として挙げている。
  4. ^ 高橋 (2003) はガガイモの別名として「草綿」を掲載している。

出典

  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Metaplexis japonica (Thunb.) Makino ガガイモ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月5日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cynanchum rostellatum (Turcz.) Liede et Khanum ガガイモ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月5日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 高橋秀男監修 2003, p. 76.
  4. ^ a b c d e f g 高野昭人監修 世界文化社編 2006, p. 107.
  5. ^ Govaerts, Goyder & Leeuwenberg (2019).
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 馬場篤 1996, p. 33.
  7. ^ a b c d e f g 近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著 2010, p. 93.
  8. ^ 牧野 (1940).
  9. ^ 高橋 (2003).
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as 八坂書房 (2001).

参考文献

日本語:

英語:

関連文献

英語:

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