マツモとは? わかりやすく解説

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まつ‐も【松藻】

読み方:まつも

イソガワラ科褐藻潮間帯岩上群生する長さ20センチ多数の短い出て新芽のような形になる。北海道東北地方に、冬・春にみられ、食用。《 冬》

マツモ科多年生水草池沼水中生える。長さ2080センチ細長く細かく裂けているが節ごとに輪生。夏、のわきに淡紅色小花を1個ずつつける。よく金魚鉢などに入れる。金魚藻。《 夏》

松藻の画像
乾燥させたマツモ
松藻の画像

マツモ Analipus japonicus (Harvey) Wynne

イソガワラ目 イソガワラ科 (Ralfsiales Ralfsiaceae)
マツモ 生態写真
潮間帯中部岩上
分   布
北海道本州太平洋犬吠埼以北
北海道函館
マツモ 生標本写真
(生標本写真)
マツモ 生標本写真2
(生標本写真2)
マツモ 付着器周辺写真
付着周辺写真)
マツモ 生態写真2
生態写真2)

からだは匍匐部と,そこから立ち上がった直立からなる匍匐部は不規則に分岐した付着部が密に入り組み塊状になっている匍匐部は多年生で,越夏した匍匐部からは初冬直立部が芽生え,冬~春にかけて直立部が叢生する。直立部は円柱状の主軸と,主軸から密に輪生する短い側枝からなる側枝上部のものほど短くなり,側枝からの更なる分枝見られない直立部は柔らかい手触りであるが,匍匐部は硬い生体は緑褐色濃褐色押し葉標本台紙によくつくが,老成したものはあまりつかない

マツモはその形が松葉のように糸状であることから,かつては穂(まつぼ)と呼ばれていたという。マツモは大変美味な海藻であり,東北北海道では採集されそのまま「生まつも」として,また乾燥させて「干まつも」「焼まつも」などに加工され販売されている。三陸地方では養殖行われている。

高さ:8~25cm

マツモ 生態写真
生態写真3)
マツモ 匍匐部生態写真
匍匐生態写真)
マツモ 匍匐部生標本写真
匍匐部生標本写真)
マツモ 匍匐部拡大写真
匍匐部拡大写真)

松藻


松藻

読み方:マツモ(matsumo

金魚藻別称

季節

分類 植物


松藻

読み方:マツモ(matsumo

マツモ科属す褐藻類一種で、十二月から三月ごろまで採集する

季節

分類 植物


マツモ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/29 18:22 UTC 版)

マツモ
1. マツモ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
: マツモ目 Ceratophyllales
: マツモ科 Ceratophyllaceae
: マツモ属 Ceratophyllum
: マツモ C. demersum
学名
Ceratophyllum demersum L. (1753)[1]
シノニム
和名
マツモ(松藻)、
キンギョモ(金魚藻[2]
英名
rigid hornwort[3],
common hornwort[3],
coon's tail[3],
coontail[3]
下位分類

マツモ(松藻[4]学名: Ceratophyllum demersum)は、マツモ目マツモ科に属する水草の1種であり、マツモ属のタイプ種である。根を欠き、水中を浮遊または特殊化した枝で水底に固着している。1–2回二叉分岐した葉が輪生している(図1)。この葉が松葉に似ていることから「マツモ」の名がついた[5]金魚藻 (キンギョモ) と総称される植物の1種であり、しばしばアクアリウムで観賞用に栽培される。

食用とすることがある海藻のマツモ(Analipus japonicus)は褐藻綱に属する藻類であり、被子植物に属する上記のマツモとは全く異なる生物である。以下は被子植物に属するマツモについて概説する。

特徴

マツモは淡水の水中に生育する多年生水生植物である[6]を欠き、ふつう水中を浮遊しているが、ときに枝が変化した構造(仮根ともよばれる)によって水底に固着している[6][7][8]。茎は長さ20–300センチメートル (cm)、盛んに分枝する[6][9]。節に5–10枚の葉が輪生する[6](下図2a, b)。葉は長さ8–35ミリメートル (mm)、1–2回(まれに3回[10])二叉分岐して線状の裂片になり、縁にはトゲ状の鋸歯がある[6][7][9](下図2b)。同属の他種にくらべて葉が強壮であるが[10]、葉の大きさや硬さは環境条件による変異が大きい[6]。秋になると茎の先端に葉が密集して越冬芽(殖芽、長さ 2–6 cm)となり、これが離脱して水底に沈み、越冬する[6][7][8]。また植物体の分断化による栄養繁殖も活発に行う。

2a. 2. 雄花、3. 雄蕊、4. 雌花、5. 果実
2b. 輪生している10枚の葉. 各葉は2回二叉分岐している.
2c. 節についた雄花

日本での花期は5-8月だが、1年を通じて開花しない集団もある[6]は単性で雌雄同株雄花雌花が同一のの別の節につくが、雄花が先に形成される[6][7][8][11]。花は直径 1–3 mm、12枚ほどの苞葉花被片ともされる)で囲まれる[7][9][11]。雄花は10個ほどの雄しべをもつ[6](上図2a, c)。雌花には長い花柱をもつ1個の雌しべが存在する[6](上図2a)。花粉は水中を浮遊し、雌しべに達する(水中媒)[6][8]

果実は痩果、暗緑色から赤褐色、長楕円形で長さ 3–6 mm、ふつう先端に1本(宿存性の花柱)、基部両側に1本ずつ、計3本の長いトゲ状突起(長さ 0.1–14 mm)がある[6][7][9] (上図2a)。ニュージーランドなどでは種子形成が見つかっていない[12]染色体数は 2n = 24, 38, 40, 48, 72 が報告されている[7][9]

分布・生態

南北アメリカアフリカユーラシア東南アジアオーストラリア北東部など世界中の熱帯から温帯域に分布している[1][7]。またニュージーランドなどでは外来種として問題視されている[13]。日本では北海道から沖縄まで報告されている[6][7]

3a. マツモの群落(セルビア
3b. 水中のマツモ(ポーランド

湖沼、ため池水路などに生育し、ふつう水中を浮遊している[6](上図3)。

保全状況評価

マツモは日本全体としては絶滅危惧種に指定されていないが、下記のように地域によっては絶滅のおそれが高いとされる[14]。以下は2020年現在の各都道府県におけるレッドデータブックの統一カテゴリ名での危急度を示している[14](※埼玉県東京都神奈川県では、季節や地域によって指定カテゴリが異なるが、下表では埼玉県は全県のカテゴリ、東京都・神奈川県では最も危惧度の高いカテゴリを示している)。

またマツモと別種または同種とされるヨツバリキンギョモ (ヨツバリマツモ、ゴハリマツモ)[2]下記参照)も愛知県長崎県で絶滅危惧I類、佐賀県で準絶滅危惧、滋賀県熊本県沖縄県で情報不足に指定されている[15]

人間との関わり

アクアリウムの観賞用水草として使用されることが多く、栽培は容易[16]金魚藻(きんぎょも)と総称される水草の1種である。金魚藻とよばれる水草には他にハゴロモモ(フサジュンサイ、カボンバ; ハゴロモモ科)、オオカナダモトチカガミ科)、フサモアリノトウグサ科)などがあるが[17]、これらはいずれも互いに遠縁の植物である。

分類

マツモは、マツモ属タイプ種である。[18]。また植物の学名の出発点であるリンネの『植物の種』(1753年) において記載された植物の1つである[1]

種内分類群

マツモは形態変異が大きく、以下のような種内分類群が認識されている(下表1)。

表1. マツモの種内分類群[1]

Ceratophyllum platyacanthum

Ceratophyllum platyacanthum はマツモに類似しているが、果実の上部に花柱由来のトゲ (stylar spine) に加えてトゲ (facial spine) をもつ点で異なる。Ceratophyllum platyacanthum subsp. platyacanthum はトゲに翼状突起が発達しているが、Ceratophyllum platyacanthum subsp. oryzetorum(ヨツバリキンギョモ)は下方2本、上方2本のトゲが目立つ。後者は日本からも報告されている[6][7](下表2)。C. platyacanthum はマツモと同種[19]とされることも、別種[20]とされることある[10]。マツモと C. platyacanthum は同所的に出現することもある[10]

分子系統学的研究からは、Ceratophyllum platyacanthum は系統的にはマツモに含まれることが示されている[10]C. platyacanthum染色体数は72と報告されており、おそらく6倍体起源であると考えられている[10]。このことから、C. platyacanthum は倍数化によってマツモから生じたと考えられている[10]

表2. Ceratophyllum platyacanthumの分類

脚注

出典

  1. ^ a b c d Ceratophyllum demersum”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2021年7月13日閲覧。
  2. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠. “植物和名ー学名インデックスYList”. 2021年7月21日閲覧。
  3. ^ a b c d GBIF Secretariat (2021年). “Ceratophyllum demersum”. GBIF Backbone Taxonomy. 2021年6月18日閲覧。
  4. ^ マツモ(松藻)」『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』https://kotobank.jp/word/%E3%83%9E%E3%83%84%E3%83%A2%28%E6%9D%BE%E8%97%BB%29コトバンクより2023年2月10日閲覧 
  5. ^ マツモ」『世界大百科事典 第2版』https://kotobank.jp/word/%E3%83%9E%E3%83%84%E3%83%A2コトバンクより2023年2月10日閲覧 
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 角野康郎 (1994). “マツモ属”. 日本水草図鑑. 文一総合出版. p. 117. ISBN 978-4829930342 
  7. ^ a b c d e f g h i j k 伊藤元巳 (2016). “マツモ”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 2. 平凡社. p. 101. ISBN 978-4582535327 
  8. ^ a b c d 浜島繁隆・須賀瑛文 (2005). “マツモ”. ため池と水田の生き物図鑑 植物編. トンボ出版. p. 78. ISBN 978-4887161504 
  9. ^ a b c d e Flora of China Editorial Committee (2010年). “Ceratophyllum demersum”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2021年7月13日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g Szalontai, B., Stranczinger, S., Mesterhazy, A., Scribailo, R. W., Les, D. H., Efremov, A. N., ... & Csiky, J. (2018). “Molecular phylogenetic analysis of Ceratophyllum L. taxa: a new perspective”. Botanical Journal of the Linnean Society 188 (2): 161-172. doi:10.1093/botlinnean/boy057. 
  11. ^ a b 岩元明敏 (2017). “マツモ (Ceratophyllunm demersum) の花発生: 物理的圧力が花の数性に及ぼす影響”. PLANT MORPHOLOGY 29 (1): 75-80. doi:10.5685/plmorphol.29.75. 
  12. ^ Ceratophyllum demersum”. New Zealand Plant Conservation Network. 2021年7月23日閲覧。
  13. ^ Hornwort: a serious threat to South Island lakes”. NIWA. 2021年7月23日閲覧。
  14. ^ a b マツモ”. 日本のレッドデータ 検索システム. 2021年7月23日閲覧。
  15. ^ ヨツバリキンギョモ”. 日本のレッドデータ 検索システム. 2021年7月23日閲覧。
  16. ^ 吉野敏 (2005). “マツモ”. 世界の水草728種図鑑. エムピージェー. p. 138. ISBN 978-4895125345 
  17. ^ <キンギョモ(金魚藻)>”. 神戸の水生植物. 神戸教育情報ネットワーク. 2021年7月23日閲覧。
  18. ^ Wunderlin, R. P., Hansen, B. F., Franck, A. R. & Essig, F. B. (2021年). “Ceratophyllum”. Atlas of Florida Plants. Institute for Systematic Botany, University of South Florida, Tampa. 2021年7月22日閲覧。
  19. ^ Wilmot-Dear, M. (1985). “Ceratophyllum revised: a study in fruit and leaf variation”. Kew Bulletin 40 (2): 243-271. doi:10.2307/4108260. 
  20. ^ Les, D. H. (1989). “The evolution of achene morphology in Ceratophyllum (Ceratophyllaceae), IV. Summary of proposed relationships and evolutionary trends”. Systematic Botany 14 (2): 254-262. doi:10.2307/2418911. 
  21. ^ The Plant List (2013年). “Ceratophyllum platyacanthum Cham.”. The Plant List. 2021年7月22日閲覧。
  22. ^ The Plant List (2013年). “Ceratophyllum platyacanthum subsp. oryzetorum (Kom.) Les”. The Plant List. 2021年7月22日閲覧。

外部リンク


マツモ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 00:28 UTC 版)

金魚藻」の記事における「マツモ」の解説

詳細は「マツモ」を参照 世界中生息していて、日本にも生息している在来種。とても丈夫で、熱帯魚メダカ繁殖水槽にも、隠れ家産卵床として用いられることがある。浮漂性の水草で、水中漂って育つ。砂や土に植えても、根は出ない地域差無視した放流遺伝子汚染起こりえるので、日本にも自生するからといってむやみに屋外放すべきではない。

※この「マツモ」の解説は、「金魚藻」の解説の一部です。
「マツモ」を含む「金魚藻」の記事については、「金魚藻」の概要を参照ください。

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