コーポレートアイデンティティ 概要

コーポレートアイデンティティ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/24 14:16 UTC 版)

概要

コーポレート・アイデンティティ(以下CI)は、企業のあるべき姿を体系的に整理し、それに基づいて自社の文化や特性・独自性などをイメージ、デザイン、メッセージとして発信することで会社の存在価値を高めようとするビジネス手法である[1]

主に社会における企業イメージの構築を行うために計画・実行されるが、企業内部においても価値の共有による意識の向上、また品質や生産性、就職希望者の増加などの効果が期待できる。

1940年代まではコーポレート・イメージやブランド・アイデンティティという概念がなかったが、企業のロゴマークの商業的価値への関心がCIのイメージ形成の重要な要素になったといわれている[1]

CI 計画を実行するにあたりその企業を象徴するマークロゴを策定することが多いため「 CI とはマークを新しくすること 」と理解されることがあるが、その本質は企業文化を高め顧客をはじめとする関係者や企業、社会とよりよい関係を築くことが目的であり、定められた理念は明確で親しみやすい言葉にされマークやロゴとともに統一された使用法で様々なコミュニケーションに使われる。これらの言葉はその役割により「コーポレート・ステートメント」「コーポレート・スローガン」「コーポレート・メッセージ」等と呼ばれる。

また、マークやロゴは流行や時代の気分あるいはただ単に新しさを追求して作られるのではなく、あくまでも企業の掲げる理念や特性を視覚化したものであり、時の変化に左右されることのない普遍性、また競合企業と明確に差別化するための強い独自性を持っていることが重要である。新しいマークは企業を象徴するものとして広く社会に浸透するようあらゆる形でプレスリリースされ、その後も PR や様々なプロモーションの核として企業と社会をつなぐ重要な役割を果たす。またマークやロゴは知的財産として商標登録され企業の資産として厳しく管理される。

結果として、適切でヴィジョンを感じさせるCIとは、事業領域、固有能力、社会的責任の重なったところに収まっているかどうか、というチェックも可能である。ダイキン工業では「空気で答えを出す会社」というコーポレート・メッセージを企業広告等のメインコピーにしている(2019年)。これは、空調機器メーカー(世界一)であるという「事業領域」、加湿、除湿、アレルゲン等への対応(答えを出す専業メーカー)といった「固有能力」、省エネ性能といった「社会的責任」の3つを押さえていることが分かる。後はコピーの質の問題もあるが、少なくとも外的な適切性が高いCIだ、ということが可能である。


注釈

  1. ^ : mind identity
  2. ^ : behavior Identity
  3. ^ : visual identity

出典

  1. ^ a b c d e f 酒井光雄、武田雅之『全史×成功事例で読む「マーケティング」大全』かんき出版、2014年。 
  2. ^ 『 CI - マーク・ロゴの変遷 』
  3. ^ 2-3.1980年代 : コーポレート・アイデンティティ研究
  4. ^ 学会HP”. 日本商業学会. 2022年1月23日閲覧。 個人会員1,072名,賛助会員11社・団体,購読会員32件 (2019年7月現在)






コーポレートアイデンティティと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「コーポレートアイデンティティ」の関連用語

コーポレートアイデンティティのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



コーポレートアイデンティティのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのコーポレートアイデンティティ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS