空調機器とは? わかりやすく解説

空気調和設備

(空調機器 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/23 05:10 UTC 版)

空気調和設備(くうきちょうわせつび)は、空気調和温度湿度・空気清浄度などの室内環境の調整)をするための建築設備である。一般に、空調設備(くうちょうせつび)と呼ばれ、さらに人に対しての空気調和を保健空調(対人空調)、物品に対しては、産業(プロセス)空調と呼ばれる。

20世紀後半から、地球温暖化による建築物の外皮(ペリメーターゾーン)の熱負荷上昇、OA化による建築物の内皮(インテリアゾーン)の熱負荷上昇に伴い従前の空調方式では人間の居住環境の維持が難しくなってきている。さらに建築物の高層化、気密化が進み、種々の空気調和設備が設置されるようになってきた。

熱輸送方式による分類

熱輸送方式にはいくつかの種類があり、適合する用途が異なる。

全空気方式

全空気方式は、熱輸送に空気のみを用いるもので中央式の代表的なものである。劇場体育館などの大空間に適する。ダクトと呼ばれる金属の筒で空気を輸送するのが一般的。

特徴
  • 空調機を集中配置するため、保守が容易である。
  • 換気量を大きくすることができる。
  • 外気冷房・全熱交換器の設置など省エネルギー制御方式を行うことが容易である。
  • ダクトスペース・空調機械室が大きくなる。
主な方式
  • 単一ダクト方式:ダクトが1つであるため、冷房・暖房の混在する用途には不向きである。
    • 定風量方式:一定風量を空調機から供給する方式。温度調節は送風温度の変更で行う。
    • 変風量方式:温度調節を風量変更で行う方式。VAV方式 (variable air volume system) と呼ぶこともある。
  • 二重ダクト方式:2つのダクトでそれぞれ温風・冷風を供給し混合することで温度調節を行うもの。混合損失で省エネルギーの面で問題があり、イニシャルコストも高いため、クリーンルームや特殊環境試験装置など特殊用途に用いられている。

水・空気方式

水・空気方式は、熱輸送に水と空気とを併用するものである。

特徴
  • ダクトスペースが小さくできる。
  • エアフィルタなどを分散配置するため保守に手間がかかる。
主な方式
  • ファンコイルユニット・単一ダクト併用方式:熱交換器送風機エアフィルタが内蔵された室内ユニットに冷水または温水を供給し、温度調節を行うもの。換気はダクトで行う。
  • インダクションユニット方式:熱交換器エアフィルタが内蔵された室内ユニットに、ダクトから圧力を高めた一次空気を吹き込み室内の空気を吸引し、供給する冷温水の量で温度調節を行うもの。各ユニットにダクトの接続が必要である。

水方式

水方式は、熱輸送に水のみを使用するものである。

特徴
  • ダクトスペースが不要である。
  • エアフィルタなどを分散配置するため保守に手間がかかる。
  • 換気に換気扇・全熱交換器など別の機器が必要である。
主な方式
  • ファンコイルユニット方式:熱交換器・送風機・エアフィルタが内蔵された室内ユニットに冷水または温水を供給し温度調節を行うもの。
  • 水熱源ヒートポンプパッケージ方式:水熱源のヒートポンプエアコンを各空調箇所に分散配置するもの。

冷媒方式

熱輸送に冷媒配管を使用するエア・コンディショナーが代表的なものである。小型の建物では最も多く採用されている方式である。昨今は機器性能の向上、建築計画上の工夫により、大規模(延床面積7万m2)な事務所ビルでも採用事例がある。上記の他方式に比較し、成績係数(COP)が高く、最も省エネルギーを図れる。また、個別分散型になるため、温度制御対象が小区画になり、温度制御が容易で、快適性が増すものの、維持管理対象が小型で多数分散し、個々の耐久性も中央式と比較し短いため、長期的な修繕、更新コストは高くなる傾向にある。

構成要素

換気
湿度調整

加湿器

  • 電極式蒸気加湿器
  • 電熱式蒸気加湿器
  • 気化式加湿器/滴下式加湿器
  • 水スプレー加湿器
  • 超音波加湿器
  • 遠心噴霧加湿器
  • エアワッシャ―加湿
  • マイクロバブル加湿/ナノフォグ加湿

除湿機

  • 冷却式除湿機(過冷却による除湿方式)
  • 物理吸着式除湿機(全熱交換器ローターを用いた除湿方式/デシカント方式)
配管
  • 冷媒配管
  • 温水配管
  • 冷水配管
  • 冷却水配管
  • 蒸気配管

自動制御

  • 電気式
  • 空気式
  • 電子式
  • 電子・空気式
  • 自力式
  • 中央管制装置 - 中央監視装置

関連項目


空調機器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 22:45 UTC 版)

三菱電機」の記事における「空調機器」の解説

エア・コンディショナー - 静岡製作所にて製造、「霧ヶ峰」の愛称知られる毎年パナソニックダイキン工業とトップシェア争い展開している。萩本欽一小泉今日子西田ひかる藤原紀香などの有名なタレントCM出演していたことから知名度上がり、さらに「ムーブアイ」などが搭載されCMには宮里藍出演したことで一層知名度上がった霧ヶ峰長野県実在する地名であるが、知らない人も多く広告一役買ったということで、長野県諏訪市からは、同社感謝状送られた。三菱電機ルームエアコン第1号機は1954年発売開始したが、「霧ヶ峰」という愛称付いたのは1967年からで、当時壁掛けセパレート形エアコンのみを指す名称だった。床置形は「志賀」「上高地」、窓用が「軽井沢」という愛称付いていた。ラインフローファンや上吸い込み吹き出し方式など他社製品にも採用されている技術のうち、三菱電機初め採用したものも少なくない。なお、床置形に関しては後に「霧ヶ峰」のラインナップ移行して復活しており、住宅設備用Kシリーズと「ズバ霧ヶ峰HKシリーズ2種類がある。 1988年からの「霧ヶ峰」に代わるエアコン愛称として「エオリア」を検討していたが、既に松下電器産業(現:パナソニック)によって商標登録されていたため使用できなかった。他の愛称への変更検討されたが費用対効果問題があると判断しそのまま霧ヶ峰」を採用し続けている。 「霧ヶ峰」は一般用のほかに、住宅設備用ラインナップしているほか、寒冷地向けに暖房能力強化したズバ霧ヶ峰」もラインナップする(ズバ霧ヶ峰壁掛形・床置形住宅設備用1方向天井カセット形の3形状があり、全部で6シリーズがある)特に、ZシリーズLDKやワイドリビングなどの広い部屋高天井・西向き窓・ハイサッシ・最上階など実際の畳数以上の能力必要な部屋対応できるように大容量サイズ強化しており、2013年モデルでは他社先駆けて冷房能力8.0kWタイプ26畳用)を新設し2014年モデルでは家庭用ルームエアコンで初の冷房能力9.0kWタイプ29畳用、MSZ-ZW904S/ZXV904S)を新設した(なお、大容量化することで、室外機が1台で済みブレーカー容量抑えられるメリットもある)。 2015年度モデルでは、一般用Lシリーズ(Wシリーズ後継)と住宅設備用BXVシリーズにおいて、天井面とのスペースが狭い場合でも効率よく空気吸い込みカーテンレール奥行寸法考慮されフラップ位置によって風路設計最適化したことで、幅寸法799mm・高さ寸法250mmを実現し最上位シリーズZシリーズ同一デザインとしたコンパクトサイズの室内機開発した2016年度モデル新シリーズ立ち上げ2015年10月には「霧ヶ峰ADVANCEFZシリーズ2016年3月には「霧ヶ峰StyleFLシリーズ順次発売した。「霧ヶ峰ADVANCEFZシリーズファン半世紀ぶりに一新し高効率プロペラファン静翼部を組み合わせたファン左右2ヶ所に配置することで左右独立駆動可能にした、家庭用エアコン室内機では世界初の「パーソナルツインフロー」を搭載し熱交換器もW字型に配置することで搭載量アップしたLDK向け新世代モデル。「霧ヶ峰StyleFLシリーズ上下二分割された横長正面形状奥行対比強調し、透明パネルの裏面から塗装してヘアライン加工施した室外機採用しカラー白系パウダースノウ加えエアコンでは珍しい赤系のボルドーレッドの2色展開とし、リモコン室内機同色ヘアライン柄「スタイリッシュリモコン」を採用最上位モデルZシリーズ同様に「匠フラップ」や「ムーヴアイ(きわみ)」を搭載するが、「匠フラップ」は正面から吹出し口見えない格納式フラップ構造を、「ムーヴアイ」は運転停止時本体ボディ格納する構造採用。「はずせるボディ」も運転停止中にリモコン操作フラップ自動で開く「お掃除アシスト」を追加しデザインと機能性能両立したスタイリッシュモデルである。 ルームエアコン2015年度モデルから新ロゴマークとなっている。 換気扇 - 中津川製作所にて製造日本国内最大シェア小口パイプファンから大規模施設用までをラインアップしている。 衣類乾燥除湿機 - 三菱電機ホーム機器:「霧ヶ峰」のセンサー技術応用し洗濯物位置と量を見分ける独自の「部屋干し3Dムーブアイ」搭載モデル(MJ-100LX/120LX)と家庭用除湿機トップクラスの約18L/日(60Hz時)を実現したハイパワータイプ(MJ-180LX)の3機種ラインナップしている。衣類乾燥除湿機2014年モデルJX品番から新ロゴマーク変更全機国内生産である。

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「空調機器」を含む「三菱電機」の記事については、「三菱電機」の概要を参照ください。

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