カタルーニャ語 特徴

カタルーニャ語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/11 04:28 UTC 版)

特徴

言語学的には、ラテン語(より正確には俗ラテン語)から変化したロマンス語の一つで、歴史的関係により、南フランス(オクシタニア)の地方言語であるオクシタン語に近い。エスノローグの分類ではオクシタン語とともにオクシタニー・カタロニア語を構成するとしているが、言語学者にはこの説を支持していないものが多い。他のロマンス語と比較すると、カタルーニャ語には以下の特徴がある。

  • 母音の数が8つと、スペイン語(カスティーリャ語)よりも多い(ちなみに鼻母音は存在しない)。
  • 人名に前置する人称冠詞が存在する。
  • 他のイベロ・ロマンス語同様英語のbe動詞に相当する繋辞動詞として、ser(ésser)とestarを持つが、その使用はカスティーリャ語と若干異なる。
  • フランス語オイル語)の en やイタリア語中央イタリア方言)の ne、あるいはフランス語の y やイタリア語の ci に相当する副詞的代名詞enhiがある(現代スペイン語には存在しない)。
  • 多くのロマンス語で「行く」を意味する動詞と動詞の不定詞で、近接未来を表す動詞迂言形を構成する(仏語:aller + 動詞の不定詞、西語:ir a + 動詞の不定詞など)が、カタルーニャ語ではanar+動詞の不定詞で過去を表す。
  • 人称代名詞が me や te などではなく em や et(あるいは m'、t')といった、やや特徴的な形になる。

正書法と発音

母音
  • a /a/
  • e, è /ɛ/
  • e, é /e/
  • a, e が強勢のない位置に来ると /ə/ になる。
  • o, ò /ɔ/
  • o, ó /o/
  • o が強勢のない位置に来ると /u/ になる。
  • u /u/
  • i /i/
子音
  • p /p/
  • b, v /b/:カスティーリャ語とほぼ同じ。母音間で摩擦音化。語末では無声化する。
  • t /t/
  • tn, tm; tl, tll:t が鼻音、側面音に同化し、単一の長い子音になる
  • d:母音間で摩擦音化。語末では無声化する。また語末で、-ld, -nd, -rds のつづりでは d のみ発音されない。
  • c(a, o, u の前), qu(e, i の前)/k/
  • qu(a, o, u の前), qü(e, i の前)/kw/
  • c(e, i の前), ç(a, o, u の前、語末)/s/
  • g(a, o, u の前), gu(e, i の前)/g/:母音間で摩擦音化。語末では無声化する。語末で、さらに n の後にある場合は発音されない。
  • gu(a, o, u の前), gü(e, i の前)/gw/
  • g(e, i の前), j(a, o, u の前)/ʒ/
  • s /s/, 母音間で /z/
  • 母音後の ix /ʃ/
  • tx,(母音後)ig /tʃ/
  • tg(e, i の前), tj(a, o, u の前)/dʒ/
  • n /n/
  • m /m/
  • ny /ɲ/
  • l /l/
  • ŀl /ll/
  • ll /ʎ/
  • r /ɾ/:語末では発音されないことが多い。
  • rr /r/

文法


  1. ^ 欧州委員会 (2005年11月). Europeans and their Languages - Special Eurobarometer (PDF) (Report). ここに挙げた数字は欧州委員会によって2005年11月、12月に実施された言語調査に基づいている。同調査は15歳以上のものを対象としており、当時のスペインの該当人口は35,882,820人で(12頁)、カタルーニャ語(バレンシア語含む)母語話者率9%(2頁)より算出
  2. ^ a b カタルーニャ語エスノローグ
  3. ^ Estatuto de Autonomía de la Comunitat Valenciana” (スペイン語). Congreso de los Diputados. 2015年8月24日閲覧。
  4. ^ 「カタルーニャ語が第一言語」と「独立賛成派」どちらが多いか”. Newsweek日本版 (2017年12月1日). 2023年4月15日閲覧。
  5. ^ Dictamen de la Comisión de Educación, Cultura y Deporte sobre la Proposición de Ley de uso, protección y promoción de las lenguas propias de Aragón.” (スペイン語). Cortes de Aragón. 2015年8月24日閲覧。
  6. ^ Legge 15 Dicembre 1999, n. 482 " Norme in materia di tutela delle minoranze linguistiche storiche ".” (イタリアa語). Gazzetta Ufficiale n. 297 del 20 dicembre 1999. 2015年8月24日閲覧。






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