エナガ エナガの概要

エナガ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/22 09:36 UTC 版)

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エナガ
Aegithalos caudatus caudatus
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: スズメ目 Passeriformes
: エナガ科 Aegithalidae
: エナガ属[2] Aegithalos
: エナガ A. caudatus
学名
Aegithalos caudatus (Linnaeus, 1758)[1][3]
和名
エナガ[4]
英名
Long-tailed tit[1][3]
Long-tailed bushtit[1]

分布

ユーラシア大陸の中緯度地方[注 1]を中心にヨーロッパから中央アジア日本まで広く分布する[6]

日本では九州以北に留鳥または漂鳥として生息する[2][6]渡りはしない[9]

形態

全長は約14 cm[2][6]ないし13 cm[10]翼開長は約16 cm[11][12]。体重は5.5 - 9.5 g。左記体長には長い尾羽を含むので、尾羽を含めない身体はスズメ(体重約24 g[13])と比べるとずいぶん小さい[11]が、羽が柔らかく膨らみ、尾が長いため、実際よりやや大きく見える[14]。尾の長さは約75 mm[14]

黒いくちばしは小さく[15](約7 mm)[注 2][14]、嘴峰は湾曲している[8]。首は短く、丸い体に長い尾羽がついた小鳥である[17]。雌雄同形同色で、外観上の区別はできない[17]

成鳥は瞼が黄色く[2]、南方系の亜種(エナガなど)の場合は黒色の太い眉斑があるが、北方系の亜種(シマエナガなど)の場合は頭部全体が白い[18]。眉斑を有する南方系亜種の場合[18]、眉斑はそのまま背中まで太く黒い模様になっている[2]。肩のあたり(背の両側)と尾の下(下尾筒)は淡い葡萄色で[2]、額から頭上[9]、および顔と体下面は白い[2]。翼・尾は黒い[2]羽毛は薄褐色の初列風切が10枚で野外では黒く見え、次列風切りが6枚で重ねると黒く見え、3列風切が3枚で他の風切羽より褐色味が強く、尾羽は6枚で内側3枚は黒色、外側3枚は黒色に白色の模様が混じる[19]

幼鳥は成鳥で黒色になる部分が淡色で[6]、眉斑などは褐色味を帯びる[2]。また頬は淡黄色で[2]、瞼は赤く、背・下腹部の淡い葡萄色味はない[6]

名前の由来

属名 Aegithalosギリシャ語で「シジュウカラ類の一種」を、種小名 caudatus中世ラテン語で「(長い)尾の」をそれぞれ意味する単語で、学名は「長い尾のシジュウカラ類の一種」という意味である[20]

和名は極端に長い尾[注 3](全長14 cmに対して尾の長さが7 - 8 cm)を柄の長い柄杓に例えたことに由来し[11]江戸時代には「柄長柄杓(えながひしゃく)」、「柄柄杓(えびしゃく)」、「尾長柄杓(おながひしゃく)」、「柄長鳥(えながどり)」などとも呼ばれていた[13][21]


注釈

  1. ^ ただしヒマラヤ中央の高地を除く[8]
  2. ^ 山形則男 (2001) は「鳥の中で最も短い嘴をもつ」と述べている[16]
  3. ^ 尾の先は太めである[15]
  4. ^ シマエナガを基亜種 A. c. caudatus のシノニムとする学説[22]が提唱される以前には、基亜種をコウライシマエナガと呼称する場合もあった[23]
  5. ^ シマエナガの「シマ」は「縞」ではなく「島」(=限られた特定の地域、すなわち北海道)の意味[24]。また北海道産であることから「えぞえなが」、頭部が白いことから「わたぼうし」とも呼ばれる[25]
  6. ^ 「本州中部以北で記録されたこともある」とする文献もある[2]
  7. ^ 『日本鳥類目録』改訂第7版によれば、シマエナガは千葉県でも記録されているが「偶然飛来したもの」とされているため、日本野鳥の会千葉県支部はこのような個体はシマエナガとは別物という見解を示している[29]
  8. ^ 特に落葉広葉樹林や、針葉樹との混合林を好む[18]。特に林縁部や、クリナラマツの混交した二次林でよく見かける[18]
  9. ^ 数羽 - 約30羽前後の小群を作り、一定の区域内で行動する[6]
  10. ^ 夏の終わりごろには小型ツグミ類ムシクイ類サンコウチョウなどと混じって行動することもある[7]。ただし、長時間にわたり混群していることはない[6]
  11. ^ カイガラムシ[30]昆虫の卵[16]などやその幼虫も食べる[33]
  12. ^ クヌギなどの樹液を飲む[34]ほか、冬季はホバリングしながら、樹液が凍ってできた氷柱から樹液を舐めることもある[16]
  13. ^ クモの糸だけでなく、など虫の糸を用いる場合もある[18]
  14. ^ 巣について「低山の林内で地上から約2 - 5 mの高さの枝の上に巣を作る」[33]、「枝または幹に、蘚苔類をクモの糸で楕円形にまとめ、ウメノキゴケをはりつけた巣をとりつける」とする文献もある[9]。また、早春の寒い時期から繁殖を開始するため、保温性を高くする目的で[35]、巣の内部(産座)には各種の鳥の羽毛を多量に詰めており[33]、その枚数は1,000枚以上におよぶこともある[35]
  15. ^ 内径(産座)は約4×6nbsp;cm、深さは約3 cm[33]
  16. ^ 卵は長径約15 mm、短径約11 mmで、汚白色の地に淡紫色と淡赤褐色の微小斑がある[33]
  17. ^ 日中は雌のみが抱卵するが、夜は雄も抱卵を行う[11]。また、抱卵している個体は尾羽に曲がり癖がつく[36]

出典

  1. ^ a b c d BirdLife International. 2016. Aegithalos caudatus. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T103871923A87471081. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T103871923A87471081.en. Downloaded on 14 June 2020.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 大西敏一 & 五百澤日丸 2014, p. 540.
  3. ^ a b c Bushtits, leaf warblers, reed warblers, Gill F, D Donsker & P Rasmussen (Eds). 2020. IOC World Bird List (v10.1). https://doi.org/10.14344/IOC.ML.10.1. (Downloaded 14 June 2020)
  4. ^ a b c d e 日本鳥学会 「エナガ」『日本鳥類目録 改訂第7版』日本鳥学会(目録編集委員会)編、日本鳥学会、2012年、282-283頁。
  5. ^ 柄長” (日本語). コトバンク. 2020年11月23日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m 叶内拓哉 & 安部直哉 2015, p. 498.
  7. ^ a b c 叶内拓哉 2017, p. 306.
  8. ^ a b 五百澤日丸・山形則男(解説)『新訂 日本の鳥550 山野の鳥』文一総合出版〈ネイチャーガイドシリーズ〉、2014年3月10日、初版第1刷発行、190頁。ISBN 978-4829984000
  9. ^ a b c d e f 『鳥類』世界文化社〈改訂新版 世界文化生物大図鑑〉、2004年6月15日、初版第1刷発行、242頁。ISBN 978-4418049028
  10. ^ a b 叶内拓哉 2017, p. 307.
  11. ^ a b c d e f g h i j k l m 中川 (2010)、204頁
  12. ^ a b 叶内 (2006/3)、158頁
  13. ^ a b c 大橋 (2007)、34-35頁
  14. ^ a b c d e 岡田要内田清之助内田亨(著者代表。エナガの種解説は内田清之助)『新日本動物圖鑑』下、北隆館、1988年5月10日(原著1965年1月25日(初版印刷))、9版発行、644頁。
  15. ^ a b c d e 高木清和 2000, p. 110.
  16. ^ a b c 山形則男(写真)『カラーポシェット 野鳥図鑑』日本文芸社、2001年3月25日、第1刷発行。ISBN 978-4537200423
  17. ^ a b c 真木 (2012)、213頁
  18. ^ a b c d e f g h i エナガ” (日本語). コトバンク. 2020年11月23日閲覧。
  19. ^ 高田 (2008)、73頁
  20. ^ a b 安部直哉(解説)、叶内拓哉(写真)『野鳥の名前 名前の由来と語源』山と渓谷社〈山渓名前図鑑〉、2008年10月25日、69頁。ISBN 978-4635070171
  21. ^ a b 国松 (1995)、142頁
  22. ^ a b c 浅井芝樹ほか 2016, p. 115,128.
  23. ^ edited by a special committee of the Ornithological Society of Japan (1958) (英語). A Hand-List of the Japanese Birds. Tokyo: Ornithological Society of Japan. p. 50. OCLC 1434704 
  24. ^ a b 叶内拓哉 & 安部直哉 2015, p. 499.
  25. ^ 菅原浩 & 柿澤亮三 1993, p. 216.
  26. ^ 菅原浩 & 柿澤亮三 1993, p. 559.
  27. ^ デジタル大辞泉. “島柄長” (日本語). コトバンク. 2020年11月23日閲覧。
  28. ^ a b 大西敏一 & 五百澤日丸 2014, pp. 540–541.
  29. ^ Wanted! 顔の白いエナガを見ましたか? 皆さんの観察記録をお寄せください ~~~『ほおじろ』2016.4.巻頭言から~~~” (日本語). 日本野鳥の会 千葉県支部. 日本野鳥の会 (2016年4月). 2020年12月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月4日閲覧。
  30. ^ a b c 柴田佳秀、戸塚学(写真)『街・野山・水辺で見かける野鳥図鑑』樋口広芳(監修)、日本文芸社、2019年6月1日、第1刷発行、179頁。ISBN 978-4537216851
  31. ^ 菅原浩 & 柿澤亮三 1993, p. 321.
  32. ^ 中村 (1972)、464頁
  33. ^ a b c d e f g h 小海途銀次郎 2011, p. 172.
  34. ^ a b c 植田睦之(監修); 平野敏明(協力) (2014-07-25). 日本の野鳥 さえずり・地鳴き図鑑 (第1版・第1刷発行 ed.). メイツ出版. p. 19. ISBN 978-4780414622 
  35. ^ a b 石田光史 2015, p. 283.
  36. ^ 石田光史 2015, p. 282.
  37. ^ 上野 (2001)、83頁
  38. ^ 生田 (1989)、282-283頁
  39. ^ 赤塚隆幸 (2005). “エナガの卵や巣内ビナの捕食者”. Strix (日本野鳥の会) 23: 51-58. NAID 40006706765. 
  40. ^ 赤塚 (2005)、63頁
  41. ^ エナガ” (日本語). 日本のレッドデータ検索システム. EnVision環境保全事務所. 2020年11月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月30日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典元の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
  42. ^ エナガ” (日本語). 東京都レッドデータブック. 東京都 (2013年). 2020年11月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月30日閲覧。


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