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しゃかい‐しんりがく〔シヤクワイ‐〕【社会心理学】

読み方:しゃかいしんりがく

人間社会的意識や行動を、社会的環境条件との関連分析し理論化ようとする社会科学一分野。


社会心理学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/23 14:36 UTC 版)

社会心理学(しゃかいしんりがく、: social psychology)は、個人に対する社会活動や相互的影響関係を科学的に研究する心理学の領域の一つ。現在において社会心理学とは「社会における個人の心理学」と見なされている。

ゴードン・オールポートは、社会心理学を「他者が実際に存在したり、想像の中で存在したり、或いは存在することが仄めかされていることによって、個人の思考、感情および行動が、どのような影響をうけるのかを理解し、説明する試みである。」と定義した。

概要

社会心理学は心理学と社会学から誕生したものと考えられている。そのルーツは1908年に出版された二つの書籍である。1960年代までは社会学の流れをくむ社会学的社会心理学と心理学の流れをくむ心理学的社会心理学が並立していた。しかし1970年代以降、社会心理学の実験化が進んだことから個人の心理に注目する心理学的社会心理学が優勢となった。そのため現代では社会心理学=心理学的社会心理学である。社会学的社会心理学は現在社会心理学のサブカテゴリの一つである集団心理である。

心理学は、その対象から大まかに社会行動とは関係ない生理的な過程における心理の研究を行う生理心理学と、社会行動や社会生活によって影響される社会的な過程における心理の研究を行う社会心理学がある。人間は単体である場合と集団である場合には明らかに異なった心理過程を抱く。社会心理学はこのような社会的な人間の行動を集団内行動と集団行動とに分類し、加えて集団を形成する個人のパーソナリティーや対人行動の観点からも取り組み、それらに関する実証的な心理学的法則を解明する事を目的とする。研究手法の違いにより、大きく分けて心理学的社会心理学と社会学的社会心理学とに分類されているが、両者とも接近した研究テーマを扱っている。

研究は、個人が複数集合し、社会を形成した際に起こる様々な出来事を包括的に取り扱っており、社会的な状況の中での個人の行動、相互作用過程、集団内行動、集団間行動、環境心理学、異文化、国際間での人間行動の比較研究など多岐に分類される。

社会心理学の場合は、特にバイアスを排除するために実験の初期段階で偽の実験目的を提示した上で実験後に真の目的を開示したり、サクラを他の実験参加者と偽るなど、ともすれば被験者が不快になるような実験を行う機会が多いが、現在は他の心理学の分野と同様、研究者は実験倫理規定を策定し、極端なものは自制するようになっている。

歴史

古くはアリストレスが「人間は社会的動物である」と述べた。トマス・ホッブズは「責任は社会にあり個人にない」という社会的責任を論じている。

1898年にアメリカのノーマン・トリプレットが、ある競技を単独で行う場合よりも、競争相手がいる場合の方が個人の成績が向上することを実証した[1]。この社会的促進の発見が、社会心理学における最初の実証実験とされる。

一方、1913年にフランスのマクシミリアン・リンゲルマンは、ある作業を一人で行う場合よりも、集団で行う場合の方が個人の作業量は低下することを発見した(リンゲルマン効果)。

1955年、ソロモン・アッシュにより多数派による同調効果が実証された[2]

1974年には、スタンレー・ミルグラムによる「権威への服従」実験で、少数の権威への同調効果が実証された[3]

社会心理学の分野

テーマは多岐にわたるが、大きく分けて4つのカテゴリがある。

  • 社会の中における個人の心理
  • 個人と個人の対人認知
  • 集団の中の人間
  • 社会現象社会問題

著名な実験

主な用語

関連文献

脚注

  1. ^ Triplett, Norman (1898-07). “The Dynamogenic Factors in Pacemaking and Competition”. The American Journal of Psychology 9 (4): 507. doi:10.2307/1412188. https://www.jstor.org/stable/1412188?origin=crossref. 
  2. ^ Asch S. E. (1955). Opinions and social pressure. Scientific American, 193, 35
  3. ^ Milgram, S. (1974): Obedience to Authority; An Experimental View ISBN 006131983X(『服従の心理―アイヒマン実験』河出書房新社 1995年、『服従の心理』 (新訳) 河出書房新社 2008年)

関連項目

外部リンク


社会心理学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 05:40 UTC 版)

攻撃行動」の記事における「社会心理学」の解説

社会心理学において攻撃行動は、厳密に攻撃加える側の攻撃行動意図が明確であり、それでいて攻撃を受ける側がその攻撃行動了承してない場合成立する行動である。その結果によって攻撃行動かどうか判断されるではなく未遂であってもその意図が明らかである場合攻撃行動である。その攻撃の内容についても、身体的なものだけに限られたものではなく精神的な攻撃行動嫌がらせ悪口によって成立しうる。 しかし、攻撃行動は「悪い」行動として道徳背反行為とされるが、実際には常に「悪い」とは判断されない。社会心理学の研究では、被害回避目的とした正当防衛などの攻撃行動や、加害者への報復行為については必ずしも悪いとは判断されずに、文脈考慮して判断され攻撃行動許容されることもある。 集団から逸脱する者を対象とした道徳的攻撃行動は脳生理的に大きな快感生じさせるこのような権威主義的な制裁を好む傾向にある人は他者逸脱敏感であり、逸脱兆候過剰に反応し集団利得とは関係なく容易に制裁システム発動させてしまう場合がある。こうした社会正義名目とした自分勝手な制裁をオーバーサンクションといい、結果的に集団利得下げ結果繋がりやすい。

※この「社会心理学」の解説は、「攻撃行動」の解説の一部です。
「社会心理学」を含む「攻撃行動」の記事については、「攻撃行動」の概要を参照ください。

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