受信者操作特性
(ROC曲線 から転送)
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受信者操作特性(じゅしんしゃそうさとくせい、英 Receiver Operating Characteristic, ROC)は、信号処理の概念で、観測された信号からあるものの存在を判定する際の基準となる特性である。臨床検査などでも用いられEBMの基礎をなすものの一つとなっている。受信者動作特性(じゅしんしゃどうさとくせい)、受信者応答特性(じゅしんしゃおうとうとくせい)とも訳される。
概要
元はレーダー技術であって、雑音の中から敵機を検出する受信者の特性を測るための方法として開発された。ここでは臨床検査の用語で説明する[1]。
右図上はある疾患について、特定の検査の検査結果の分布を、陰性者(青)、陽性者(赤)別に表示している。この例では陰性者のほうが全体的に検査結果が小さい値を示している。閾値(しきい値、カットオフポイント)を定め、その値以上の場合陽性、そうでなければ陰性だとする。閾値として B を採用すると、図のとおり4種類の判定結果に分かれる。
- 真陰性 True Negative : 陰性者を陰性と判定
- 偽陽性 False Positive : 陰性者を陽性と判定
- 偽陰性 False Negative : 陽性者を陰性と判定
- 真陽性 True Positive : 陽性者を陽性と判定
陽性者を正しく陽性として捕捉する率を敏感度 (sensitivity) または単に感度、陰性者を正しく陰性と判断する率を特異度 (specificity) と呼ぶ。また 1−特異度(=陰性者のうち偽陽性になる率)を偽陽性率と呼ぶ。
横軸に偽陽性率、縦軸に敏感度をプロットし、しきい値を媒介変数として大から小へと変化させると、右図下のような曲線が描かれる。これをROC曲線と呼ぶ。はじめは敏感度が上がり、遅れて偽陽性度が上がる。最終的には敏感度も偽陽性度も100%になる。
検査が有効ならば、この曲線は45度の線から左上に離れる。離れれば離れるほど、検査として有効である。
ROC曲線の下の面積を AUC (Area Under the Curve) と呼び、分類モデルの評価指標として用いられる。AUC が 1 のときが最良であり、ランダムで全く無効なモデルでは 0.5 となる。AUC は C統計量 (c-statistic) と等しい[2]。
なお情報通信工学や認知科学など医学以外の分野では、上記の真陰性~真陽性の用語にかえて、信号検出理論(Detection theory)[3]の英語での説明に示されている次の用語が使われることも多い[4][5]。
- 真陰性→Correct rejection (正棄却:しかるべき信号が無いときに、無いとの判断)
- 偽陽性 →False alarm (誤警報:しかるべき信号が無いときに、有るとの判断)
- 偽陰性 →Miss (ミス:しかるべき信号が有るときに、無いとの判断)
- 真陽性 →Hit (ヒット:しかるべき信号が有るときに、有るとの判断)
また、これらの用語を使う場合、ROCの国語表現としては受信者動作特性あるいは受信者動作特性曲線を用いるのが通例である。
脚注
- ^ https://www.jslm.org/books/guideline/2021/GL2021_05.pdf
- ^ C-Statistic: Definition, Examples, Weighting and Significance
- ^ 『信号検出理論の基礎 (岡本安晴訳, Wickens, 2002, “Elementary Signal Detection Theory”)』共同出版、2005年。
- ^ https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbhmk/49/1/49_63/_pdf/-char/ja
- ^ https://cogpsy.jp/wp/wp-content/uploads/COGPSY-TR-003.pdf
関連項目
- 二項分類
- 仮説検定
- Area under the curve (Receiver operating characteristic)
- Detection theory (英語版)
- 受信者操作特性のページへのリンク