N360/ NⅢ360
まだS800を生産していた時代の1967年3月、360ccエンジンの軽乗用車N360を発売した。エンジンは4ストローク空冷2気筒・SOHCで、最高出力31ps/8500rpm、最大トルク3.0kg-m/5500rpmを発生。この性能は当時としては驚異的で、他社のエンジンは最高で25ps、普通は20psくらいだった。ホンダ車としては初のFF車だったが、これも当時の軽乗用車としては先進的だった。4速MTで115km/hの最高速を公称。単一グレードだった。
N360というネーミングは、例えばイタリアの小排気量バイクの場合、50年代ではN(ノルマーレ＝ノーマル)、T(ツーリズモ＝ツーリング)、S(スポルト)、GT(グラン・ツーリズモ)、GS(グラン・スポルト)という分類が同じ排気量のモデルに対して行われたことがある。ホンダはバイクメーカーらしく、それにならったとみられる。乗物のNとする説もあるが、ホンダの製品分類記号でセダンを表すというのが通説。東京店頭渡し価格は31万5000円だった。
67年12月、デラックス型のMを追加、68年2月にはタコメーター、ナルディタイプのステアリングホイールなどを装備したSを設定した。エンジン性能。動力性能はベーシック型と等しい。36万円だった。4月、3速ATが付いた。6月には、スポーティで豪華なタイプ、Gという、SとMの両方の特性をもつクルマとサンルーフ車をリリースした。Gは39万円でシリーズ中、もっとも高価だった。9月、ツインキャブレーターのTを発売。36ps/9000rpmで、最高速120km/h、0→400m加速タイムは21.05秒といわれた。デラックスで36万円だった。ほかにスポーティ装備のTS、豪華装備のTM/TGもラインアップ、69年1月、マイナーチェンジでNⅡになった。4月からの保安基準強化に先駆ける改良を実施した。Tはツーリングに名称を変え、黒いマスクで飾った。
70年1月、モデル名がNⅢに変わった。フロント部のデザインを新しくし、ミッションを4速フルシンクロに改良。3月、ATを追加。36psタイプもあったが、一方で27psのおとなしいタウンの追加設定もあった。
ホンダ・N360
(N360 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2024/05/13 14:40 UTC 版)
N360（エヌさんびゃくろくじゅう）は、本田技研工業がかつて製造､販売していた軽自動車である。本項では日本国外向けのN400・N600および日本向けに販売された小型（普通）自動車N600Eについても解説を行う。
- ^ a b デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第14号3ページより。
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第14号3ページより。
- ^ a b c デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第14号4ページより。
- ^ a b c d e f g h i j 『絶版車カタログ 国産車編 Part1 1950-1969』 77ページ
- ^ ホンダ｢N-ONE｣試乗＝プレミアムな軽自動車､ルーツはN360 - 時事通信、2012年11月14日
- ^ 2015年11月より、Nシリーズのキャラクター「Nコロくん」にも用いられている。Nコロくんの部屋
- ^ 『360cc軽自動車のすべて』三栄書房 p65
- ^ 二輪車では横置きの直列エンジンを並列と呼ぶ。
- ^ 『絶版日本車カタログ』三推社・講談社 p45
- ^ 国内二輪車の製造と販売で同社に次ぐヤマハとスズキはこの時期の製造は競技車・市販車を問わず2ストロークエンジンのみで、4ストロークエンジンを得意とする同社は大排気量化もしくは超高回転化の選択肢を取らざるを得ない状況であった。
- ^ 直列2気筒の4ストロークエンジンで等間隔爆発を実現するには、クランクシャフトの位相が2気筒で全く同じとなる360度クランクとせざるを得ない。この構造で高回転型エンジンとした場合、極大のフライホイールか別途振動を抑制するバランスシャフトを与えない限り、振動が激しくなることは避けられない。N360のエンジンにはそれらの装備は与えられなかった。
- ^ 暖房性能の難は、同時代に空冷エンジンを用いていた多くの軽自動車にも共通する欠点である。
- ^ 大島卓・山岡茂樹『自動車』（日本経済評論社 1987年）p199-200
- ^ 「N500」も計画されたが、排気量の拡大は400ccにとどめられた。その後 「N600」ではクランクケース、トランスミッションなどが専用に開発された。
- ^ 他社の車も乗せて ホンダN360欠陥テスト場へ『朝日新聞』1970年（昭和45年）12月10日朝刊 12版 22面
- ^ 七件に欠陥容疑 警察庁、運輸省の判断求める『朝日新聞』1970年（昭和45年）11月21日朝刊 12版 23面
- ^ 参考 第71回国会 内閣委員会 第37号 1973年(昭和48年)7月4日
- ^ 最高時速80キロに 欠陥者、国会で取り上げる『朝日新聞』1970年（昭和45年）9月10日夕刊 3版 10面
- ^ 軽自動車にも車検 「なるべく早く実施」最高時速80キロに 欠陥者、国会で取り上げる『朝日新聞』1970年（昭和45年）9月11日朝刊 12版 1面
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第12号16ページより。
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