ドライブトレイン
英語:drive train
エンジンで生み出した動力をタイヤに伝達する一連の機構のこと。主にギアやドライブシャフトで構成される。トランスミッションも含まれる。
ドライブトレインはエンジンで生み出した回転力を、回転方向を変えながら車輪まで伝える役割を持つ。自動車の推進力を担う部品であるドライブトレインの精密さや品質によって動力の伝達効率や静音性が少なからず左右される。走行においては最も重要な部分のひとつである。
ドライブトレインは、四輪車だけでなく二輪車でも採用される。また風車の動力系について用いられている場合もある。二輪車については、駆動装置全体を総称している場合のほかに、チェーンやベルトドライブに対するシャフトドライブ方式を指す語として用いられている場合もある。
ドライブ‐トレーン【drive train】
読み方:どらいぶとれーん
駆動列
駆動列(くどうれつ)またはドライブトレイン[1][2](英語: drivetrain, drive train, drive-train)は、動力を駆動輪へと伝達する動力車の構成要素の一群である[3]。動力を生成する機関(エンジン)または電動機(モーター)は含まれない。対照的に、「動力列」(パワートレイン、powertrain)は、駆動列に加えて、エンジンとモーターの両方またはいずれか一方を含むと見做されている。また、「駆動系」(ドライブライン、drive-line、駆動伝達系、動力伝達系とも)は、動力列からエンジンまたはモーターと変速機(トランスミッション)を除いた部分である[4][5]。
機能
駆動列の機能は、動力を発生させるエンジンと、この機械的な力を使って車軸を回転させる駆動輪を連結することである。この連結には、これら2つの構成要素(車両の反対側にある場合もある)を物理的に結びつける必要があり、長いプロペラシャフトやドライブシャフトが必要になる。また、エンジンと車輪の動作速度は異なるため、適切なギア比で一致させる必要がある。車速が変化しても、効率的な運転のためには理想的なエンジン速度はほぼ一定でなければならないため、このギアボックス比も手動、自動、または自動連続可変のいずれかで変更する必要がある。
構成要素
駆動列の具体的な構成要素は、車両の種類によって違いがある。
マニュアルトランスミッション車
オートマチックトランスミッション車
前輪駆動車
後輪駆動オフロード車
ローラーチェーンで駆動される自転車やオートバイなど
- ドライブスプロケット - 自転車ではチェーンリングと呼ばれる。
- ローラーチェーン - 自転車やオートバイの文脈では単にチェーンと呼ばれる。
- ドリブンスプロケット - 自転車ではカセットやボスフリー、コグ、フリーギアなどと呼ばれる。
最終駆動装置(ファイナルドライブ)
最終駆動装置は、駆動輪にトルクを供給する一連の構成要素のうち、最後の要素である。道路車両では、変速機からの動力を減速させて伝達するファイナルギア(最終減速歯車)と、左右に動力を分配するデファレンシャルギア(差動歯車)という2つの部品で構成されている[6]。
鉄道車両では、逆転装置が組み込まれていることもある。例えば、イギリス国鉄の第1世代ディーゼル多目的ユニットの多くに採用されているセルフ・チェンジング・ギアズ製RF28[7]や、クラス03およびクラス04のディーゼル・シャント機関車に採用されているRF11などが挙げられる。
自動車の動力列は、エンジンや電気モーターなどの推進源と、そのエネルギーを車両の前進に変換する駆動系で構成されている。
モータービークルは、動力列は、エンジンや電気モーターなどの推進源と、そのエネルギーを車両の前進に変換する駆動列系とで構成される。
動力列(パワートレイン)
定義
動力列は、原動機(内燃機関と1つ以上の駆動用電気モーターの両方またはいずれか一方)と、原動機の動力を車両の動きに変換するすべての構成要素(トランスミッション、ドライブシャフト、差動装置、車軸など)で構成されている[8][9]。しかし、駆動列は動力源を含まず、トランスミッション、ドライブシャフト、差動装置、車軸で構成されている[10][11]。
推進装置とも呼ばれる[12]。
動力源
ほとんどの乗用車と商用車は内燃機関、電気モーター、あるいはそれら2つの組み合わせのいずれかによって動力を得る。
最も一般的な内燃機関の種類には以下のものがある。
純粋な電気自動車の多くは、エネルギー貯蔵に蓄電池(バッテリー)を使用しており(ただし、いくつかのプロトタイプでは、代わりに燃料電池を使用している)、二次電池式電気自動車(BEV)と呼ばれている。
内燃機関と電気モーターの両方を搭載した車両を「ハイブリッド車」と呼ぶ。ハイブリッド車に充電ソケットが付いている場合は「プラグインハイブリッド」、充電ソケットが付いておらず(エンジンや回生ブレーキで充電する)電気モーターを主動力源にできる場合は「ストロングハイブリッド」、電気モーターがエンジンを補助する機能を果たす場合は「マイルドハイブリッド」と呼ばれている。
出典
- ^ “自動車技術会基準キーワード”. 自動車技術会 (2010年5月). 2021年9月18日閲覧。
- ^ “用語辞典 > ドライブ・トレイン”. オートモーティブ・ジョブズ. 2021年9月18日閲覧。
- ^ “Drivetrain”. Automotive Handbook (3rd ed.). Bosch. (1993). p. 536. ISBN 0-8376-0330-7
- ^ “Transmission and Drivetrain”. MathWorks. 2021年9月18日閲覧。
- ^ “駆動系”. 大車林. Motor-Fan. 2021年9月18日閲覧。
- ^ “ファイナルドライブ”. グーネット自動車用語集. 2021年9月19日閲覧。
- ^ Mann, R. H., Diesel Rail-Cars, Draughtsmens and Allied Technicians Association, 1964, pp 45–50
- ^ “What Does a Powertrain Warranty Cover?”. www.carchex.com. 2020年11月30日閲覧。
- ^ “What is a Powertrain or Drivetrain?” (英語). www.whichcar.com.au. 2020年11月30日閲覧。
- ^ “What is a Car Powertrain?” (英語). www.itstillruns.com. 2020年11月30日閲覧。
- ^ “What Does a Powertrain Warranty Cover? What is a Powertrain?” (英語). www.autosimple.com. 2020年11月30日閲覧。
- ^ 長沼要 (202-07-17). “動力源とパワートレイン:トランスミッションの基礎知識2”. iPROS. 2021年9月18日閲覧。
ドライブトレイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 13:32 UTC 版)
「BALLYHOO MANTA-RAY」の記事における「ドライブトレイン」の解説
エンジンはスパイダーの純正品で、ミッドシップ水平直列4気筒エンジン(1988CC)で、最大出力150PS/6,000rpmを発揮する。エキゾーストマニホールドはEXARTの4in1で、ワンオフ。マフラーは可変式中央3本出しで、アクスアート製のワンオフ。3本のうち両側がサイレンサーを通したマフラー、中央1本がサイレンサーを通していない直管マフラーになっている。 燃料はハイオクで、45L入れることができる。燃費は約15kmL。2018年に浅間ヒルクライムに出場し、総合優勝を果たしている。
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ドライブトレイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 02:16 UTC 版)
「日産 GF-ER34」の記事における「ドライブトレイン」の解説
・LSDが前期型ではビスカスであったが後期型ではヘリカルに変更されている。
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ドライブトレイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 04:29 UTC 版)
「スバル・STI E-RA」の記事における「ドライブトレイン」の解説
STI E-RAコンセプトは全輪駆動(AWD)モデルとなっている。個々のホイールに1つずつモーターが搭載され、これによって個々のホイールへの出力を個別に変動させることでトルクベクタリングが可能になっている。最高出力は800 kW (1,073 hp)、最大トルクは1,100 N⋅m (810 lbf⋅ft)と発表された。個々のモーターの出力は200 kW (268 hp)である。 駆動用モーターはヤマハ発動機によって開発、供給された。 STI E-RAコンセプトは60 kWhのリチウムイオン二次電池を搭載している。FIAエレクトリックGT選手権では、45分間のレースで少くとも1度、充電のためにピットストップを行う必要がある。モーター・トレンド(英語版)誌は、コンセプトカーの比較的小さな電池容量はこの規則を念頭に置いたものだろうと推測した。加えて、FIAの規則はおそらく総出力を430 kW (577 hp)に制限し、エレクトリックFTに適用されるであろうグループGT3の規則に従って、公道仕様のホモロゲーション型が生産される必要があるだろう。
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ドライブトレイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 10:51 UTC 版)
「ポルシェ・マカン」の記事における「ドライブトレイン」の解説
7速PDKデュアルクラッチトランスミッション、AWDのみの設定となる。VW系MLBプラットフォームを使用しているため構造的にはFFベースの4駆であるが、通常走行時は前後比2:8と後輪にトルクを配分し、実際にはポルシェ独自の設定でFRが基本の設計に変更されている。また、ポルシェで初めてすべてのモデルでマニュアルトランスミッションが設定されないモデルとなる。 モデル排気量・エンジン最高出力最大トルク最高速度CO2排出量マカン 2.0L (1,984cc) 直4 ターボ 180kW (245ps) @ 5,000–6,750rpm 370N·m @ 1,600–4,500rpm 225km/h 185g/km マカンS 3.0L (2,995cc) V6 ターボ 260kW (354ps) @ 5,400-6,400rpm 480N·m @ 1,360-4,800rpm 254km/h 204g/km マカンGTS 2.9L (2,894cc) V6 ツインターボ 280kW (380ps) @ 5,200-6,700rpm 520N·m @ 1,750-5,000rpm 261km/h 218g/km マカンターボ 2.9L (2,894cc) V6 ツインターボ 324kW (440ps) @ 5,700-6,600rpm 550N·m @ 1,800-5,600rpm 270km/h 224g/km
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ドライブトレイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 01:52 UTC 版)
「ホンダ・N360」の記事における「ドライブトレイン」の解説
フロントに搭載された横置きエンジンによる前輪駆動を採用した。エンジンは4ストローク強制空冷直列2気筒チェーン駆動SOHCで、ドリームCB450に搭載されていた空冷並列2気筒DOHCエンジンをベースに開発された。このためタイミングチェーンは通常の自動車エンジンのようなシリンダーブロックの一端ではなく、2気筒オートバイと同等にカムシャフトおよびクランクシャフト中央に配置される。 このエンジンは内径x行程62.5x57.8(mm)から排気量354cc・最高出力31ps/8,500rpmをマークする四輪車としては異例の高回転型エンジンである。この時期の他メーカー製軽自動車は2ストロークエンジンが主流であり、それらの最高出力が一般に20PS台前半であったことと比較すると格段の高出力であった。これは本田技研工業がオートバイで得意とした高回転許容で出力を稼ぐ手法をそのまま適用した結果である。公称最高速度115 km/hも当時の軽乗用車では最高水準である。エンジンの構造上騒音や振動が激しいものの、性能確保と構造簡易化を優先して防振・防音対策は簡易な水準に留められている。 4速マニュアルトランスミッションは、初期型ではオートバイの構造に近く、エンジンと直列に配置される常時噛み合い(コンスタントメッシュ)式ドグミッションを搭載した。サスペンションはフロントがコイルスプリング+ストラットの独立懸架、リアは半楕円リーフスプリングの車軸懸架とし、前後とも簡略・省スペースな構造とした。車室暖房は空冷エンジンの廃熱を利用する方式で、このためガソリンやエンジンオイルの臭いが室内に入り、温度制御の面でも不利であるが、簡易なことが優先された。
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ドライブトレイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 22:29 UTC 版)
ロゴの最大の特徴であり、美点でもあったエンジンは、4代目シビックに搭載されていたD13B型(キャブレター仕様)をベースに、吸排気バルブの数を減らしPGM-FI仕様に変更したものである。 低回転域を重視したセッティングのため、吸排気バルブをベースの16バルブから8バルブに変更している。性能は66PS、11.3kgf·mで、16バルブ仕様に比べて出力とトルクを抑えているが、これは日常よく使う1,300rpmでエンジントルクの90%を、そして2,500rpmでピークトルクを発生させるよう設定したためであり、「ハーフスロットル高性能」と称していた。実際ロゴは、このトルク特性と軽量なボディとによって、街中の発進や登坂路であっても、アクセルペダルを大きく踏み込まずに軽々と走ることができた(ただし、前述のサスペンションセッティングの問題があった)。 この発想は、北米で販売されていた超低燃費仕様「CIVIC CRX HF」が実用域での使いやすさが際立っていたことに影響されたもので、その後のL型エンジンのi-DSIへと進化して行った。なお、後のマイナーチェンジにおいて、スポーティーグレードの「TS」に(本来の)16バルブ仕様のD13B型が搭載されている。 組み合わされた変速機は、5速MT、3速ATのほか、ホンダ独自のCVTシステムである「ホンダマルチマチック」がシビックに次いで採用された。先に実用化された富士重工業(スバル)のECVTと同じスチールベルト式CVTであるが、発進クラッチに湿式多板クラッチを使用したのが特徴である。
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ドライブ・トレイン(=駆動力を伝達する一連の経路)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 03:30 UTC 版)
「自転車」の記事における「ドライブ・トレイン(=駆動力を伝達する一連の経路)」の解説
クランク、軸受、チェーンホイール、チェーン(あるいはゴムベルトや少数ではあるがシャフト)、スプロケット(あるいはカセットスプロケット)、フリーホイールなどによって構成される。
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ドライブトレインと同じ種類の言葉
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