3代目 UWG60型 (2018年 - )
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「トヨタ・センチュリー」の記事における「3代目 UWG60型 (2018年 - )」の解説
2017年10月27日から開催された「東京モーターショー2017」で初公開され、2018年6月22日に発表、同日に発売された。2代目の販売終了から約1年4か月ぶりに再投入されるとともに、21年2か月ぶりのフルモデルチェンジとなった。 伝統と品格を守りつつ、「匠の技」を生かしたエクステリアデザインは、あえて傾斜を立てた重厚なクォーターピラーにより後席の存在感を強調するなど「几帳面」と呼称されるキャラクターラインを採用した。同時に一目でセンチュリーと分かるデザインでもあり、初代モデルからのアイデンティティーを継承している。この代から全車ドアミラーに統一された。「几帳面」の表現はプレス加工だけで出せないため、最終的には手作業で調整している。 ボディサイズは先代と比較して全長は+65 mm、全幅は+40 mm、全高は+30 mmそれぞれ拡大。また、ホイールベースは65 mm延長されている。ボディカラーの名称は、先代に引き続き「和名」が用いられている。イメージカラーの「神威 エターナルブラック」、先代から継続設定される「精華 レイディエントシルバーメタリック」、「摩周 シリーンブルーマイカ」、新設定の「飛鳥 ブラッキッシュレッドマイカ」の全4色が設定される。(なお、「神威 エターナルブラック」は名称こそ先代と共通だが、新規開発色である。トヨタの現行車種に多数設定されているボディカラー)。漆黒感を高める黒染料入りのカラークリアなど7層もの塗装に、研ぎと磨きを加えて奥深い艶と輝きを追求している。本塗装工程を含め、センチュリーの象徴であるフロントセンターの「鳳凰」エンブレムの作成等、随所に手作業の「匠の技」を取り入れており、塗装時間は1台あたり40時間をかけている。トヨタの塗装基準である「肌ランク」は通常のコンパクトカーが3.0程度なのに対し、センチュリーは4.5 - 5とされる。 プラットフォームは、トヨタ最新のTNGAではなく、4代目「レクサスLS」(ロングボディ車)用を新型センチュリー用に最適化させたものを採用。ホイールベースの数値や4輪マルチリンクのサスペンション形式も共通となるが、AVS機能付電子制御エアサスペンションの採用等により、センチュリー伝統の乗り心地の良さを継承している。 パワートレインには、2段変速リダクション機構付THS-IIを採用したハイブリッドシステムにダウンサイジングがなされた。エンジン・モーター共に4代目レクサスLSに搭載されていた仕様をセンチュリー専用にリファインしており、エンジンにはV型8気筒 5.0 Lの「2UR-FSE」型、モーターには「1KM型」交流同期電動機を搭載。システム最高出力は431 PS(317 kW)を発生し、先代モデルが搭載したV型12気筒5.0 L「1GZ-FE」型のパワースペック:280 PS(206 kW)を大幅に上回るパフォーマンスを獲得している。また、JC08モード燃料消費率も、先代の7.6 km/Lから13.6 km/Lに大きく改善され、「2020年度燃費基準+20%」を達成している。2021年4月に2030年度燃費基準優良車となり、「2030年度燃費基準80%達成」となった。 安全面に関しても最新の予防安全技術が採用された。センチュリーでは初採用となる「Toyota Safety Sense」は、プリクラッシュセーフティ(歩行者[昼]検知機能付衝突回避支援タイプ/ミリ波レーダー+単眼カメラ方式)、レーンディパーチャーアラート(ステアリング制御機能付)、レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)、アダプティブハイビームシステム(アレイ式)の4点で構成されており、これらに加えて、ブラインドスポットモニター(BSM)や、リヤクロストラフィックアラート(RCTA)とクリアランスソナー&バックソナーを組み合わせた「パーキングサポートアラート(PKSA)」も採用されている。 パワートレインとプラットフォームに新開発の技術を用いなかった理由は、「『センチュリーは何があっても絶対に壊れてはいけない』という信念を最優先させ、実績と信頼性のあるユニットを採用したため」である。乗り心地を重視したためサスペンションは柔らかめの設定になっており、ドライバーには挙動をコントロールする技量と後部座席の人間に配慮する意識が必要との意見もある。 内装は先代と同様に後部座席を優先した設計であるが、マッサージ機能の強化やオットマンを使用しても助手席が使えるようにするなど細かな部分が改良されている。 手付金として100万円が必要であるが、購入の意思がなくてもハードカバーのカタログを入手することが出来る。 社長の豊田章男は新車発表の際「センチュリーのGRMN仕様を作りたい」と話し、実際に2018年9月にこれを公道でお披露目した。一般的にセンチュリーは高所得者がドライバーを雇って運転するものというイメージが強いが、豊田はこれを自分でドライブしている。ただし、これは現時点ではあくまで社長専用車であり、市販の予定については語られていないほか、スペックについても明らかにされていない。なお、2019年の第95回箱根駅伝より大会本部車または会長車として白が投入、2019年の東京オートサロンでは黒が出品され、同イベントで開催された東京国際カスタムカーコンテスト2019で優秀賞を受賞した。 2019年9月から導入された御料車「皇9」からベース車がUWG60型に変更された。 2019年11月10日の第126代天皇徳仁の祝賀御列の儀に合わせ、コーニッシュIIIに代わるパレード用オープンカーのベースとして選定された。改造点は屋根の撤去とCピラーの切断、シートを白色の本革とし後部座席を若干高くして背もたれの角度を25度に固定している他、剛性確保のため車体を補強しているとされる。予算は8000万円とされる。 2020年には内閣総理大臣専用車として新たに一台内閣府に納入された。内閣総理大臣専用車は、現行の「20-00」、先代の「50-00」のように原則としてキリ番となっており、内閣府担当者によると「現行の20-00に特段の意味は無く、空いているキリ番をあてがった」という。 祝賀御列の儀にてパレード用オープンカー仕様車に乗り込む今上天皇と雅子皇后(2019年11月10日、皇居宮殿南車寄にて) 祝賀御列の儀にてパレード用オープンカー仕様車に乗る今上天皇と雅子皇后(2019年11月10日、東京都にて)
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