飛鳥池工房遺跡とは? わかりやすく解説

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飛鳥池工房遺跡

名称: 飛鳥池工房遺跡
ふりがな あすかいけこうぼういせき
種別 史跡
種別2:
都道府県 奈良県
市区町村 高市郡明日香村
管理団体
指定年月日 2001.08.13(平成13.08.13)
指定基準 史6
特別指定年月日
追加指定年月日
解説文:  飛鳥池工房遺跡は,奈良盆地南端位置する飛鳥真神原の東を限る小さな丘陵部谷間所在する。この谷は奥行き南北300mあり,平面形は人字形をしている。北に谷口があり,谷を出たところは飛鳥寺南東隅にあたる。また,谷の南では平成11年に亀形石造物発見され,さらにその南の丘陵上には史跡酒船石がある。江戸時代にはこの谷は堰き止められ飛鳥池が作られた。
 この飛鳥池の埋め立て計画され平成3年奈良国立文化財研究所(現奈良文化財研究所)と明日香村教育委員会発掘調査行ったところ,飛鳥時代中心とする様々な工具,漆壷,坩堝木製様や炉跡などが検出されたことから,この地に金属製品ガラス製品,漆製品など製作した工房があったことが判明したまた,平成9年には奈良県が「万葉ミュージアム」の建設計画し,それに先立つ発掘調査が同11年まで奈良国立文化財研究所によって行われた。この調査により重要な知見得られたため,奈良県では万葉ミュージアム設計変更等を行い遺跡保全を図ることとした。
 遺跡は,出土した土器木簡などから7世紀後半から8世紀初頭のものと考えられる。谷のほぼ中央設けられ東西塀を境に北地区南地区区分される北地区には石敷井戸石組方形池,導水路官衙風の建物など検出されたほか,多量木簡出土した遺構・遺物性格から工房管理する施設置かれ地区判断される一方南地区では,谷底水溜陸橋組み合わせた汚水処理のための施設設け,その両側に,多数の炉跡を伴った建物検出された。出土遺物からも各種製品製造した工房群が置かれ地区考えられる
 この遺跡での製作物は,金・銀・銅・鉄製品ガラス琥珀瑪瑙水晶などの玉類,漆器,瓦など多種にわたり,高度な技術駆使したものを含んでいる。さらに,これらの生産関わる様々な工具容器多量に出土している。また,従来,製作の場所や時代不明であった富本銭多数製作されており,これが日本最古銅銭であることが判明した遺跡存続年代位置,製作物内容木簡などから,この遺跡は,飛鳥所在する飛鳥寺などの大寺院,飛鳥浄御原宮藤原京などの宮殿都城深く関連した官営工房考えられる7世紀後半日本律令国家の成立目指し都城寺院整備貨幣鋳造などを行ってきたが,その実態を詳細に示しており,古代史技術史上,極めて重要である。よって,史跡指定し保護図ろうとするものである
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史跡:  飛鳥京跡苑池  飛鳥寺跡  飛鳥水落遺跡  飛鳥池工房遺跡  飛鳥稲淵宮殿跡  飯野坂古墳群  首里城跡

飛鳥池工房遺跡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/19 17:51 UTC 版)

飛鳥池工房遺跡(あすかいけこうぼういせき)は、奈良県明日香村大字飛鳥にある古代の工房遺跡。飛鳥寺の寺域の東南の谷あいにあり、江戸時代に築かれた溜池「飛鳥池」の下にあったことからこの名称がある。2001年国史跡指定。


  1. ^ 第二部 被葬者の迷宮
  2. ^ 飛鳥池遺跡出土木簡
  3. ^ 十川陽一「内匠寮について」(初出:『続日本紀研究』377号(2008年)/所収:十川『日本古代の国家と造営事業』(吉川弘文館、2013年) ISBN 978-4-642-04602-2
  4. ^ 「刊行した」と16年間ウソ 「富本銭」出土の発掘調査報告書 奈文研 毎日新聞 2021年12月24日


「飛鳥池工房遺跡」の続きの解説一覧

飛鳥池工房遺跡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 11:28 UTC 版)

飛鳥京跡」の記事における「飛鳥池工房遺跡」の解説

詳細は「飛鳥池工房遺跡」を参照 明日香村飛鳥小字古池所在する飛鳥池は、近世つくられ溜池で、そこに1991年平成3年)に産業廃棄物埋め計画持ち上がり1996年平成8年予定変更され、「万葉ミュージアム」を建設することになり、1997年平成9年)から三カ年にわたる発掘調査実施されその結果天武朝大規模な官営工房遺構検出された。 複合的な工房群が発見された飛鳥池工房遺跡では、1998年平成10年)に「富本銭」の鋳造確認された。鋳型バリ銭、鋳棹などが出土している。2001年平成13年)に国の史跡指定された。

※この「飛鳥池工房遺跡」の解説は、「飛鳥京跡」の解説の一部です。
「飛鳥池工房遺跡」を含む「飛鳥京跡」の記事については、「飛鳥京跡」の概要を参照ください。

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