譲渡車・同系車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 07:47 UTC 版)
「国鉄DD13形ディーゼル機関車」の記事における「譲渡車・同系車」の解説
中小規模の地方鉄道・臨海鉄道などにおいては、本形式の汎用性の高さと仕様・性能の適合から、同系の自社発注車両や国鉄からの譲渡車が多数導入された。国鉄では既に淘汰された形式であるが、2020年現在においても多数の車両が構内の入換作業や小運転などの用途に重用されている。 本形式および自社発注による同系車両の使用歴を有する主な事業体を以下に示す。 太平洋石炭販売輸送 雄別鉄道→釧路開発埠頭 三井芦別鉄道 旭川通運 夕張鉄道 三菱石炭鉱業大夕張鉄道線 羽幌炭礦鉄道 苫小牧港開発株式会社線 八戸臨海鉄道 岩手開発鉄道 秋田臨海鉄道 同和鉱業小坂鉄道→小坂製錬DD130形 - DD131 〜 133 小坂鉄道の自社発注機。花岡線の輸送力増強を目的として1967年 - 1968年(昭和43年)に汽車製造で製造。比較的長距離を運転する必要から、運転台を前後に各1席独立して設けており、妻面に向かって右側の運転台側前面窓が拡大されたことで右側乗務員扉が省略されており、入換での使用を重視した国鉄向けとは異なる。途中駅でのタブレット通過受け渡しがあったことから、運転台側面にはタブレット防護枠が設置されている。塗色は赤に白帯。総括制御が可能なため三重連で貨物列車牽引にあたることもあった。 DD13形 - DD13-5561978年、同和鉱業片上鉄道から移籍。DD130形とは異なり総括制御装置を装備していないことから通常は予備機の扱いであり、重連で使用する際は協調運転での取扱いとなっていた。塗色は片上鉄道時代のままで変更されなかった。 仙台臨海鉄道 福島臨海鉄道 関東鉄道→鹿島鉄道DD9021968年日本車輌製造製。関東鉄道が発注した国鉄DD13形ディーゼル機関車の同型車。関東鉄道が4路線で構成されていた1965年6月1日 - 1979年3月31日における、事実上でも名義上でも唯一の新造車である。DD902となったのは同出力機のDD901が存在し、その続番の形をとったため。DD13形類型機であるが、台車が軸ばね式のNL8Bで、運転台下の燃料タンク・空気溜に相違点が見られる。当初から鉾田線(後の鹿島鉄道)に配属され、塗色は濃い茶色に白帯であったが、2005年11月に朱色に変更され、同年の鉄道の日イベントでは目玉車両となった。側面の社章は関東鉄道時代のままであった。2007年(平成19年)2月、鹿島鉄道線の廃線を待たずに日本製鋼所室蘭製作所に売却された。 その後、1986年と1988年に鹿島鉄道ではDD13形を2両 (171・367) 譲受したが、こちらは塗装をDD902に揃えた他は、形式・車両番号を変更することなく使用していた。 鹿島臨海鉄道 真岡鐵道 京葉臨海鉄道 東京都港湾局D601956年に日立製作所線の4号機、1962年に汽車製造製の7号機、1967年に日立製作所製の8号機がそれぞれ製造された。両者とも前面に乗務員用扉がないことが特徴。主に深川線・晴海線で使われた。4号機は同線廃止前に廃車。7号機と8号機は同線廃止後に譲渡計画があったが60tの重量と特殊な構造から譲渡されずそのまま2005年頃に機関庫と共に解体された。 神奈川臨海鉄道 新潟臨海鉄道 神岡鉄道 名古屋臨海鉄道(ND552形) 江若鉄道DD1351DD13形の基本設計に参加した汽車製造は、同形式量産に先立つ1957年(昭和32年)12月に江若鉄道へDD1351と呼称する車両を納入した。これは国鉄DD13形の準同級機で、事実上その試作車と位置づけられる。 国鉄籍の基本番台車とほぼ同様の性能であったが、排気管やボンネット前面のルーバーがなく、車体各部の細部寸法や台車心皿間距離が異なり、前照灯はボンネット前面に突き出した台上に独立した灯具が乗せられ、ボンネット側面にほぼ全長に渡る手すりが設置されるなどの外観上の相違の他、前後のDMF31Sエンジンの出力をそれぞれシンコーDS1.2/1.35液体式変速機によって直下の台車に伝達する、B型機関車2台を背中合わせにしたような単純な駆動システムを備えるという、機構上の大きな相違があった。 これにより、機関1基停止で370 PS級B型機関車相当として使用可能とされたが、本線運用時には通常、オハ27形2763 - 2765やオハ1957 - 1960といった自重30 - 35 t級の自社所有客車や国鉄オハ35系客車などの借り入れ客車、あるいは国鉄線直通貨車等で構成される長大編成の旅客・混合・貨物列車牽引に充てられており、実際には常時機関2基使用で運用されたという。路線廃止まで、夏の水泳客輸送を中心とする多客時に大きな威力を発揮した。 DD13521962年に汽車製造に発注された増備車。こちらは同時期に量産されていた国鉄籍の112 - 264と同一仕様で製造されている。 近江鉄道 別府鉄道DD1351江若鉄道の廃止時に同社の同番号機を譲受したもの。白帯を省略し、水色一色の塗装で全線廃止まで使用された。 片上鉄道DD13 551 - 553・555・556片上鉄道の自社発注機である。1960年-1968年に5両が日本車輌製造で製造された。本線使用を目的とした点では同和鉱業小坂鉄道DD130形と同様であるが、ボンネットの形状やラジエターグリルのサイズなど相違点も見られる。機関はDMF31SBI (600 PS) を搭載し、台車は軸ばね式のNL8Bを装着する。塗色は国鉄ディーゼル機関車標準色に準拠。 線内の客車列車・貨物列車の牽引に使用され、1両 (556) は1978年に小坂鉄道に移籍、2両 (553・555) は1988年に廃車された。1991年の鉄道廃止まで使用された残存2両が以下のとおり保存されている。DD13 551 - 柵原ふれあい鉱山公園(岡山県久米郡美咲町)※ 動態保存車 DD13 552 - 旧片上鉄道片上駅跡地(岡山県備前市西片上) 岡山臨港鉄道105→DD1351国鉄籍の85 - 110と同一仕様で汽車製造にて製造された。江若鉄道廃止時に同級のDD1352を譲受した際に、DD1351と改番され、同社線廃止まで主力機として本線貨物牽引に重用された。 DD1352江若鉄道DD1352を譲受したもの。DD1351と共に廃止まで重用された。路線廃止後は機関等の部品取り用として近隣の水島臨海鉄道へ譲渡され、長期間に渡って保管されていた。
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