液体式とは? わかりやすく解説

気動車・ディーゼル機関車の動力伝達方式

(液体式 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 04:08 UTC 版)

気動車・ディーゼル機関車の動力伝達方式(きどうしゃ・ディーゼルきかんしゃのどうりょくでんたつほうしき)では、気動車ディーゼル機関車及びその他の内燃機関車の動力伝達方式について述べる。


注釈

  1. ^ 一般的には、排気量が大きくなるに従いトルク曲線は平らになって行く。
  2. ^ 一応、クラッチを工夫すれば1926年時点で1,260馬力の機関車(ドイツ製、ソ連向け輸出機)に歯車変速機が使用された例もあるが、1937年時点でも「大馬力になると設計が難しくなるので、特にかみ合いクラッチの場合は現在は200馬力付近を限度。」とされていた。(山下善太郎「内燃電氣車」p.290)
  3. ^ 特急用のATR100や要人輸送用のATS1は294 kWの機関を1編成あたり2基搭載していた
  4. ^ 日本での機械式変速機を搭載した営業用気動車としては、1997年(平成9年)に営業休止(2002年〈平成14年〉廃止)した南部縦貫鉄道レールバスであるキハ101・102が最後。同路線の廃止後もこの2両は展示運転のため稼働状態を維持している。
  5. ^ 最高速度180 km/hを可能としており、実用化に向けて200 km/h運転も視野に入れた試験運転が行われている。
  6. ^ モータアシスト方式ハイブリッド(パラレルハイブリッド)気動車を除く。モータアシスト方式ハイブリッド気動車は、エンジンの出力も直接動力として用いるため、少なくとも変速機、逆転機、推進軸は必要である。
  7. ^ 世界的にはアメリカ合衆国などで、大都市や地下線区間に乗り入れる場合での採用が見られ、例えばニュージャージー・トランジットのALP-45DP型は定格出力4,400 kWの電気機関車であるほか、出力1,567 kWのディーゼルエンジン2基による走行も可能である。また、ヨーロッパにおける例としてはスイスのレーティッシュ鉄道Gem4/4形機関車などがあり、スイスでは他にも入換用機関車などに例がある。
  8. ^ 1937年(昭和12年)に発表された山下善太郎の「内燃電氣車」では、「全体として成績が芳しくなく参考になるところもない」と言い切られている。
  9. ^ 満鉄向けの物では750 HPのジキイ型が日本における電気式ディーゼル機関車の始まりで、一応列車も引けたが速度が低く(単行70 km/h・平坦線での540 t列車牽引時は45 km/h)、停車時電源用に使えるなど工事用を考慮したものであった。その後気動車ではあるが動力集中式の500 H.P.で平坦線なら時速100 km/hほど出せる物が製造されている(満鉄ジテ編成)。
  10. ^ 民間向けでは、1953年(昭和28年)に富士製鐵室蘭製鉄所構内鉄道D-301として、DMH17Aを2基搭載し37 kW級電動機4基を駆動する35 t級D型電気式ディーゼル機関車が日立製作所によって製造されるにとどまった。
  11. ^ 例外的な存在として、釧路臨港鉄道(現・太平洋石炭販売輸送)が1970年に1両を購入した、ゼネラル・エレクトリック社のU10B形を日本車輌製造ノックダウン生産する形で製造したDE600形がある。国鉄DF50形引退後は10年程度、本機が日本唯一の電気式内燃車両であった時期がある。
  12. ^ 当初はドイツ・MTU社製の1,700 PS級エンジン、後の増備車では保守上の理由から、既存の液体式ディーゼル機関車であるDD51形の機関換装工事の際に採用したのと同型のコマツ製1,800 PS級エンジンを搭載。
  13. ^ 損失増大を防ぐため、国鉄末期からJR化以降に設計されたものでは、ステーターが一方の方向だけに自由に回転できるよう、ワンウェイ・クラッチ(爪クラッチ)が組み込まれ、さらに負荷や車速の変化に合わせ、トルコンのロック、アンロックをきめ細かく電子制御されるものが主流となっている。
  14. ^ 湿式多板型式で複動式になっており、直結用または変速用のクラッチ板に油圧作動のクラッチピストンを押付けることにより、動力が伝達される。
  15. ^ トルコン以外に直結クラッチを用いる「ロックアップ機構」の多用で、ある程度改善を図れる。
  16. ^ 1937年時点のデータで同規模程度のもので重量が電気式の35%、価格が電気式を100%とした場合歯車式(機械式)82%、空気式63%。

出典

  1. ^ 山下善太郎「内燃電氣車」p.289
  2. ^ a b c d e f g 山下善太郎「内燃電氣車」p.290
  3. ^ 世界初の環境に優しい『モータ・アシスト式ハイブリッド車両』の開発に成功! - JR北海道プレスリリース 2007-10-23
  4. ^ 山下善太郎「内燃電氣車」p.295-296
  5. ^ 山下善太郎「内燃電氣車」p.296
  6. ^ a b 山下善太郎「内燃電氣車」p.296第6表「本邦における内燃電氣車」・297-302「VIII本邦における内燃電氣車の實例」
  7. ^ [1]
  8. ^ 新型特急車両の開発中止について』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2014年9月10日http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2014/140910-1.pdf2017年9月2日閲覧 
  9. ^ “開発費25億円の夢、鉄くずに JR北海道、新型特急試作車を解体”. 北海道新聞(どうしんウェブ) (北海道新聞社). (2017年3月3日). オリジナルの2017年3月3日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170303021120/http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/life-topic/life-topic/1-0374633.html 2017年9月2日閲覧。 
  10. ^ 山下善太郎「内燃電氣車」p.290-291


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液体式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/19 03:54 UTC 版)

耐Gスーツ」の記事における「液体式」の解説

開発当初液体利用されていたが、高高度気温が下がると熱伝導率が高いため、体温奪われることや凍結すること、重量もかさむため、現在では軍用耐Gスーツ空気式に置き換わっている。 レッドブル・エアレース・ワールドシリーズでは、常に低空飛行するため、開始当初から使用した耐GスーツG-Race Suits』が使われている。

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「液体式」を含む「耐Gスーツ」の記事については、「耐Gスーツ」の概要を参照ください。


液体式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 10:50 UTC 版)

ディーゼル機関車」の記事における「液体式」の解説

ディーゼルエンジン出力トルクコンバータギア組み合わせた液体変速機を介して変速し、動輪伝えることで駆動力を得る機関車軌道負担力が小さ日本では電気式に代わって標準となったDD11 DD13 DD14 DD15 DD16 DD17 DD18(標準軌用) DD19(標準軌用) DD20国鉄DD20大井川鐵道DD21 DD51 DD53 DD54 DD91 DE10 DE11 DE15 DE50 DB500 911標準軌用)

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液体式(流体式)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/14 01:26 UTC 版)

気動車・ディーゼル機関車の動力伝達方式」の記事における「液体式(流体式)」の解説

液体動力伝達用い方式で、本来は押し出し式(後述の「静油圧式」)と羽根車式を含んだ名称だったが、戦前時点ですでに前者廃れてしまい。、現在は羽根車式の事を指し、これは車輌動力伝達トルクコンバータ日本では俗にトルコン呼ばれる以後トルコンと略)を用いている。 トルコンとは、密封されケースの中で比較的低粘度変速機油を満して、入力軸に油の流れ生むポンプインペラーと、出力軸に油の流れを受けるタービンランナーの二つ羽根車向き合わせそれぞれの中間置かれステーター案内羽根)と呼ばれる固定子装備されており、入力軸により、ポンプインペラー回転させると、油がエネルギー受けて遠心力により中心部から外周部に向かって流れステーターで油の流れ整流後、タービンランナーに流れエネルギー伝えながらタービンランナーを回転させ、その後中心部戻った油を、ポンプインペラー側に還元して再び油がエネルギー受けて循環することにより、出力軸トルク回転力)を増幅する装置である。 このトルク増幅作用流体クラッチ・フルードカップリングと異なる点である。 リスホルム・スミス式の液体式変速機であるTC2形とDF115形で使用されている6要素3段形のトルクコンバータ構造右側見取り図説明すると、左側にあるポンプインペラー入力軸により回転すると、エネルギー受けた変速機油が、第1タービンランナー→第1ステーター→第2タービンランナー→第2ステーター第3タービンランナーの順に経由して流れその後ポンプインペラー戻って循環することにより、出力側のトルク入力側の4-5倍にして取出すことができる。 構造上、入力側と出力側の回転数の差が少なくなるトルク増幅効果薄れていき、固定されているステーター流速の上がった戻りに対して逆に抵抗となり始め損失増えていく。 また、トルコンのみでは大きな変速比得られないため、中・高速域での加速力低燃費両立求められる近年気動車では、トルコンに頼る領域変速段)またはトルコン頼らない領域直結段)において、1 - 4段の変速ギアと各ギア段に組込まれ湿式多板クラッチ組合わせエンジンからの動力機械的に直結させるロックアップ機構装備されている。これらは、自動車の「オートマチックトランスミッション」と同様の構造働きであり、カウンターシャフト用いたギア機構遊星歯車機構電子制御することにより、日本機械式では果たせなかった多段変速機総括制御実現した1950年代日本国有鉄道国鉄)に採用され2010年時点でも一部使われている液体式変速機であるリスホルム・スミス式のTC-2とDF115は、ともに戦前設計され国外製品国産化したものである。運転席には変速切替レバー中立変速直結3段切替)があり、発進時レバーを「中立」から「変速」に切り替えると、電気指令により、入力軸側にある変直クラッチ部の変速クラッチ作動してエンジンからの動力直結軸(内軸)の外側(外軸)にあるトルコン入力を介してトルコン伝達されその後トルコン出力軸(外軸)とフリーホイール(外軸と内軸の間にコロまたはスチールボールを挿入したもので外軸の回転コロのくさび効果で内軸に伝達される機構を介して直結軸(内軸)に伝達されその後出力軸伝達される。この状態が発進から中速までの速度域を受け持ち、中速から最高速まではレバーを「変速」から「直結」に切り替えると、電気指令により直変クラッチ部の直結クラッチ作動してエンジンからの動力直結を介して出力軸伝達行っていたため、上記のような変速ギア備えていなかった。両者切り替え速度は共に45km/hであるが、その操作運転士判断による手動である。また、惰行時や制動から停止までは「中立」に切り替え動力伝達行わない。そのため、特に入出力回転差を吸収する機構無く衝動発生しやすい直結段での再力行時には、その時々の速度応じ中立位置であらかじめエンジン適切な回転数合わせる空吹かし」(自動車における「ブリッピング」に相当)が必要となる。国鉄形気動車コストダウンの必要からエンジン回転計備わっておらず、スムーズな操作には相応技量求められる当時機械式電気式との比較論じられていたこの方式の長所短所は、次のとおりである。 長所 気動車小型機関車に使用する場合は、電気式よりも低コスト軽量コンパクト仕上がる。電気式よりも軽量のため、軸重軽く支線へも入線することが可能である。 総括制御可能。 機械式よりも運転操作は容易。 同規模の電気式比較して起動時牽引力大きい。 変速機制動機としても使用できる短所 変速機構造極めて複雑で高価である。 大量変速機油(オートマチックトランスミッションフルード)が必要で、以前シール品質管理組み付け難点とされた。 トルコン内の滑り現象による損失避けられず、動力伝達効率80 - 85%程度と、電気式にやや劣る。 大出エンジンへの適応性では、電気式に劣る 変速機油の過熱抑える必要があるため、変速段のままでの長時間力行適さない上述変速機油は普通に使用していても高熱になるので、エンジン冷却とは別にこの変速機放熱必要になる初期液体変速機回転数一定の範囲だけ電気式並み効率があり、それより上がって下がって能率低下してきたが、1930年代ごろから改良されてこの範囲広がったので、ドイツでは国鉄1936年MTM高速ディーゼル列車(600H.P.×2)や1400H.P.の機関車にこれらを使用した日本では鉄道省1936年から試験が行われていたが、戦時体制下での燃料統制もあって本格採用は遅れ、1953年国鉄キハ44500形気動車から正式に採用となった以来在来車の換装含め、国私鉄問わず日本ディーゼル鉄道車両のほとんどが液体式変速機用いるほどの普及示している。 なお、この駆動システム気動車での使用一般的であるが、交流電源整流技術未発達の頃、クモヤ790形試作交流電車において、回転数連続可変制御難し交流電動機の段付きトルク変動)を吸収するために用いられたこともあった。 世界的に気動車小型ディーゼル機関車多く用いられるが、一時ドイツ日本では大型ディーゼル機関車にも好んで使われた。多彩な方式があるが、日本広く用いられているものは以下の2方式いずれか系統属する。

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