解説・放送とは? わかりやすく解説

かいせつ‐ほうそう〔‐ハウソウ〕【解説放送】

読み方:かいせつほうそう

副音声用いて行なわれる音声多重放送の一。視覚障害者向けの解説や、スポーツ中継におけるルール説明などに用いられる


解説放送

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/24 13:23 UTC 版)

音声多重放送 > (二重音声放送) > 解説放送

解説放送(かいせつほうそう)は、主に視覚障害者向けにテレビジョン音声多重放送を使って場面の解説を放送するテレビ番組のことである。

概要

日本では、1983年3月1日に日本テレビ放送網火曜サスペンス劇場 狙われた美人キャスター[1]で試験的に開始されたのが最初の事例である。1990年にNHKでも総合テレビの「連続テレビ小説」から、段階を追って開始された。

アナログ放送末期は、前述の番組以外では主に視覚障害者身体障害者を取り上げた番組に特化していたが、2000年衛星放送で始まったデジタルテレビ放送では、これまで技術的に不可能であったステレオ音声での2重音声放送が可能となったことや、バリアフリー推進の観点から、ドラマトーク番組を中心にデジタル放送のみでの解説放送を開始する番組が増えた。特にNHKは総合テレビで放送するドラマ番組の大半は解説入りとなった[2](海外作品系は除く)。

ほぼすべてが収録番組で実施されるが、NHKのパラリンピックの生放送やEテレの一部の生放送番組(福祉番組)では解説放送(「リアルタイム解説放送」)が実施される[3]

主に視覚障害者を支援するためのものであるが、その他にも家事などのためにテレビの近くにいることができないときや、カーナビのテレビ機能で運転のため画面を注視できないときにも解説放送があれば状況を知ることができる手段といえる[4]

新聞テレビ欄では、東京ニュース通信社配信の物は番組タイトル前に「」(解説放送の略)、日刊編集センター配信の物は番組タイトル前に「」(音声多重放送の略)と表記される。ただしアナログ放送時代は一律「多」のみで、新聞社により「目の不自由な方のための解説」と入れていた(特に日テレの2時間番組が多かった)。

2010年代後半から日本でもサービスを開始している定額制動画配信サービスでも順次導入されており、解説放送に対応している映画やテレビ番組などには「AD」(Audio Descriptionの略)が表示される[5]。2021年からは日本の民放局などが運営するテレビ番組無料動画配信サービス「TVer」でも導入しており、こちらでは単に「解説放送版」と表示されている。

現在実施されている主要番組

  • 以下に挙げる番組以外でも視覚障害者・身体障害者を題材にした番組などで解説放送を加える場合がある。

日本放送協会(NHK)

総合テレビ・衛星放送(衛星第2・衛星ハイビジョン放送→BSプレミアム)

▽上記の番組ともNHKワールド・プレミアム(海外向けテレビ番組配信)を除く

教育テレビ

▽上記の番組ともNHKワールド・プレミアム(海外向けテレビ番組配信)を除く

民間放送

  • 特記のないものは地上波のみの実施で、系列のBSデジタル放送では実施していない。

日本テレビ系列

▽日本テレビ系列の複数社提供番組では、提供クレジットにおいては第1音声と第2音声とのアナウンサーの提供読みが分かれており、2017年9月までは第1音声では通常通り「ご覧のスポンサーの提供でお送りします(しました)」・「この番組(放送)はご覧のスポンサーの提供でお送りします(しました)」もしくは「○○(読み上げ社名)とご覧のスポンサーの提供でお送りします(しました)」となっていても、第2音声では全てのスポンサー名が読み上げられていた。翌10月以降は、第2音声では第1音声をベースとした読み上げで「この番組(放送)は各社の提供でお送りします(しました)」もしくは「この番組(放送)は、○○(読み上げ社名)ほか各社の提供でお送りします(しました)」を適用している。それ以外の番組では実施されない。

テレビ朝日系列

▽テレビ朝日系列とTBS系列の番組では、コマーシャルに入るときは「ここでコマーシャルです」、番組開始時には「○○(番組名)、解説放送が始まりました(これから解説放送を始めます)。サブタイトル(もしくは今日のテーマ)は、○○(サブタイトルやテーマ)」、番組終了時には「○○(番組名)の(これで)解説放送を終わります」、ドラマ番組では終了時に「このドラマはフィクションです」というお断りコメントが入る場合がある。
▽ABCでは2014年から、日本プロ野球阪神タイガース主催のセントラル・リーグ公式戦を『スーパーベースボール 虎バン主義。』として自社制作・関西ローカルで放送する場合に、伊藤史隆中邨雄二(いずれも同局のスポーツアナウンサー)による解説放送を年に数回のペースで実施中。日本の放送局が制作するスポーツ中継では初めての定期的な解説放送で、日本ライトハウスが協力している。

TBS系列

▽その他、2017年度より週末に単発特別番組枠で放送されるバラエティ番組においても随時実施している。

テレビ東京系列

▽その他、テレビ東京では、スペシャルドラマの一部や、邦画作品の放送の一部において、音声多重放送による解説放送を実施している場合がある。

フジテレビ系列

独立局

過去に放送された主な番組

など。

現在使用中の「解説放送」テロップ

  • NHK:「解説放送(副音声)」(地上波・BS共通)。Eテレの福祉番組では、回によっては加えて「字幕放送・解説放送はリモコンで切り替えてご覧ください」(文章は番組によって異なることがある。リモコンのイラストも表示されることもある)と表示されることがある
  • 日本テレビ:「字幕・副音声[解説放送]」(2015年9月より)。2015年8月までの日本テレビは「[多]ただいま、目の不自由な方にも副音声でお楽しみいただけます。(文章は各番組で表示が異なるが基本的にこの形式で表示)」(2012年3月までは同時・時差ネットを問わず各局別で出していたが、2012年4月以降は同時ネットのみ制作局出しの表示となっている。)
  • テレビ朝日:長方形枠で右上に「(ひよこの絵入り)解説放送」(解説放送はひよこの絵入り長方形枠。テレビ朝日以外(BS朝日含む)はひよこの絵なしの長方形枠)。
  • テレビ東京:「副 解説放送」(副は四角で囲んでいる。ハイカラ風な書体デザインはTXNネットワーク各局共通。)
  • TBS:長方形枠で右上に「字幕」(改行)「解説放送」と表示(デジタル放送のみ実施・表示)
  • フジテレビ:長方形枠で「字幕/解説放送」と表示(『木曜劇場』など一部番組では長方形枠で「解説放送」と表示)。BSフジは解説放送テロップの表示はない
EPG(電子番組表)、2012年2月以後の一部の新聞、雑誌『NHKウイークリーステラ』(NHKサービスセンター)などでは解説放送が行われる番組には「[解]」のマークを入れて、通常の(各種「ステレオ放送」という意味ではない)音声多重放送([多])とは区別している(ただし、フジテレビ系列地上波局のEPGではかつては[多]のマークを使用。2019年6月以降はフジテレビ・東海テレビ・関西テレビ・テレビ静岡テレビ宮崎で[解]マークを、2020年4月からは全系列局で[解]マークを使用している)。岩手めんこいテレビのEPGでは番組名の末尾に「※解説放送あり」と表記(一部番組を除く)
新聞の番組表では、2時間ドラマの一部では出演者の紹介の末尾に「[多]目の不自由な方のための場面解説」と表示する番組があった。

視覚障害者向けではない解説放送

テレビ以外の解説放送

エミレーツ航空アラブ首長国連邦)では2014年8月に機内で上映する映画において、視覚障害者を持つ搭乗者向けとして、ディズニー映画16作品で、映画の場面解説を入れる放送を行うと発表した[12]

脚注・出典

  1. ^ 日本民間放送連盟(編)「放送日誌(58年3月)」『月刊民放』第13巻第6号、日本民間放送連盟、1983年6月1日、52頁、NDLJP:3470970/27 
  2. ^ 但し2011年7月24日(岩手・宮城・福島は2012年3月31日)正午まで放送された、アナログ放送では連続テレビ小説、および一部の身体障害者を題材にした作品を除き、ドラマでの解説放送は行われていなかった
  3. ^ 2015年頃から、NHK Eテレ「ハートネットTV」では生放送の場合も随時リアルタイム解説放送を実施(2015年2月25日や2016年4月19日など)。また日本テレビ笑点」2016年5月22日と5月29日の生放送もリアルタイム解説放送で放送された。
  4. ^ 但し、ワンセグでは解説放送を実施していない番組もある。
  5. ^ ネット動画でみかける「AD」、どんな意味?”. PHILE WEB (2022年1月13日). 2022年1月13日閲覧。
  6. ^ a b 2000年12月1日からデジタルBS開局のため
  7. ^ 名古屋地区初 野球中継で解説放送を実施 CBCテレビ、2015年9月16日、2020年10月7日閲覧
  8. ^ BSフジは2020年8月2日より実施
  9. ^ 教育テレビ『古典芸能への招待』では月1回程度、第2音声で初心者向けの解説を行っている。
  10. ^ 副音声ではない。
  11. ^ 例として、2020年3月22日放送の日本テレビ行列のできる法律相談所」や、2021年12月23日(22日深夜)放送のTBSすてきに帯らいふ」(「水曜日のダウンタウン」のスピンオフ番組)など
  12. ^ エミレーツ、機内映像の一部に視覚障害対応の解説放送を導入 - アナ雪など”. TECH+ (2014年8月7日). 2022年1月13日閲覧。

関連項目

  1. ^ 声優・石丸博也さんご勇退 -解説放送とのあゆみ日テレアックスオン

解説放送

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 13:36 UTC 版)

それいけ!アンパンマン」の記事における「解説放送」の解説

2008年4月4日放送分(第933回)からは音声多重放送となり、副音声で解説放送を開始したアナログ放送モノラル2音声デジタル放送ステレオ2音声方式)。 日本テレビが解説放送を行うのは『火曜ドラマゴールド』の終了以来1年ぶりで、ナレーションは同番組引き続き石丸博也担当している。劇場映画版クリスマススペシャル放送時、石丸代役開始当初より水谷優子担当していたが、2016年7月15日放送分(映画『ミージャと魔法のランプ前編以降は、水谷死去に伴い佐藤朱担当している。2016年4月29日 - 6月17日放送分は、羽佐間道夫石丸代役務めたまた、アニメ番組での音声多重放送は『ドテラマン以来21年ぶりとなり(2か国語放送は除く)、解説放送を行うアニメ史上初となる。 オープニングで石丸佐藤タイトルコールを行うほか、エンディングスタッフロールでは彼らの名がクレジットされないため、本編終了直前に必ず挨拶を行う(これは同じく石丸が解説放送を担当する24時間テレビスペシャルドラマなども同様)同じく解説放送が行われている『金曜ロードSHOW!』や『名探偵コナンなどのような主要キャスト紹介行われない解説は、タイトルコール含め主な視聴者層である幼児合わせた読み聞かせのような軽快ナレーションとなっている。キャラクターの名前敬称設定されている場合基本的にそれを付けて呼ぶ。Aパート最後では「次、すぐだからね。待っててよ!(石丸)」、Bパート最後では「僕、石丸博也次回楽しみに待っててね!(石丸)」と締めくくる石丸作中登場したゲストキャラクター口調真似したり口癖付け加えたりすることが多い)。 テロップでの案内表記本編冒頭表示)(テロップ右側には一時期アンパンマン20周年記念ロゴ表示されていた。) 〔多〕アンパンマンからのおしらせ…。目の不自由なかたにも おたのしみいただけるほうそう副音声おおくりしています。みんなきいてみてね!

※この「解説放送」の解説は、「それいけ!アンパンマン」の解説の一部です。
「解説放送」を含む「それいけ!アンパンマン」の記事については、「それいけ!アンパンマン」の概要を参照ください。

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