英国内親日派の日本擁護論とは? わかりやすく解説

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英国内親日派の日本擁護論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/18 18:56 UTC 版)

トマス・バティ」の記事における「英国内親日派の日本擁護論」の解説

1930年代初期英国体制側人々概して親日的傾向にあった。ジョン・パードウによれば体制側極東について持っていた第一関心は、『タイムズ』の社説代表するように中国における英国財政上の利益貿易」だったのであり、1920 - 1930年代初期において、彼らは中国ナショナリズムをしばしば共産主義と結びつけて第一脅威と観ていたからである。 しかし、多く場合、彼らの極東情勢観は「中国における英国財政上の利益貿易」に対す脅威度大小極東政策における比重として重点置いていたのであり、日本脅威度相対的に小さいと観た結果、その論理的帰結として親日反中国スタンスを採るという傾向強かったその結果1930年代中頃には『タイムズ』などの親日的傾向にあった体制側人々見解は「日本中国における英国財政上の利益第一脅威ととらえることで」容易に反日親中国的スタンスへと傾斜せしめ、中国国民党対しある種共通する利害関係認識させる至ったのである。 しかし、このような日本脅威視する極東情勢観に対し日英同盟由来する親日派人々とりわけ英国陸軍関係者否定的な立場とっていた。その内一人であるマルコム・D・ケネディ保守的なデイリー・テレグラフ』に以下のように書いている。 英国帰り、この国に広がっている、日本人攻撃的な意図なるものについての考え方多くが、どれほど奇妙に歪んでいるかを知って少々驚いている。(1935年1月ロナルド.V.C.ボドリー、マルコム.D.ケネディどちらも英国陸軍士官から著述家転向した)といった日英同盟由来する親日派人々大英帝国中国において直面している最大脅威ソビエト連邦とそのイデオロギーであると考えていた。そして、親日派陸軍関係者が多い事が示唆しているように、基本的に英国陸軍組織として共有していた極東情勢観でもあった。 英参謀本部日本軍の力を正しく評価し日本が敵よりも味方でいることを望んでいた。1920年から21年の間、陸軍省政府いかなる省庁よりも強く日英同盟延長求めた1937年まで、陸軍省日本潜在的同盟国として続けていた。同省は両国の間に根本的な利害衝突がなく、かつソ連という共通の脅威があると考えた日本アジア安定維持してくれているため、英国ロシア再興したドイツという、英陸軍懸念する大問題に容易に対処できる信じていた。 — ジョン・フェリス、「英国陸・空軍から見た日本軍 1900 - 1939」『日英交流16002000〈3〉軍事英国内の親日派極東におけるソ連領域的・イデオロギー脅威痛感していた、そして中国大陸での日本行動全てソ連間接的侵略対抗しようとする試みであると確信していたのである。 その一人であるロナルド・ボドリーは、1933年上梓した著書日本オムレツ』(A Japanese Omelette)の中で、中国におけるソ連脅威認識していない人々日本への態度懸念示している。 ヨーロッパアメリカ政府態度問題である。彼らの政策中国日本長く生活した経験を持つ者にとっては、分かりにくいのであるロシアの脅威がある。ロシアの脅威については、私もそうだが、ロシア人中国内部移動し動揺している国民のなかに入り込んだり、あるいは訓練行き届いていない兵士たち大群接触を持つようになるまで、誰も認識できないのである兵士大群は、指導を受け組織されれば、他の世界の者たちと一緒になんだってやってしまうようになるだろう。20世紀極東未来をつくるにあたって日本が果たすべき役割は、二千年前ローマヨーロッパおよびアフリカについてもっていた役割同様に明白であり、このプロセスによってある種苦痛避けられなかったとしても、最終的な結果中国の非共産主義化>は結果すべての人々にとって利益となるであろう。 — ロナルド・ボドリー『日本オムレツこのような親日派極東情勢によれば日本対中政策ソ連中国対す赤化浸透戦略対し戦略経済を真剣に考え抜いて行動した結果であり、日本行動は「ソ連中国不安定化つけ込む事を阻止」し、「アジアにおける共産主義浸透封じ込めるチャンス世界提供する」ものだった親日派人々は「日本英国には、中央アジアおよび極東におけるソ連野望対抗するという共通の利益がある」と信じ日本との協調英帝国巨視的な利益擁護するのである確信していたのである。 そして、その一人であるマルコム・D・ケネディはこう主張する日英対立する事は望ましくないどころか、それは英帝国利益反することであり、日英間に戦争起こればこのような戦争から利を得る唯一の国はソ連にちがいない。ソ連資本主義列強お互い破壊しあうのを見ながら『形勢見守るのである。それから好機捕らえて介入するだろう。アジアソヴィエト化するというずっと温めてきた計画実行に移すのだ。日本ソヴィエト体制拡大阻止する能力意思がある東アジア唯一の列強である。」 このように日本関わり深く極東情勢精通していた人々日英間に存在する根本的な問題とはソ連とそのイデオロギーであると考え、そして彼らはソ連脅威強く意識し日英提携望んだ人々であった。 彼らはソ連中国での影響拡大望んでいなかった。『タイムズ』の中国特派員オーウェン・M・グリーン国際連盟その活動言及することを避け満州事変中国内政どのような影響もたらすのかについて以下のように述べている。 「全世界にとってとくに深刻なのは、急進派、すなわちナショナリスト左派台頭である。この連中広東軍に率いられているが、広東軍の最高実力者はユージン・チェン〈陳友仁〉で、5年前にはロシアの手先であるボロディン密接な関係を持っていた」 そして、グリーン極東情勢精通する人々と言い換えてもよい)にとって、起こりうる最悪帰結は、中国共産主義増大することだった。 このような見解有する人々にとって、根本的な問題日本政策国際法違反しているかどうかということではなかった、どのようにすれば中国での共産主義勢力浸透拡大を防ぐかが問題であったのである。 そして、1920年代から1930年代にかけて世界政治における日本役割に関する報道大きな腕をふるった英国放送協会(BBC)のヴァーノン・バートレットが当時極東情勢について「当の国際連盟という)機構は完全な独立国対象として創設されたので、政府統制遠く離れた省にはまるで及んでいない中国のような国を問題にするには、あまりにも硬直的で、対応のしようがない」ことがありうる述べたように、このような中国どのように対処すればいいのかが問題であった。 以上のようにトマス・バティ当時イギリス人中にあって、極めて特異例外的な見解有していたというわけではない。しかし、それ以後日英の間で、ソ連対す安全保障という問題議論焦点になることはなかったのであり、彼が日本政府にあって主張一貫させた事は日英関係悪化相俟って次第英国政府疎まれる原因となった

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