英国医薬品再評価委員会
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「ベンゾジアゼピン依存症」の記事における「英国医薬品再評価委員会」の解説
英国医薬品再評価委員会(The Committee on the Review of Medicines)は、ベンゾジアゼピンの耐性、薬物依存症、離脱の問題、他の有害作用について重大な懸念に基づいて調査を実施し、その結果は『英国医学雑誌』(the British Medical Journal)の1980年3月号に掲載された。委員会にてベンゾジアゼピンには抗うつ薬や鎮痛薬としての適性がないことが判明し、そのためうつ病、緊張型頭痛、月経困難症などの状態には不適切であると結論した。またベンゾジアゼピンは精神病の治療にも利益がなかった。また委員会は子供の不安や不眠症の治療に対するベンゾジアゼピンの使用には反対するということを勧告した。 委員会は、耐性の形成のためベンゾジアゼピン系睡眠薬の長期間の使用のための証拠がほとんどないことについて、米国医学研究所(IOM)や、ホワイトハウス薬物規制政策室(英語版)と米国国立薬物乱用研究所(英語版)(NIDA)らが実施した研究の結論と見解が一致している。ベンゾジアゼピンは継続使用によって3〜14日以内に睡眠促進の特性が失われる傾向にあり、不安の治療においては、耐性が形成されるため継続使用の4カ月後に効果を保っているという説得力のある証拠がほとんどないことが、委員会により判明した。 委員会の見解は、ベンゾジアゼピンの常用により治療効果への耐性により依存が形成され、断薬時には不安、恐怖、振るえ、不眠、吐き気、嘔吐などのベンゾジアゼピン離脱症候群が出現するということである。離脱症状は、短時間作用型ベンゾジアゼピンの断薬時には24時間以内に、長時間作用型ベンゾジアゼピンの断薬時には3〜10日後に発症する傾向がある。離脱の影響は、治療用量水準では2週間までしか生じないが、高用量を習慣的に投与された場合は2週間以上続く傾向がある。離脱症状は元の症状に似ているように見える。 委員会は、すべてのベンゾジアゼピンの投薬からの離脱は徐々にし、またベンゾジアゼピンの投薬は慎重に選別した患者のみにして、投薬は短期的な使用に限定すべきと推奨している。レビューにおいては、アルコールは中枢神経系の抑制作用を増強するために禁止すべきであると記載している。ベンゾジアゼピンの中枢神経抑制作用は運転や機械操作を危険にし、この有害作用は高齢者に顕著である。一度に高用量、低用量の継続投与は、哺乳力の低下、低血圧、新生児の低体温、胎児心臓の異常につながることが報告されてきた。委員会はベンゾジアゼピンを授乳時には禁止すべきだと推奨している。 委員会は高用量のベンゾジアゼピンからの急な離脱は混乱、中毒性精神病、痙攣、振戦せん妄に似た状態の原因となるため、離脱は徐々に行うべきであると推奨している。低用量からの急な離脱は抑うつ、緊張、反跳性不眠、易刺激性、発汗、下痢の原因になることがある。
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